長期の休みを取る方法
神里です。
以前、上手な仕事の休み方という記事を更新しました。
これはあくまで、急な休みだったり休息を取りたかったりするためのやり方で、短期的なものである事が前提です。
しかし例えば、
・転職を本気で考えている
・副業を考えたいからまとまった時間が欲しい
・やりたい事をするのに数日以上時間がかかる
などの個人的な理由で長期間の休みが欲しい場合。
もしかしたら、あるかもしれません。
*育児や介護については、これに当てはまりません。別な制度を利用します。
今回紹介するのは、あくまで超個人的な理由でまとまった休みが欲しいという方にお話できるものです。
最初に書いておきます。
この方法は、もし行う場合は、いよいよもって決意をかたくした時に最終手段くらいのつもりで行ってください。
この方法なら、状況にもよりますが、数日~数ヶ月の休みを取る事ができます。しかも、後日ではありますが、ちゃんと給付金が出ます。
しかしながら、リスクが伴います。会社での立場云々以外の、大きなリスクです。
また、人によってはこの記事内容を見て怒るかもしれません。この記事はあくまで「長期の休みを取りたいがどうしたらいいかわからず悩んでいる」という人に、かなりぶっちゃけた内容として向けています。怒る気持ちはとてもよくわかりますが、今回はそういう方に向けていないという事はご理解ください。
勿論違法行為などではありません。
罪悪感を覚えるようなやり方ではありますが、自分の人生だからと思えばなんということはない程度です。
この辺りについても、きちんと解説していきます。
あくまで、こういうやり方でも休みが取れる、という方法の一つとしてお考えください。
事前に準備するもの
用意しなければならないものはありますが、最初は必要ありません。
強いていえば、上に載せた短期的に休みを取る方法で行うような、周囲との関係性が築けていると、より休みは取りやすいでしょう。ただ、その場合はやり方を間違えると困った事になりますが。
準備は、物というより心構えの方が重要です。
1.何故自分は休みが必要なのか、はっきりさせておく
目的がはっきりしていなければ、折角休みをとっても無為に過ごしてしまうかもしれません。
休みを取る前に、どうして休みを自分は取りたいのか、それは長期の休みでなければならないのか、きちんと考えておきましょう。
2.休んだ後どうするか決めておく
休みを取った後、ずっとその仕事を続けるのか、近いうちに転職を考えるのか、昇進についてどう考えているのか、自分の立ち位置はどうありたいのか……
復帰後何の心配もなく元通りというわけにはいきません。超個人的な都合での休みになります、復帰後のあなたの印象はこれまでとガラリと変わるでしょう。これも含め、今後どうしたいかはきちんと考えておかないと、後悔する事になりかねません。
3.どれくらいの休みが必要なのか計算する
今回のやり方ですと、表向きこれを誰かに話す必要はありません。
しかし、自分が何故休みが必要なのかはっきりさせていれば、それにどれくらいの時間が必要なのかは自分でわかるはず。
休んでからの時間を無駄にしないためにも、事前に調べたり考えたりできる事はやっておきましょう。
未知の事に挑戦する場合、かかる時間がわからないかもしれません。家庭環境などにもよるでしょうし。その場合、おおよそ1ヶ月程度を考えるといいかもしれません。
4.休みの間に何をする必要があるのか考える
2にも関連しますが、休んでいる間に自分が具体的に何をするのか計画を立てます。
実際に取り組んでみなければわからないこともあるでしょうから、もちろんだいたいでかまいません。
やるべき事が明確でないと、いざ休みが始まっても何をどうしていいか悩むところから始めなければならず、時間が無駄になります。
5.必要な物を取り揃える
勿論、何をするかはっきりしたら、必要なものもわかると思います。
可能な範囲で、それらを休みに入る前に集めておきましょう。
実は、休みを取るために必要なものというのは物凄く少ないです。
もう一つ事前に準備するものがあるのですが、それは次の項目で。
後々必要になるものについては、順を追って紹介していきます。
どう休みを取るのか
では実際に休みを取っていきます。
何をするかというと……
病休を取ります。
何の病気か?
