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年収600万円の新卒が直面した、ただ一つの想定外

もう10年以上前の話ですが、学生時代の僕は
「数年で独立するし、給料優先で就職先を選ぼう」
「お金好きだし、給料良ければ大抵の事は我慢出来るでしょ」
という感じで就職活動をしていました。

学生時代に個人開発でスマホアプリを作りまくってたおかげで就活は順調に進み、第一志望の某ソシャゲ企業にエンジニアとして内定を獲得。
しかも給料はなんと額面で月44万円、さらに家賃補助が月5万円もついて、年収約600万円という、かなり恵まれた条件でした。


ただ一つの想定外

入社後の4ヶ月ぐらいは研修期間でした。
良い意味で本物のコミュ強の人に会ってちょっと感動したり、逆に論理的思考が皆無の人に唖然としたり、エンジニアの研修についていくのがギリギリだったり、大変でしたが楽しい毎日だったような気がします。

しかし、配属先の希望を出す段階になると雲行きが怪しくなりました。
自分が就職活動時に志望していた仕事である、スマホゲームの開発をしているチームの募集がなかったのです。
さらに、消去法で提出した配属希望も全て通らず、希望を出してないチームに配属され、そのチームに上手く馴染む事も出来ませんでした。

とはいえ、仕事環境は意外にもホワイトで、幸いな事に同期のエンジニア達とは今でも交流があるぐらい仲良くなれたので、給料が良いことも含めてトータルでは想定内かと思われました。

ただ一つ想定外だったのが「面白くない」という感情の重さでした。

配属されたチームが運営していたのは、当時ポチポチゲーと揶揄されていたパズドラ以前のソシャゲで、これが自分には全く合いませんでした。
さらにそのゲームは既に長年運営され、売上も大きいタイトルなので、仕事としてやるのは、基本的に今までの延長線上のコンテンツを追加するだけ。

つまり、ただ単純に運営してるゲームも仕事も「面白くなかった」のです。
たったそれだけの事が、実際に働き始めてみると想像以上に自分の中で大きなストレスになりました。

「仕事が面白くない」なんて、仕事の不満で上位の理由、むしろ当然過ぎて不満とすら思わない人も多そうな事に引っ掛かるとは自分でも驚きました。
実際、就職前に考えていた
「給料良ければ大抵の事は我慢出来るでしょ」
"大抵"に一番最初に含まれるのが"面白くない"だと思ってたぐらいです。


どこにも後悔はない

結局、僕は入社して5ヶ月程で会社を辞めました。
その後転職したのは、小さなスマホゲームの開発会社です。

もちろん給料は下がりましたが仕事は格段に面白くなりました。

作っていのたはカジュアルゲームと呼ばれるミニゲームで、ゲームを運営するという事もほとんどなく、新しい物をドンドン作っていく感じでした。
さらに企画書のような物も存在せず、ざっくりと概要だけ説明されて、都度「こんな感じでどうですか?」と確認して作っていくスタイルです。

しかし、どうやらそれが自分には合っていたようです。
「おそらくこういう面白さを求められているんだろうな」
「こうしたら、もっと気持ち良くなりそう」

と自分で考え、実装していく仕事が前職とは違う意味で大変でしたが、とても楽しかったのです。

この転職は間違いなく良い選択だったと思いますが、実は新卒の就職も全く後悔がなかったりします。
なぜならそのおかげで、自分自身の理解を深める事が出来たから。

元々なんとなく理解してた部分もありますが、「どっちの方がどれぐらい大事か」みたいな微妙な違いは、実際に経験したからこその感覚だと思います。


今でも重要な指標

その会社を2年程勤めた後、貯金が貯まったので独立しました。

結果だけを見ると予定通り独立も出来て、自分のゲームも作れていますが、その過程は全く想像してなかった道程でした。
そして気付けばそれから7年以上も経っています。

仕事としてやる以上、個人開発のゲームであってもお金が稼げるかどうかを考えるのは当然ですが、それと同じぐらい「自分が作っていて面白いか」は、今でも重要な指標です。

「こうした方が多分稼げるんだろうけど、自分が面白くはないんだよな」
とよく悩みますが、バランスよくやれているのは、これまでの経験のおかげかもしれません。


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