カルチャーは戦略に勝る。ミッション・ビジョン・バリューという最高の武器
今日は記念すべき日。創業して3年11ヶ月が経過し、ようやく自社のミッション・ビジョン・バリューを公開できる日が来ました。
実は今まで存在していなかったんです。
そもそも、ここまで時間がかかった背景などはこちらのnoteに書いているので、もしお時間あれば読んでみてください。
今回のnoteはタイトルにもなっている「カルチャーは戦略に勝る」と考えるようになったきっかけ。カミナシの具体的なMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)について書きました。
ぜひご覧ください。
偉大な企業になるために
ミッション・ビジョン・バリューをもう一度作ろう。
そう思い、一冊の本を手にした。FONDを創業した福山太郎さんが推薦していた書籍『ザ・アドバンテージ』。この本は自分に大きな指針を示してくれた。
「どんな会社でも獲得できる唯一にして最大の競争優位は組織の健全性である。だが、単純で望めば誰でもただで手に入れられるにもかかわらず、ほとんどのリーダーに無視されている」
この本の中で著者は、成功と失敗を分けるのは健全さだと言い切る。
健全と賢明
組織の健全さ。この言葉と対を成す、成功の条件として賢明さというワードも出てくる。以下のようなイメージだ。
どちらが大切だと考えますか?
諸岡自身は起業して以来ずっと、賢明さこそが全てだと考えていた。素晴らしいアイデア、鮮やかな戦略、それを実現するテクノロジー...これらが成功と失敗を分けると信じていた。
確かにそれは間違ってはいない。本の中でも、「どちらも必要」と言っている。しかし、同時にはっきりと「成功と失敗を分けるのはそこではない」と指摘する。
賢明であることは、重要ではあるが、現在ではあたりまえのことになった。賢明さは単なる参加資格、成功する可能性の最低限の基準にすぎない。
健全さ・賢明さというと少し分かりにくい。
健全さ=カルチャー、空気、価値観、行動規範
賢明さ=知性、戦略、数値、テクノロジー
自分はこの様なイメージを持った。こうした要素が、お前の企業が成功するか、失敗するかを決めると言っている。
本当にカルチャーは戦略に勝る?
もちろんすぐに、100%納得したわけではなかった。咀嚼する時間は必要だった。まず、思い浮かんだのがGAFA、トヨタといった企業だ。
彼らは、そのプロダクト自体が凄いのか?それとも、最高のプロダクトを再現性をもって生み出し続ける企業文化が偉大なのか?
個人的に、カローラ自体に魅力は感じないが、KAIZENの話は聞けば聞くほど畏敬の念を持つ。
でも、一番納得感を持ったのはグラン・メゾン東京のワンシーン。レシピを盗まれたことを知ったキムタクは笑った。『レシピがあっても作れない』とミッチーが言う。
競争力の源泉は「厨房>>>レシピ」にある。このシーンを思い出して、妙に納得してしまった。
残念ながら、殆どのメンバーはドラマを見ておらず、この例えはあまり伝わらなかったが、兎にも角にもカミナシのカルチャーづくりが始まり、そして今日完成した。
180°変わった世界の見方
ここからは、カミナシのMVVについて書きたい。何のために自分たちは存在していて、何を目指しているのか?