うつ病です。
うつ病といっても本当の本気でうつ病診断をいただくわけではありません。
うつ病の診断は多くの人が思っているよりもかなり範囲が広く、軽度の症状でも診断書がもらえます。
「うつ傾向にあることが考えられる」という程度の診断ももらう事ができるのです。
またこの診断は、とても簡単にもらえます。
断っておきますが、お医者さんが悪い事をしているわけではありません。
そもそもうつ病などの精神疾患は本人の状態や思う所によるものが大きく、軽度のものだと専門家でもはっきりと区別するのは難しいです。
増してや昨今では様々な精神疾患に名前がつくようになり、その診断も境界線が曖昧です。
誤解をおそれず言えば、診断が下っている人よりも重度だけど診断をもらわず普通に生きてる、なんて事は当たり前のようにあります。
何が言いたいかというと、
『非常に悩んでいて気が沈む、頭が痛くなる、眠れない時がたびたびある、などの症状があるので、診断書をください』
と話してください。そうしたら、診断書がもらえます。
ということ。
誤解している人も多いのですが、病院は病気を治してくれる所ではありますが、能動的に患者に対してあれこれしてくれる所ではありません。
医者はあくまで状況を診てそれを伝え、どうしたいかを患者に尋ねます。それに答えたなら、医者はそれを受けて治療を行ってくれる。
元来そういうもの。
当たり前の工程を省いていたり好意で先先話してくれたりしているだけで、本来は患者が(診断を受け)何をどうしたいか話さなければなりません。
癌の治療を考えるとわかりやすいです。
癌であることは医者が検査などをして診断します。
でもそうだからといって、じゃあ手術しますね、放射線治療しますね、と勝手に話は進みませんよね。
どうしたいか、患者に尋ねます。
本来は、何もかもこれと同じなのです。
うつ病についても同じこと。
眠れないなどの症状を伝えると、うつの傾向があるかもねと話されます。
それを受けてどうしたいのか、患者が話す必要があります。
通院してカウンセリングを受けるのか、薬を飲んで精神を抑えたり眠れるようにしたいのか、そして診断書がほしいのかどうか。
診断書なんてオマケみたいなものです。「悩み事が酷くて眠れないから薬ください」で睡眠薬でももらえばもう軽度の診断書くらいは出る状態です。そこで、診断書ください、と話すだけのこと。
うつ病、と聞くと大きく構えてしまいがちですが、風邪引いて病院行って診断書もらうくらいのことと、やってることは同じです。
診断書をもらうのに重篤である必要はない、ということです。
リスクを考える
しかし勿論、最初に書きましたとおり、これにはリスクがあります。
うつ病の診断を受けた事実は、取得した資格のごとくつきまといます。
これの何がリスクかというと、例えば保険に入る際に欝診断がある場合だと制限される事があるかもしれません。また、もしかしたら、業種によっては転職等に響くかもしれません。
ただ、既往歴については原則尋ねる事ができないようになっています。プライベートの範囲に含まれるからです。
業務上どうしても確認しておく必要がある場合などは尋ねる事もできるかもしれませんが、基本的には尋ねること自体がアウトですし、答えられませんと断ってもいいです(合否判定的にどうなるかはわかりません。これを理由にした場合は不当とできますが、内容は公開されないので)
うつ病についても、必ずしも現在の健康状態と関係があるとは言えないという面から、大きく影響するものではないと考えられるため、これを問題にする事は原則できません。後々これを理由に解雇された場合は、不当解雇で告訴できます(本人の状態によりますが)
大きくは、既往歴的な部分によるリスクです。
正直、公的に載ることにはなりますが、これを公開しなければならない場面はほぼないので、大きな問題となる方は少ないかもしれません。
もうひとつは、会社での立場です。
育児や介護とは違い超個人的な事で今後も左右しそうな内容であるため、昇進などが遠のく場合がほとんどでしょうし、「うつで休んだ人」という目で見られるようになります。その後の頑張り次第でイメージは払拭できるでしょうけど、ことあるごとに判断材料に使われることにはなるでしょう。その覚悟は必要です。
金銭面の問題は?
