見てください、もはや芸術。映画の秀逸な英訳
こんにちは。[かなで]です。
本日は、日本の映画タイトルの、「秀逸な英訳」について、お話ししようかなぁと思います。
と言うのも、私は現在英検の合格に向けて勉強しておりまして、その一環で単語を勉強していた中で、「あれ、これってもしかしてあの映画のタイトルじゃね?」と思うものがあり、取り上げようと思った次第です。
本日は3つ、映画を取り上げます。
ちょっとでも、あなたの燃え盛る好奇心に薪をくべることができたなら、これ以上の喜びはありません。
①天気の子
ひとつ目は、2019年公開の『天気の子』です。
『君の名は。』で有名な新海誠監督の作品で、この「天気の子」も、興行収入142億円を超える大ヒット映画です。
早速ですが、この『天気の子』、英語でのタイトルはなんだと思いますか?
「TENKI NO KO」じゃないですよ。
正解は、『Weathering with you』。
これを見て、どう思いましたか?
私は映画が公開されて英語タイトルに目を通した当時、なんとも言えない違和感がありました。
その違和感の正体は、
「Weather(天気)って名詞だよね?なんで ing ついてるん?」
これです。笑
それでも深く考えずに、新海誠監督の造語だろう、洒落たことするなあ〜なんて言って、
「まあ、weather(天気)って単語入ってるから一緒に天気でも観察しようぜって感じかな」
と結論づけました。笑
そしてつい最近、英検の勉強を通してこれは新海監督の造語でもなんでもないことが判明したのです。
こちらをご覧ください。
そう。「weather」には動詞が存在したのです!!!
そしてその意味は、「(困難などを無事に)切り抜ける」。
つまり天気の子の英語タイトル「Weathering with you」は
「君と一緒に(困難を)乗り超える」。
おいおーい!!めちゃくちゃ素敵じゃん!!泣
映画を見た人にとってはどこかジーンとくる一文です。
英語に限らず、言語を学んでいる方なら共感していただけると思うのですが、この、勉強の内容と日常の何かが繋がった時の感動。
勉強をする人にしかわからない「うまみ」ですよね。
ああ、これだから語学はやめられない。笑、
②思い出のマーニー
2つ目はこちら。ジブリがおくる『思い出のマーニー』。
ジブリ映画の中ではあまり日の目を浴びることがない作品ですが、とても面白く、一部のファンからはカルト的な支持を受けている作品です。
これ実は、原作があるんですね。
思い出のマーニーは元々、イギリスの作家、ジョーン・ロビンソン(Joan Gale Robinson)さんが創った児童文学作品です。
ですのでここで取り上げる英語タイトルは、いわば「原作タイトル」で、邦題である「思い出のマーニー」の方が、英語圏から見たら「絶妙な翻訳タイトル」と言えるのかもしれません。
したがって、①の天気の子とちょっと毛色は違いますが、タイトルをみて「なるほどねえ」と思ったので紹介します。
みなさんも考えてみてください。
『思い出のマーニー』、英語タイトルは、『When Marnie was there』。
そう。直訳すれば、「そこにマーニーがいたとき」。
おっしゃれ〜〜!!笑
でもなんとなく、ジブリっぽくはないですよね。
ということで、英題(本題)→邦題の流れもちょっと考えてみます。
まず、ジブリの作品は往々にして、名詞が並んだタイトルが多いです。
『千と千尋の神隠し』
『風の谷のナウシカ』
『崖の上のポニョ』
などなど。このタイトル中にある「の」は文法的に「連体助詞」というもので、名詞が名詞を修飾する役割を果たす潤滑油のような役割を果たします。
この「の」のおかげで、名詞を並列させたジブリらしいタイトルを創り上げることができるんですね。
ですので、「When Marnie was there(そこにマーニーがいたとき)」をジブリでリメイクする際、どんな議論があったかを実際に知ることはできないですが、おそらく上記のような名詞が並んだジブリっぽいタイトル、かつ本題の意味が伝わるようなタイトルをつけようとしたのでしょう。
「思い出のマーニー」は、ジブリのお家芸、連体助詞「の」を使って「思い出」という名詞に「マーニー」という名詞を修飾させて、ジブリらしさを滲ませています。
さらに、特筆すべきは、本題の「When Marnie was there」、be動詞が過去形was、つまり今現在、もうマーニーはここにはいない、ということを「思い出」という名詞ひとつで表現している。
いやあ、すっげえ。笑
こうした作業って、英語力だけじゃなくてなんというか、クリエイティブな発想力が問われていますよね。もう一種の芸術の領域だと思います。
③秒速5センチメートル
さあ、最後に取り上げるのは、またまた新海誠監督作品、『秒速5センチメートル』です。
この作品は、簡単にいうと「小学生時代」「高校生時代」「社会人時代」の短編3話が連作になっているもので、全体を通して63分という短い映画作品です。
内容はネタバレ防止のために言いません。笑
ネタバレにならない範囲で簡単にいうと、惹かれあった男女のラブストーリーです。(※こんな陳腐で簡潔な言葉で片付けて良い作品ではないです。ぜひ観てみてください!!)
では、英訳タイトルをみていきたいと思います。
その前に、邦題の「秒速5センチメートル」の意味ですが、これは「桜の花びらが舞い落ちる速度」です。作品中でも言及があります。
おしゃれでキャッチーなタイトルですよね。
では英訳タイトルはどうなるのでしょうか。考えてみてください。
「5 centimeters per second」じゃないですよ。笑
正解は、
「a chain of short stories about their distance」。
訳すと、
「彼らの距離についての連作短編物語」。
くうぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!胸が締め付けられるッッ!!!
このタイトルからだけでも、「秒速5センチメートル」というのが男女の距離に関係している、ということが読み取れちゃいますよね。
人の歩く速さは時速4.7km、秒速にすると1.3m(130センチメートル)だと言われています。
そう考えると、秒速5センチメートルが早いのか遅いのか、なんとなくわかりますよね。
そして最後に、この作品のキャッチコピー。それは、
「どれほどの速さで生きれば、きみにまた会えるのか」。
粋すぎて卒倒しそうです。笑
評価が分かれる映画ですが、私はこの作品の予告編を何十回と繰り返してみるぐらいに大好きです。
ぜひ、この記事を読んだ上で予告編をご覧ください。
宣伝みたいになっちゃいましたが、英訳からだけでもいろんなことが理解できる素敵なタイトルでした。
いかがでしたでしょうか。
ほんの少しはあなたの好奇心を満たすことができたでしょうか。
他にも、粋な英訳タイトル、翻訳などあればぜひ紹介してください😊
本日も読んでくださり、本当にありがとうございました!!
さあ、日々勉強を頑張る皆さん、一緒に励まし合ってweatherしていきましょう!!!🔥
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