人に寄り添う(たっつんさんのXから) 9 神野守 2024年6月23日 08:25 X(旧Twitter)でフォローしている「たっつん(@tattsun_cw)」さんのポストが「なるほど」と思ったので紹介させていただきます。老人ホームの16時。認知症のU子さんが「 おうち帰らなあかん! 」と、ウロウロし始める。入居してこられて1週間。夕方になるとエレベーターに乗り込もうとしたり、フロア内をずっと歩き回られて、おうちに帰ろうと出口を探される。『 ここにお泊りですよ 』とお伝えしても、「 こんなところにいてる場合じゃないんよ。早く帰らせてぇな! 」と、全く聞く耳を持ってくださらない。ウロウロは2時間以上続き、最終的には疲れてソファにへたり込んで帰りたいと思ってたことも忘れて終了、というパターンだった。ただでさえ夕食の前後で忙しい時間に、U子さんだけに職員1人が付きっきりになるわけにもいかず、かといって目を離してしまうと、ホームを出て行ってしまわれる可能性もあってみんなが途方に暮れていた。そこでぼくはある作戦に打って出た。それは、U子さんの頭の中の世界に合わせて共に行動してみるということ。U子さんのウロウロが始まったタイミングで、『 ぼくがおうちまで送って行きますね 』とお伝えして、一緒にホームを出てみたのだ。U子さんの隣りにつきながら穏やかに『 おうちどこですか? 』と話しかけるが、U子さんはぼくをにらんで「 ついてこんでええ! 」と怒鳴りつけてくる。こけそうな時などにすぐに手が届く距離でついて歩き、どうしたらいいか迷ってる感じの時に話しかける。U子さんからしてみれば、” 歩いておうちに向かってるけど、今、どこにいるのかわからなくなってきた。迷ってたら、誰かわからんけど男性が話しかけてきた。だから追い払ってやった ”こんな感じかな。そしてこれを無限ループ。ただこれをひたすら続けていると、U子さんがぼくの顔を見るたびに、だんだんと安心しておられるような感じが伝わってきた。そんな散歩を約2時間。最後はヘトヘトで公園のベンチに座り込まれたので、ホームに電話して事務員さんに車で迎えにきてもらう。その間、持っていってたお茶をU子さんに飲んで頂くと、グビグビグビグビーッ「 すんまへんなぁ 」と笑顔で言ってくださった。おうちに帰ろうとされたことを忘れておられ、車で一緒にホームへ戻った。翌日も夕方に「 おうち帰る! 」が始まった。『 送っていきます 』と、また2人でホームを出て1時間30分程度で車のお迎え。「 すんまへんなぁ 」 までがちょっと早くなった。3日目は、1時間ちょっとのお散歩でホームへ歩いて戻った。この時は夕食前に帰ってこれたので、職員と一緒に食事の準備を手伝って頂くことにした。笑顔で 「 ええよ! 」 って袖をまくり上げてノリノリだった。” さっきまでの「 おうち帰る 」 をすっかり忘れてるやん ”と、心の中でツッコんだ。4日目のお散歩は30分ほど。『 夕食の準備あるから帰りましょか? 』 の声かけに、「 そうやな 」 の返事。5日目で「 おうち帰る! 」 がなくなった。反対にぼくがお散歩の声かけをすると、「 今から行ったら、この人らの晩ごはんに間に合わんがな 」と笑顔。それ以降は、みなさんの食事の準備をすることがU子さんの日課になり、夕方にウロウロされることはほとんどなくなった。U子さんが食事のお手伝いをしてくださる時の為に用意した花柄のエプロンは、食器棚の横につけたフックにひっかけておくことになった。今日もぼくの長文をお読みくださり、ありがとうございます。U子さんがおうちに帰りたかったのは、” 家族が帰ってくるまでに夕食の準備をしないといけない ”という、妻として、母親としての思いがあったからかなと想像します。U子さんの世界にオジャマして否定せず、ゆっくり時間をかけて落ち着いて頂く。その上で、夕食の準備の対象を『 家族 』 から 『 この人ら 』 に変換できたことで、U子さんの夕方からの心の焦りが消えました。U子さんは『 人の役に立っている 』 ことがよほど嬉しかったのか、職員の仕事をいろいろと手伝って下さり、その後、体調を崩されるまでの数年間、ほんとにイキイキとした笑顔で過ごされました。Xユーザーのたっつんさん: 「老人ホームの16時。 認知症のU子さんが 「 おうち帰らなあかん! 」 と、ウロウロし始める。 入居してこられて1週間。 夕方になると エレベーターに 乗り込もうとしたり、 フロア内を ずっと歩き回られて、 おうちに帰ろうと出口を探される。 『 ここにお泊りですよ 』 とお伝えしても、 「」 / X その人を思いやり、寄り添ってあげる。介護の現場だけでなく、いろんな場面で意識したいなと思いました。 介護士歴19年のうち、介護部長を16年やっているたっつんさん。介護についての投稿をまとめた書籍がKADOKAWAさんより発売中です。 認知症の人、その本当の気持ち (角川書店単行本) www.amazon.co.jp 1,509円 (2024年06月23日 08:23時点 詳しくはこちら) Amazon.co.jpで購入する ダウンロード copy いいなと思ったら応援しよう! よろしければ応援お願いします! いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます! チップで応援する #エッセイ #介護 #名言 #思いやり #ほっこり #良い話 9