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あのころの気持ち|『王妃の帰還』

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『王妃の帰還』 柚木 麻子

私立女子校・聖鏡女学園中等部二年の範子は雑誌の編集長として勤める母と二人で暮らしながら、チヨジ、スーさん、リンダさんという気の合う仲間たちと、地味ながらも楽しく平和な学園生活を送っていた。
ところが、クラスである事件が起き、公開裁判の末に滝沢さん(=王妃)がクラスの頂点にいる姫グループを追われてしまう。
なりゆきで滝沢さんを迎え入れることとなった範子たちだったが、彼女の傍若無人さに、グループの調和は崩壊!
穏やかな日常を取り戻すために、範子たちはある計画を企てる……。

傷つきやすくて我がままで――
みんながプリンセスだった時代を鮮烈に描き出すガールズ小説!

読み始めたら一気読みしてしまった1冊。

フランス革命をなぞらえて描かれる中学2年生の女の子の話だ。

柚木麻子は「女の子の気持ちを書かせたらすごい」と言われるけれど、感想としてはリアリティというよりもデフォルメだと感じる。

「わかる~」って気持ちと「実際はこんなんじゃないんだよなぁ」という、「こんな気持ちにちょっとなったことあるかもなぁ」が大きな事件になって、まるで生活のすべてのように表現されている。

綺麗な女の子、ちょっと不思議な女の子、そんな同性に魅かれて、仲よくなりたいな、彼女を守りたいなと思う気持ちというのは、大人になってもずっと変わらずにある気がする。

これは女の子特有の気持ちなのかな?

男の子にとっては、読んだら「ほら、女って恐い」って思いたくなっちゃうような本。
(でも、私はそれは正しい感想ではないと思う)

女の子にとっては、自分が表現できないまま大人になってしまった気持ちを思いきり引き出し、代弁してくれるような本。

中学2年生の時の自分。
人生で一番かわいくなかったなぁ。

― 2015年7月9日 読了

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《処方》

💊 昔の自分を認めてあげたい

💊 友情に悩んだことがある

💊 コミュニティでの立ち回りに不安がある

💊 中二病

《印象的な言葉》

同じプリーツスカートの制服を着ていても、丈やデザインがあか抜けていて、彼女だけオートクチュールを身につけているような特別な輝きを放っている。
まるで小雨の中でゆっくりと木蓮が花開くような、やわらかであたたかい、それでいて泣いているような笑顔。
コラージュは『王妃の帰還』をイメージして作成したものです。

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