これは病休にあたるので、傷病手当がもらえます。
ただし、もらえるのは復帰後2週間~1ヶ月程度してからになります。
そもそも傷病手当の申請が、休みが終わってからになりますのでね。会社の事務の人がどれだけ早くしてくれるかにもよりますし、不備があれば返送され修正してまた送りますので、スムースにいかないと結構時間がかかります。
金額としては、おおよそ給料の2/3になります。組合などからもお見舞金が出る場合もあるので、チェックしておくといいでしょう。
また、手当てがもらえるのは1年6ヶ月までです。今回のような取り方でこんなに取ることはないでしょうけど。
ちなみに、給料の締日に申請するといいでしょう。会社から給料が出ていないことの証明を提出することになりますので。
詳しくは健保https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g6/cat620/r307/のページを見てみるといいでしょう。
休みを取る流れ
ではリスクもわかったところで、流れを見ていきます。
1.受診し、診断書をもらう
厳密に言えば、悩んでいる空気を事前に職場で出しておく必要があります。
何なら、上司にたびたび相談もしてみるといいでしょう。
内容は各々あると思いますが、診断書をもらうに至るストーリーが作れていると、周囲との軋轢も少なくできます。
言ってしまえば計画的欝ですので罪悪感はあると思いますが、これも自分の人生のため。そうまでして時間が欲しいと決意を固めたのですから、余計な事は考えず、全力で取り組んでいきましょう。
さて、とにもかくにも、診断書がないとどうにもなりません。
ただ、診断書が必要になるのは後の手続きの時ですので、休む前には必要ありません(会社の規定によります)
それでもまずは一度かかっておき、上司に話す材料としておくと良いでしょう。
勿論、この時点で診断書をもらう話を医者にしてください。診断書が出るのには時間がかかります。
受診したら、上司に理由(悩んでいて辛いという話)を話し、休む旨を伝えます。
診断書が既に手元にあれば見せるのもいいですが、事前に用意していた感が出てしまうので、個人的には「一回受診してみたら、少し休んだ方がいいのではないかと医者もアドバイスをくれた」と話す程度にする方がいいです。
こう言われて「気合だ」なんていわれればそれはパワハラですしね。
それで「診断書もってきて」といわれたら、診断書が出てから見せるといいでしょう。
休む話をしたら、色々話はあると思いますが、だいたい許してもらえると思います。
期間を聞かれる場合も多いですが、病気の性質上はっきり答えられるものではないので、とりあえず数週間~1ヶ月(もしくは薬が出ている日数)と答えておくといいでしょう。1ヶ月程度であれば再受診の必要もないですし、後日連絡した日にそのまま復帰が可能です。更に長期にわたる場合は、途中で再診を挟む方がいいと思います。
2.休みの間に、計画していたことを行う
ひとたび休みになれば、あとは貴方の自由です。
やりたい事をやりたいようにやってください。
当たり前ですが、外で遊び呆けている場面など目撃されないようにしてください。そんなアホはいないと思いますが。
あくまで、自分はうつで休んでいるんだ、という認識のもと行動してください。
転職を考える場合、意外と職安は注意が必要です。
会社は職安に求人を依頼しにきていたり説明会をしにきていたりします。
どうしても行きたい場合、必要最低限にして、できるだけPCを見たりするなど顔や姿が確認されにくいようにしましょう。
まとまった休みがあると、どうしても怠けがちです。
毎日の計画を立てる、気分を入れ替える時間を作る、ルーティンを取り入れる、など自分が集中しやすい環境を作ってみてくださいね。
3.その後の手続き
休んでいる間に診断書が届くでしょうから、保管しておきます。
基本的には、出勤が可能になってから所定の事務へ話をしに行き、必要書類を渡すことになります。
手続きは事務の方がやってくださるので、あなたは必要書類をそろえましょう。必要なものは教えてくれます。
繰り返しますが、手続きには時間がかかります。
事務の方の都合もあるでしょうし、最速で給付金が受け取れることはほとんどないと思います。
時期によっては1ヶ月以上かかる事もありますので、金銭面での計画はきちんとしておいてくださいね。
4.その後
あとは、仕事に復帰するだけです。
事前にどんな言動をしていたか、今後どんな姿勢を見せていくかで、あなたの立場はがらりと変わります。
それらを受け入れ、また頑張るなりする意欲をもって、休みをとったはずです。
休みの間に成果が出た出なかったに関わらず、ご自身のアフターケアはきちんと行いましょう。
どんな事情であれ、会社や同僚先輩後輩にご理解いただいたことに変わりはありません。その事実はしっかり受け止め、恩を返すつもりで仕事に取り組んでいきましょう。
個人的にではありますが、これは必須事項だと思っています。
まとめ
いかがでしょうか。
思っていたよりも簡単で驚かれた方もおられるのでは。
周囲への迷惑等考えて遠慮してしまう事が常ですが、あなたの人生はあなたのものです。そうまでして休みを取る事があなたの人生のためになるのなら、考えてみる価値はある手段だと思います。
ただし注意して欲しいのは、私はこの方法を推奨まではしておりません。
あくまでこういったやり方もあるという紹介を行うのみです。
こういったやり方は、正直かなりぶっちゃけたやり方といいますか、自分を最優先に考えるなら取れる手段、というくらいのものなので、表立って推奨できるものではありません。
非常に複雑な思いではありますが、それでも叶えたい願いがある、やりたい事がある、進めたい何かがある、そういう場合は覚悟をもって取り組む時間を確保するのは、最終的には悪い事ではないと思います。
遠慮ばかりして他人ばかり優先して、自分の人生満足に生きる事ができなかった……なんて、絶対後悔しかしないですからね。
向上心があるからこそ、野心があるからこそ、なのにゃ。