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総選挙(3):せっかく小泉の息子がいるのに、自民党は「2005年総選挙」のような「裏金議員切り」を演出できなかったかなあ。

さて、かみぽこさんの「うがった見方」を、総選挙前にもう1つやってみたいと思います(笑)。

私ね、「うがった見方」がポジティブな言葉だとあんまり思ってなくて、失礼しました。まだまだ浅学菲才、ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い致します(笑)。

思った以上に、自民党は微妙な状況になってきたな。石破首相は言ってはいけないことを言ったな。「悪夢」と言ってしまっては、安倍晋三元首相と同じになってしまったではないか。

石破首相は、「反安倍」「反主流」を貫いたから最後の最後に首相になる機会を得たわけだ。

それが、首相になってみると、「政策」も「政治姿勢」も後退に次ぐ、後退。安倍首相時代からの、与党に都合のいい時期の解散、いわゆる「7条解散」を批判し、「予算委員会を開いて、野党と論戦を行って選択肢を提示してから解散」と明言していたのに、内閣発足後、わずか8日で解散権行使。

石破首相は、「変節」「嘘つき」「手のひら返し」と散々に批判されている。

そして、「民主党は悪夢」は、もう手のひら返しの決定打ではないか。

石破首相は、野田佳彦立憲民主党代表など、かつて若手時代に一緒に「政治改革」に取り組んだ政治家が野党にも多数いるわけだ。

石破政権の安全保障担当補佐官はかつて民主党政権だった長島昭久氏。側近には細野豪志氏もいる。

石破首相は、与野党が罵声を浴びせ合いながら利害が一致した「自共連立」から脱し、「穏健な保守中道によるコンセンサス政治」に変化させると期待していた。

「民主党が悪夢」というなら、それもパーである。保守と左翼の「ノイジーマイノリティ」は喜ぶかもしれないが、本当に勝敗を左右する「サイレントマジョリティ」は、ドッチラケだろう。選挙で劣勢なので、焦っているのだろうが、いったいどこをみているのか。

どこをみているのか、という意味で今日も1つ「頭の体操」をしてみたい。

「うがった見方」を始めてみたいと思うのだが(笑)。前回の「うがった見方」の続きとすれば、この総選挙、「2009年民主党政権」の再現は無理だが、「1993年細川護熙政権」には似た状況になっている。しかし、93年まで戻らなくても、自民党は「2005年郵政解散総選挙」で止めることはできなかったか?ということだ。

今回の総選挙の焦点は「裏金問題」である。

石破首相は、派閥の政治資金パーティー裏金事件で不記載があった現職国会議員・支部長計34人(引退を表明した議員をのぞく)について、衆院選で後任はするが、比例代表への重複立候補を認めないと表明した。

他に萩生田光一元政調会長ら10議員については、4月に決めた党内処分が続いているなどとして、小選挙区での公認もしないとした。

自民党は、裏金議員について原則公認し、比例代表との重複立候補も原則容認する方向だった。だが、世論からの強い批判を背景に、石破首相が党内を押し切った形だった。

「変節」批判に応えようとしたのだが、十分だったといえるだろうか。その後の総選挙での自民党の不調、特に「裏金議員」の大量落選となれば、政権交代の危機に陥る。十分でない上に、選挙の戦略としても適切ではないといえるのではないか。

だから、「2005年郵政解散総選挙」の再現を狙う、もっと周到な戦略を持つべきではなかったか。せっかく、「小泉の息子」が選対委員長をやっているのだから(笑)。

どういうことかというと、「裏金議員」は34人、一律未公認とする。そして、その選挙区には「刺客」として、新人候補を擁立する。さらに、その新人候補を「比例代表のリスト1位」として、「絶対に当選する」扱いとする。

こうすれば、「裏金議員」の処分に圧倒的な説得力が出る上に、自民党の議席減を最低限に抑えられる。いや、議席増もあるかもしれない。

これは、荒唐無稽とはいえない。今、内閣総理大臣・自民党総裁の権力・権限は、その歯止めであった派閥の解消によって、過去最大級に強力になっている。

公認権、資金配分権、人事権、やりたい放題にできる。まだ、派閥の牽制があった時期の安倍政権でさえ、「河井杏里事件」など、やりたい放題だったではないか。

2005年、誰が「参院で郵政民営化法案が否決されて、衆院を解散する」と思いました?誰が「造反議員の選挙区に刺客を立てる」と思いました?

それを小泉純一郎首相は躊躇なく断行したわけだ。真の改革者は、自分にどんな権力があって、なにができるかを知って、冷徹にやり切る。

石破首相は甘い。「反安倍」「反主流」ではあっても、「自民党をぶっ潰す」改革者ではなかったということだ。

特に、繰り返すが、「小泉の息子」進次郎氏が、選挙対策委員長に就任している。今回の総選挙で、若手、女性の抜擢を行ったが、親父が2005年の総選挙でやった「刺客」戦術を知っているはずだ。親父張りの果断な決断をアピールする場を求めているはずだ。

その進次郎の後ろには、実力者の森山裕幹事長がいる。森山幹事長の力量、手腕をもってすれば、刺客を「裏金議員」の選挙区に揃えることは難しくない。

全国には、自民党系の女性地方議員とその候補者は多数いる。自民党は「10年で国政女性議員比率30%へ」という目標をかかげて、女性人材の発掘育成に取り組んできた。まあ、そのHPに出ているプロジェクトの代表(?)が「エッフェル松川」なのはご愛嬌だが(笑)。

もちろん、男性の若手地方議員の多士済々だ。要は、世襲が候補者の座を占めているから、才能も志もありながら、地方に埋もれている人材が山ほどいるわけだ。彼らにもっとチャンスを与えればよかった。

それは、時間があればできた。

要は、石破首相が自民党総裁選の前に発言していたように、首相就任後、予算委員会を開き、1か月ほど、野田代表との間で「穏健に議論をする」というフリをし、その間に森山幹事長が裏で準備を進める。そして、

「議論は尽くした。衆院を解散する」

と宣言する。野田代表も「よし、やりましょう!」と納得して応じる状況を作る。

そこで、進次郎が出てきて、「刺客」を派手派手しく発表する。記者会見を開き、「裏金問題とは、永遠に決別する!」として

「私は、国民の皆さんに聞いてみたいと思います。裏金議員は是か非か!」

と、どこかで聞いたようなセリフを言い放つ(爆笑)。

2005年の時は武部勤幹事長(当時)が、刺客を出す時

「案山子でも立候補させる!」

と言ったような記憶がうっすらあるが、今回、そこまで「刺客」探すのに苦労しなかったと思いますよ。あの時と比べものにならんくらい、地方ではいろんな新しい人が出てます。皆、既存の政治に不満があって、なにかやりたいと動く若い人は多いですからね。

まあ、これをやれば、石破首相は「変節」とは言われなかった。焦りましたねね。まあ、うがった見方をすれば、これを「反安倍」「反主流」の石破首相がやってしまうという「狂気」を避けるため、周囲が早期解散で石破首相を追い込んだのかもしれないね。

まあ、総選挙はどうなりますかね。「頭の体操」でございました。総選挙前に、あと2つほど笑っていただこうと思ってます。

それでは、またね。



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