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メモが形見で成仏できるか/映画の感想

 ____映画Mementoを知っているだろうか?

 一昨日にずっと放置していた言語交換アプリ『Hello Talk』を再開した。
 そこで早速マッチングしたアメリカ人男性とテレビ電話をした。
 「ちょい待ってて」という日本語を教えたら謎に大ウケだったので、海外の方へ教えることを勧めるよ。

 話題は映画だった。もちろん目的は言語学習なので日本語と英語の映画を互いに5作品ずつ提案しあった。
 銭湯通いが趣味でオダキリジョーもまあまあ好きという理由だけで、湯を沸かすほどの熱い愛を勧めたら「あぁ!説明が悲しいすぎるだよお!!」と日本語で却下された。あらすじを読んだだけで彼は泣いたようだ。彼は新婚らしいし勧めるのはまずかったかしら。おほほ。

 一方私は、おすすめされた映画の『Memento』を観た。題名は日本語でいうと『形見』や『思い出』という感じのニュアンスなので、きっと感動的な内容なのだろうと予想していた。
 鑑賞し始めてすぐに構成の違和感に囚われた。四コマ漫画のようにコマ割りされたような映像たちは、その始まりと終わりに全く同じ内容を映していた。推理ものが好きな私は「ほほぅ、何か意味のある構成なのだろうな」と心を躍らせた。躍らせるだけで推理はしない

 私はタトゥーの入った人も素敵だと思うタイプだが、主人公のタトゥーは興も覚める猟奇的内容だ。こんな趣味の悪い男とその気になり寝れるなんて、こりゃまったくもの好きな女たち。とくに、妻の死因を思い出しかねないのに、デリヘル嬢に亡き妻の『形見』を渡して寝ようなんてシーンにはゾッとしたね。これがタイトル回収だったら最悪なユーモアセンスだよ、この主人公は
 こんな具合に主人公不信になり、とにかくずっと不穏な気持ちのまま最後まで観た。ナタリーの知的な暴力と健気で嘘つきなテディ。誰が正しいのか何が真実なのか、この物語の語り部はレナードなのかサミーなのか。謎がいくつも残る作品だった。大好物だよ嬉しいね。
 時に感情的に記されたメモは、信頼するには危ういが記憶に難のある彼には唯一の生きる希望となる。これからもメモを頼りに復讐し続けるのかもしれない。可哀想なレニー。しかし彼は本当に記憶障害なのだろうかと疑問も感じた。本当は昨日の晩ごはんが思い出せない程度で、かなり計算高いのではないだろうか。感情的な彼の思惑通り、最後は相棒を殺してしまったのだから。

 私もメモを頼りに毎日あった出来事を復習をしているわけなので、いつかは常に感情的なメモに惑わされて大切なことを見失うなんてことにならないように気を付けなくてはね!ヒイヒイ。
 鑑賞後は暫くテディの可愛い「レニー!」を脳内で反芻した。そして、コマ毎に巻き戻しながら再度鑑賞したが、きっと当時この映画を観た人間は同じような感じで二度目の鑑賞必至だったであろうと思うと、この監督は策士だなと脱帽である。

 「ああ賛否両論しかし名作、日本人は熟考すべき作品『Oppenheimer』で話題の監督クリストファー・ノーランさんよ。噂では、落とす気のなかった地獄の兵器って日本の滑稽な自作自演で二度も先祖たちに牙をむいたそうですがそんな阿保な日本は好きかい?私はその阿保の一人だけどMementoの気持ち悪くて楽しい謎から抜け出せないので続編ありませんか?Interstellarがお気に入りなんですけどね。」とサインをおねだりしたい。

 私はこんな感じで映画の感想をアメリカ人に伝えると、「たしかに暴力だよね。考察をみるともっと知りたくなるから見ると良い!」「、まだ悲しい心できないからマジックアワーを明日観ますね!」などと返ってきた。
 たとえこれが語学力不足の招いた偶然だとしても、私の感想を「暴力」と言い、映画の名前を「湯」まで省略し、心の準備を「悲しい心」と形容した彼のセンスにも脱帽である。

 まあ、昔の敵(かたき)同士であるはずの日本人とアメリカ人がくだらない言語交換で「ちょい」とか言って大笑いしているのだ。英霊たちの誰がこんな未来を想像できただろうか。種を超えて和を生む人間は素晴らしいね!妻の敵討ちなんてしてないでアンタもさっさとHello Talk始めなさいよ!とMementoの主人公に言いたいし『Oppenheimer』を受け入れる我が国の阿保みたいな懐の広さと桜の美しさに誇らしさを感じている。

過去があるから今がある、でも過去を恨んでは未来はない。でも、滅多にしない夜更かしをして腹を壊した昨日の自分を恨むのは未来に繋がる。毎日そんなふうに生きていきたい。

 実にまとまりのない感情的で筋のない文であるのも夜更かしのせいだろう。猫が電気消せよと睨んでいる。
 そういや最近、気に入って飲んでいる野草茶のお陰で肌が綺麗になった気がする。日本人でよかった。
 ああ変なの。とほほ・・・。

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