時間を少し遡る。
カミナシは僕自身の家業であるブルーカラーの現場経験から全てが始まっている。その世界はアナログで前時代的で、全てを安い労働力で解決しようとする世界だった。
そんな自分がホワイトカラーど真ん中のIT業界に飛び込んだ時(プログラミングスクールに入学した2016年頃)、元いた場所を振り返り最初に思ったのは、「なんて時代遅れの世界に生きてきたんだろうか?」「もう、あんなところに戻りたいとは思わない」という、とてもネガティブな気持ちだった。
でも、それが少しずつ変化していく。
確かに、エンジニアは賢いし、マーケターはデータを使ってすぐに改善案を出してくる。セールスだって常にCRMを使って的確な行動を起こす。それは凄いことだと思う。
自分がストップウォッチ片手に丸二日かけて、現場の生産性を計測していたことに比べれば、ありえないほどスマートだ。可視化に9割の時間をつかってしまい、アクションが疎かになるのがザラだった。
でも、それは単に技術(=IT)を使える環境にあるかどうかの違いでしかないのではないか?元々の能力差にそこまでの差はないと思うようになってきた。
毎日不良品を出さずに生産活動を行う工場や、問題があってもすぐに修理してしまうメンテナンス業者などを見てきた。スマートじゃなくても、信念を持って作業をしている人たちがいる。純粋に凄いな、と思う。
いつからか、「ITも使えない残念な人たち」ではなく、「ITの助けを借りずにこれだけのことが出来る人たち」に変わっていった。
3,100万人の埋もれている才能
2020年、ITで自分の能力をブースト出来るかどうかで、仕事人生が全く違うものになる。そんな時代に突入したと思う。今後この差は益々広がっていく。
もっと言えば、ITを限られたホワイトカラーのものだけにしておくのは、社会全体の損失だと思う。カミナシは少しずつ、この状況を変えていきたい。
社会という大きな話をしたが、正直自分は国力とか、日本全体の労働生産性のようなマクロ課題ドリブンな人間ではない。自分の当時の部下の顔や、今も父の会社で働く一人ひとりを思い浮かべて、彼らの仕事人生が豊かになればいいなと思う。
お客さんの生産性が改善されて、コストカットが出来たという話よりも、「自分のアイデアを、カミナシで実現できました!」と、ユーザーから届くメールのほうが100倍嬉しい。
全員が全員、ITを活用する仕事人生を望んでいるわけではないかもしれない。その一方で、スマホネイティブや、これから入社してくる若手社員など、変わらない現状を憂いている声をたくさん聞いてきた。
一番怖いのは、「慣れ」だ。今までのやり方、10年前に顔も知らない誰かが決めた方法に慣れ、諦め、惰性で今を肯定してしまう状態が最も怖い。そうやって、顔に以前の輝きがなくなっていく社員をたくさん見てきた。
僕らのミッションは、ITの力で本来発揮できる一人ひとりの才能を開花させること。SaaSもノーコードもアプリもDXも、全ては手段でしかない。
カミナシのミッション・ビジョン
ノンデスクワーカーの才能を解き放つ
カミナシの存在理由(ミッション)であり、目指すべきゴール(ビジョン)をこの文章に込めた。
カミナシはノンデスクワーカーのためのサービスをつくり、広め、彼らの仕事人生を今より輝かせるために存在している。
今現場で働いている人たち、これから働く人たちが、本来の能力を発揮し、ムダな仕事から開放され、成果を出すことに集中できるようにする。その結果、やりがいや、豊かな生活に繋がる。
押し付けがましいと思うこともある。大きなお世話だと言われるかもしれない。でも、そんなことは気にしない。SaaS事業をやること自体、おせっかい以外の何物でもない。僕らのSaaSがなくても世界は平和で回るのだから。
でも、そんな平穏な誰もが慣れきった世界を変えるのがSaaS企業だと思う。自分たちが存在しなければあり得なかった世界線を現実にする。そんな強い気持ちを持って、自分たちのミッション・ビジョンを宣言する。
カミナシのバリュー
バリューとは『カミナシらしさ。これからもそうであるという宣言であり、願い』である。
バリューを言い表すとこうなる。しかし、これは一つの側面にしか過ぎない。
バリューとはビジョンに到達するまでの階段であり、目標達成の手段という現実的で戦略的な側面もあると考えている。カミナシでは次の3つをバリューとして定めた。
現場ドリブン
