関根佳恵監修・著『家族農業が世界を変える』 第24回学校図書館出版賞を受賞しました。
学校図書館出版賞は、学校図書館向け図書の優良な出版企画を顕彰し、学校図書館向きの優良な図書の出版を充実させることを目的としているものです。
この出版賞は、全国学校図書館協議会の選定図書のうち、当該年の前年の5月1日から4月30日までに出版された図書を対象にしています。選考は、学校図書館出版賞選定委員会が「学校図書館出版賞選考基準」をもとに行い、特に優れた企画には、大賞を1点、優れた企画には3点以内に出版賞を授与します。
〈推薦のことば〉
上野千鶴子さん
(家族社会学、東京大学名誉教授)
家族農業はもう古い、と思っているあなた。人間の再生産が持続可能であるためには植物も動物も環境も持続可能であることが基本のき。そのための家族農業の再評価が本シリーズです。
藤原辰史さん
(農業史、京都大学准教授)
土を作り、植物や動物を育てる営みが、福祉から地域づくりまで大きな社会貢献になるばかりでなく、地球規模の課題解決の主役でもあることも、このシリーズは教えてくれます。
塩見直紀さん
(半農半X研究所代表・総務省地域力創造アドバイザー)
世界を変える魔法はもうあまりないと言われますが、この3巻シリーズと若い世代との出会いが魔法となる気がしています。半農半Xコンセプトと世界の家族農業との新たな出会いも未来を少し変える予感がするのです。
〈著者のことば〉
この度、拙著『家族農業が世界を変える』(全3巻)を出版してくださったかもがわ出版が、第24回学校図書館出版賞を受賞されました。この賞は、公益社団法人全国学校図書館協議会が、小中学校の学校図書館向け図書の優れた企画に授与するものです。著者として、本企画を高く評価してくださった同協議会にお礼を申し上げるとともに、出版の機会をくださったかもがわ出版にあらためて感謝申し上げます。
本書は、貧困・飢餓(1巻)、環境・エネルギー問題(2巻)、社会の多様性(3巻)について学び、私たちの毎日の食卓から持続可能な社会への移行について一緒に考えるための3巻シリーズです。小学校5年生以上を対象として、豊富な資料とイラスト、写真を用いて、これらのテーマを分かりやすく解説していますので、総合的な学習の時間の調べ学習などに活用して頂ければたいへん嬉しいです。
受賞のお知らせを頂いたのは、ロシアのウクライナ侵攻によって世界の食料価格が高騰し、国連が食料危機の再来に警鐘を鳴らしている時期でした。気候危機やコロナ危機に続き、ウクライナ危機が起きたことで、あらためて食と農のあり方について考えていらっしゃる方が多いと思います。私たちが生きるために欠かせない「食べること」を入り口として、社会のさまざまな課題を解決するために何が必要かを考える際、本シリーズがお役に立てば幸いです。
最後に、本書の企画を終始一緒に考えてくださり、出版に導いてくださった編集担当の伊藤知代さん、いつもイメージ以上のイラストを描いてくださった佐々木こづえさん、素晴らしい色彩感覚で装丁を手掛けてくださった佐藤匠さん、圧巻の校正をしてくださった山家直子さん、それぞれの専門分野から本書に新たな視点を与えてくださったコラム協力者のみなさん、快く写真を提供して下さったみなさんに心からお礼を申し上げます。また、家族農業の振興のために運動をともにしている家族農林漁業プラットフォーム・ジャパン(FFPJ)のみなさん、この運動の中で出会ったみなさんとの対話のなかでこの本は生まれました。記してお礼を申し上げます。
〈担当編集者のことば〉
家族農業とは、英語でいうとFamily Farming。農業だけでなく、林業・狩猟や漁業・養殖、畜産・牧畜などもふくみ、おもに家族などの小規模な単位で食料生産にたずさわることです。日本ではITを駆使したスマート農業が宣伝され目立っていますが、国際的には、環境問題、気候変動などを背景に、大きな機械を使わず、輸送による環境負荷を軽減し、地域コミュニティの維持にもつながる、家族農業が注目を集めています。家族農業は、SDGsの要とまで言われるほどです。
一方、「家族」農業というとどうしても家父長的な古いイメージがつきまといます。でも、これからの家族農業は、「女だから(男だから)○○すべき」という価値観を抜け出し、自分(たち)らしい生き方と農業をつないでいく――そういう多様性と大きなポテンシャルを内包するものです。そのことに希望を感じながら、企画を進めました。これからも、「地球標準」の知見を、わかりやすい言葉とビジュアルで子どもたちに伝えていけるよう、精進していきたいです。
#学校図書館 #学校図書館出版賞 #農業 #家族農業 #食と農 #地産地消 #アグロエコロジー #持続可能 #有機農業 #自然農業 #有機給食 #生物多様性 #オーガニック