夏休み、森林浴読書を味わう24歳
こんにちは。[かなで]です。
本日は愛知県の山奥にある、とあるキャンプサイトに来ています。
大学再入学後、初の帰省です。
母親から「夏休み、家族でキャンプに行こう」と誘われ、二つ返事で地元に帰ってきました。
おそらく、ベンチャーで働いていた頃の私は断っていたでしょう(実際に帰省もほとんどしませんでした)。
しかしながら、タイで自分の人生と向き合った結果、家族との時間をもっと大事にしようと思った私は、これからはできるだけ長く家族と一緒にいようと決めたのです。カッコつけていうと、人生の優先順位を変えた、ということです。
↓ベンチャーを辞めて大学再入学した経緯はこちら↓
さてさて。なぜキャンプかというと、私の家族は昔から大のキャンプ好きで、自前のテントを2-3個、さらにはタープ(屋根の役割をする簡易テント的なもの)やキャンプでのQOLを上げるいろーんなグッズが揃っています。
したがって、私の家族は「旅行」となったらホテルや歓楽地に行くのではなく、もっぱらキャンプへ行くのです。
さらには、私には20歳歳の離れた、4歳の弟がいます。その弟にも、キャンプを通じて人生経験を積ませたいという母の思いもあるのかもしれません。
さあ、キャンプサイト到着です。
針葉樹で囲まれた山奥。豊根村という、愛知県の端っこにある超絶山田舎(否定的な意味はありません)です。
小川がキャンプサイトのすぐそばを流れ、鳥と蝉の生を謳歌するような大合唱が聴こえます。
日中にも関わらず、気温は25℃程度。
とっても涼しい最高の避暑地です。
到着後、テントを設営し、タープを張り、簡易キッチンを拵えていきます。
私の役割は、4歳の弟と遊ぶこと。笑
4歳の男の子は好奇心のカタマリで、目を離すとすぐにどこかへ行ってしまいます。
これも立派な役割なのです。
しばらくすると、2歳年下なのに学年はひとつ上の妹(汗)が、トマトソースをふんだんに使った夏野菜・水無カレーを作ってくれました。
さぁーすることもなくなり、各々、自由時間です。
本日のメインディッシュ、キャンプの私の楽しみ。それが「森林浴読書」でございます。
経験ある方はわかるかもしれませんが、自然の中で本を読む時間は、何物にも代え難い、格別なものなのです。
そして、私には決まって自然の中で読むと決めている本があります。
それが、写真家の星野道夫さんの書籍です。
中学・高校の国語や英語の教科書でも取り上げられているので、星野さんをご存知の方も多いはず。
私は彼の著作が大好きで、高校生の頃から何周も読み耽っていました。
星野さんは高校生のころ、たまたま本屋で手に取ったアラスカの写真集の中の1枚の写真に引き込まれ、それをきっかけに「写真家」という職業を通じてアラスカと共に生きた人です。
アラスカは、1年のほとんどが冬で、氷点下50度をも超えるような極寒の土地です。
そんな土地に、カメラとキャンプ道具を担いで、長い時では1年以上を一人で過ごす。
過酷な環境の中で星野さんがシャッターを切った写真は筆舌に尽くし難いほど素晴らしいものなのです。
星野さんは他にも、自然に対する考え、野生動物たちの生の営み、アラスカ、極北に生きる人たちとの交流、そういったものを、自分自身の言葉を紡いで本にしているのです。
星野さんの本を読んでいると、自分があたかも壮大な自然の中で星野さんの横にいて、一緒に焚き火を囲んで話をしているような感覚にとらわれることがあります。
それだけ、星野さんの言葉のセンスは群を抜いて素晴らしいもので、そんな彼と一緒に過ごす時間が大好きなのです。
そうしながら私は、星野さんの言葉とともに、自然の中へ没頭していきました。
ふと、本から顔を上げると、4歳の弟が木の枝を左手に持ちながら、小川の向こうに果てしなく広がる森の海を微動だにせず見つめていました。
「すっごいね」
そんな弟の何気ない言葉を聴いて、星野さんの言葉が私の心に浮かんできました。
そうか。この風景も、いつか弟を励ましたり、勇気を与える時が来るかもしれないんだなぁ。
そう感慨深く思い、肌を撫でるような優しい森の風を感じながら、私は本に目を落とし、ふたたび星野さんとの世界へ入っていきました。