日記ZINEあたふた制作日誌 vol.2 タイトルが決まらなくて
※この連載は、11/11開催の文学フリマ東京37で発売するZINEの製作過程をざっくばらんに書いた日誌です。どうぞゆるい気持ちでお読みください。前回の記事はこちら※
「このタイトル、フリッパーズギターのファーストアルバムからですか?」
日記シリーズ第1弾のタイトル『散歩するつもりじゃなかった』を出した頃、何人の方からかそう言われました。
フリッパーズの『海へ行くつもりじゃなかった』は大学生の頃の思い出が詰まった作品で、リアルタイムではなかったものの、あの頃いちばん聴いていたと言っても過言ではないアルバムです。
「〇〇するつもりじゃなかった」って言葉が好きなんですよね。そもそも日記本だって作るつもりじゃなかったんですから。いろいろあって、エッセイが書けなくなって日記本を作り始めた経緯があるので。
この言葉には、どこへ向かうか分かってない不確実な要素が押し出されていて、その予測できなさが好きです。
「するつもりじゃなかった」というタイトルは文学フリマでもよく見かけます。この語彙が好きな方が多いんだろうな。いつか「するつもりじゃなかった」シリーズを集めたブースを作ったらおもしろいかも…!
……あ、こんなに脱線するつもりはなかったんです。
本が好きな皆さんは、何がきっかけとなって「これ読みたい!」となるんでしょうか。
もともと子どもの頃から読書好きだったという経歴を持ち合わせないわたしは、どちらかというと、表紙のデザインが自分好みかどうかがいちばんの軸となっていた気がします。
それは逆に言えば、中身が良くても冴えない表紙だと手に取らないことにも繋がり、結果的に読む本の範囲を狭めて生きてきてしまったということにもなるのですが、その話はいつか。
SNSを見ていると、話題となる作品のタイトルに共通しているのは「見たことのない、そして単体ではその意味が伝わらない(からこそ気になる)文章」。この数年は特に長めの文章形式のタイトルが人気だなーと思っています。
そうやってわたし個人のゆるやかな分析を携えつつ、でもわざとらしく決めるのは嫌だなーといった思いを抱えつつ、夏ごろから次作の日記本のタイトルを悶々と考えていました。
……もう、全然決まらなくて!!!
表紙のデザイナーさんへのオファーも打ち合わせも終えた段階でもまだ決まらず。
ほんとに皆さんどう決めてるんですか……。涙目になりながら、部屋の本棚を見つめます。
そこで、ふと思いつきました。表紙のデザインがどうとかを抜きにして、好きなタイトルだけを並べた本棚を作ってみようと。
せきしろさんと又吉さんの自由律俳句集『蕎麦湯が来ない』『カキフライがないなら来なかった』とか大好きだなー。
向田邦子の『思い出トランプ』とか『冬の運動会』みたいな短い単語なのに聞いたことのない羅列もいいよな……と、本の背表紙を並べてニヤニヤすること数日。
で、思いついたのがこちら。
このタイトルが正解かどうかはわかりませんが、個人的にはとても好きな、それでいて今回の日記を象徴するタイトルがつけれたのではないかと思います。そうだといいな。
(文フリ当日までにこのシリーズを書き終えれない不安を抱えつつ、次回へ続く)
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