カミナシの事業の成否を分けるのが、このバリューだ。最高のプロダクトがなければ、他で何を頑張ろうとこのビジョンは達成できない。
会議室でユーザーにヒアリングしているだけでは、最高のプロダクトは作れない。ともすれば、オンラインで話を聞いて分かったような気になってしまう。でも、そこに競争力は生まれない。泥臭いことをいとわず、課題に直接触れ、手を動かすことで、本当に強いSaaSが生まれる。
※入社して初月に現場にペインを体感しに行くメンバー3名
※エンジニアやデザイナーが積極的にユーザーに会いに行く文化
Don'ts
(※こういう人はカミナシっぽくない)
ずっとオフィスにこもって、想像だけで意思決定しようとする。
顧客が実際にどんな作業をしているのか、痛みはどこなのかを知らず、泥臭いことからは距離をおいて、手を抜く。
顧客と話さない。机上の空論の人。
全開オープン
このバリューには、皆がカミナシで働きたいと思える理由が詰まっている。今、この会社で一番自慢したいものは何かと聞かれたら 、集まっているメンバーを挙げたくなる。
自分の弱さも含めた自己開示できる人が多く、一緒に働いていて楽で、気持ちがいい。チームの体温を上げられる人間が集まってて、温かく、人間くさい。
でも、一方で自分たちはスタートアップであり、大きな野心を持っている。オープンネスは、ビジョン実現のために必要な戦術であり、勝率を上げるために必要ということも分かった上でこのバリューを掲げている。
※人生チャート。オフサイトMTGで共有したもの。しんどかった時期とかも共有した。
Don'ts
自分の良いところや、表面的な話しか共有しない。プライドが高く、アドバイスを攻撃だと受け取る。議論になると機嫌が悪くなる。都合の良い嘘をつく。論理や、数値のみで意思決定し、個人個人の意見や想いを聞かない。
仲良しこよしで、ぶつかることを恐れる。相手の体面を気にして、取り繕う。本人がいない場所で言う。
β版マインド
カミナシの仕事のスタイル。少し砕けた言い方をすれば「ノリ」とも言える。考え抜いたら、まずはやってみる。全てはβ版だから、改善するために失敗を恐れずやろう、出そうというスタンスで仕事をしている。
そもそも、会社自体も、食品工場向けのSaaSで一度挫折したが、今思えば3年間の壮大なβ版だった思うし、そこからの学びは計り知れない。例え失敗しても諦めなければ、大きな学びにつながる。
※社内の課題を外に向けて公開するという施策を実施した。
まだ誰もやっていないことだったし、悪い結果になることも考えられたが、その時はやめればいい、と勢いで実施した。結果、思いの外反響を頂いた。
Don'ts
怖がってチャレンジしない、人の失敗自体を攻める。失敗しても何も学ばない、ヘラヘラしてリベンジしない(こっちのほうが深刻)。失敗を許容する文化を勘違いしている。
すぐへこたれる。変に考えすぎる。プライドが高い。
視座・視点が低い。高みを目指さない。
従業員との約束
こうして書いてしまえば、1日もあれば出来上がってしまうカミナシのカルチャー。でも、これを創るまでには約4年の歳月がかかった。長い長い歩みの中で得た財産だと思う。
これから事業を軌道に乗せて成長していくのに、とても心強い武器にもなっている。
でも、それ以上に思ったのは、これは従業員との約束だということだ。掲げたカルチャーにフィットした人材だけを採用し続けるのは、今いる社員との約束みたいなものだと思う。
会社がそれを守り続ける限り、社員は安心して働けるし、自分たちが好きな空気が守られる。
採用に限らず、文化を破壊するものを徹底して排除することは、経営者にとって一番大事な仕事であり、僕はそれを全うしていきたい。
スペシャルサンクス
最後に、今回のMVVについては自分も、チームメンバーも全員が気に入っている。ワードチョイスや、言葉の響きなど3ヶ月に渡って考え続けてきた。
でも、自分たちだけでは今の最終形にたどり着けなかったと思う。元FolioでCDOを務めていた広野さんの力添えがあって完成したCIだ。短い期間で無理なお願いを言って、付き合っていただいたのだが、その過程は素晴らしかった。最高のユーザー体験だったと言っても過言じゃない。
今回は、完全リモートで実施したCI策定の裏側を、ほぼ全公開している。広野さんのnote『リモートCI策定プロセス(カミナシ編)』もぜひ読んでいただければ、幸いです。
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