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感情表現を忘れた夫に、元セラピストの妻がトラウマリリースをやってみた

夫と結婚して2年が過ぎました。私たちは交際0日婚で、出会った日数=結婚生活がほぼ一緒。私の転職先に夫がいて、出会ってすぐ結婚して夫の転職のタイミングが重なり、結婚後すぐに2人で退職。結局、私のその会社の滞在期間は1年足らずで、まるで夫を見つけるためだけに入社したようなもんでした。

この2年間、夫のことを一番近くで観察して気づいたのが、夫は感情を失くしがちということ。喜び、悲しみ、楽しみ、といった感情があまりなく、怒りだけがハッキリしている……。「何をしているときに幸せを感じるの?」と聞いても「わからない」と言う……。

最近は、仕事で疲れているとイライラが酷いときが続いて、妻の私はそんな夫の姿を見て悲しい気分になっていました。

セラピストとしてのバックグラウンド

私は独身時代、民間のカウンセリング資格を取得して、自営業をしていました。得意分野は、女性の悩みの解決。家族や恋愛、仕事について、過去の傷を癒したり、前進したりするのを手助けしていました。

その中でも得意だったのが、トラウマリリース。過去に傷ついた出来事を優しく包み込んで癒し、クライアントさんが自分で立ち上がることに力を注いでいました。

ありがたいことに口コミで広がり、それだけで食べていけるようになりました。しかし、9割以上が女性のクライアントさんだったので、男性とはやはり傾向が違う。そのため夫を2年間じっくり観察し、夫の感情についての傾向が明らかになってきたので、ついに先日、夫にガチのカウンセリングをしてみることにしました!!

夫へカウンセリング

私のトラウマリリースの手順は、大体以下の通りです。③の具体的なテクニックについては、それだけですごい量の内容になってしまうので、ここではスキップします。

①本人が変わりたいと思っているか確認【自由意志】

普段の生活から私が感じた夫への違和感を伝えて、まずは本人に問題を自覚してもらいます。なぜなら、本人が「変わりたい」と思わない限り、本当の癒しは起こらないから。本人の意思が何より大切なのです。

妻や周りがいくら「夫を変えたい」と頑張っても、本人のやる気がなければ変化はかなり難しいと経験から感じています。(しかし周りの働きかけは、変化のきっかけになるので大切です)

②感情を抑圧するようになったきっかけを探る【傾聴・質問】

まずは、傾聴してどんな世界観を持って生きてきたか探っていきます。完全に寄り添って、否定せず、言うことすべてを受け入れて話を聴いていきます。

そうすると不思議なんですが、本人が原因となった出来事を勝手に思い出して、べらべらと話し出すのです。ついさっきまで完璧に忘れていた過去の出来事を急に思い出して、あたかも昨日起こったことのように饒舌に語りだします。

夫の場合は、社会人1年目にパワハラ上司に高圧的に指導されたことを思い出して、目に涙を浮かべながらそのシーンを教えてくれました。その上司の影響力が非常に強く、彼に従うために喜びや楽しみの感情を一切なくし、ロボットのように服従して生きていくと誓ってしまったような状況でした。

(これは、トラウマとなった出来事が、傾聴によって夫の意識の表面上に浮き上がってきた状態です。夫も、自分で話しながら「こんなことをまだこんなに鮮明に覚えていたなんて」と驚いていました。)

③トラウマリリース

ひと通り話を聴き終わった後、あらゆるテクニックを使ってトラウマを解消していきます。このテクニックの取得に、過去かなり時間とお金をかけました。

④当時の傷を思い出してもらう【確認】

トラウマリリースが終わったなと感じたら、「じゃあ、その上司に感情を抑圧されたさっきのシーンをもう一度思い出してみて?」と聞いてみます。ここで「もう何にも感じない」という言葉が出たら、トラウマリリースが大体成功です。

「まだ胸がちょっとチクッとする」などと言われたら、再びトラウマリリースのテクニックを使って、そして確認作業を繰り返します。

過去の辛かった感情が完璧になくなり、「もうただの記憶でしかない」という状態になるまで、徹底的にやっつけます!マイ・モットーは徹底的!!

⑤今後の方向づけ【イメージ化】

トラウマリリースが完了したら、今後どんな風に過ごせばいいか、意識付けをしていきます。夫の場合は、喜びや幸せといったプラスの感情を感じる力が弱いので、妻の視点から見て「夫くんは、こんなことをやったら楽しいんじゃない?」とアドバイスをしました。

こうやって、「楽しいことをしていいんだ」と夫が自分に許可を与えて、楽しいことをしている様子を具体的にイメージすることが大切です。

今の夫の様子

夫はめちゃめちゃいい人で、人から好かれるし、コミュニケーション能力も高いし、正しいリーダーシップもあって仕事もできるし、優しい人です。ただ、それはすべて仕事のためのスキル。

過去の上司との出来事で感情を潰され、日常生活の楽しみ方を完全に忘れてしまっていたようでした。

トラウマリリース後の夫は、なんだか軽そうです。「そんなにすぐ、劇的には変わらんよ」と自分では言っているけれど、私から見ると以前よりずっと楽しそうに見えます。前よりよく話すようになったし、私の話もしっかり聞いてくれるようになり、普段の会話の質が高まりました。「夫」という存在が、感情を表現することで際立ってきた感じ。

私たちは子供がいないし、お互いの状態がダイレクトに相手に伝わります。夫の幸せは私の幸せだし、私の幸せも夫の幸せ。どちらかが辛かったら相手にも伝わる。だから、どちらかが困ったら一方が助けて、楽しいことは一緒に目いっぱい楽しむ。

夫婦って、こうやって絆を深めながら生きていくのかな、と今回のトラウマリリースを通じて感じたのでした。

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