創作の源であり続ける私的エンタメ体験史
こんにちは! 紙単衣(かみひとえ)の水引デザイナー小松です。
コロナウイルスの猛威、日に日に深刻化して恐いですね。経済的な面でも私もお店の営業を自粛したり、イベントが中止になったり、観光地等に卸している商品の売上が落ち込んだり…と様々な影響が出ています(涙。
そんな中でも3月中に新しくはじめたことが2つあります。
ひとつめは、おうち時間充実のためのオリジナル水引手作りキットのキャンペーン。3月限定開催の予定でしたが、4月以降も続けます。
ふたつめは、結婚式のウェルカムスペースに置く水引装飾品のレンタル。結婚式の開催自体が悩ましい時期ですが、早速ご利用の機会に恵まれました。
それぞれ以前から準備を進めていて、時間ができたので前倒しでリリースとなりました。作っているもののテイストに差があるので、私の活動をご覧いただいている方からよく聞かれる質問があります。
「アイディアはどこからくるの?」
「オリジナルの結び方はどうやって思いつくの?」
改めて聞かれても「ずっと考えているから…」という取るに足らない返事をしてしまうのですが、今回はモノを作るプロセスにおいて自分なりの価値観や思考を育んできた幼少期からのエンタメ体験(娯楽)に、ヒントがないか探ってみたいと思います!
「水引」に対する前提の想い
以前の記事↓で紹介しましたが、私が「水引」と出会ったのは小学5年生の夏休みの自由研究です。
その時感動したのは、まず何もないと思っていた地元に日本一と誇れるすごくきれいな伝統工芸品があると知ったことです。そして初めて入った水引工芸館で観た水引はキラキラ輝く細い紙紐から小さな作品も巨大な作品も作れる魔法のような素材であり手仕事という強烈な印象です。(巨大作品の代表:龍↓)
水引といえば「ご祝儀袋」を思い浮かべる人が大多数ですが、私のファーストインパクトでは「ご祝儀袋」は完全に脇役だったので、その前提の差が作る作品の自由度を広げているのかなと感じています。
ただ、実はあの夏わたしがドハマりしていたのはビーズ細工で、昆虫の水引手作りキットをお土産に買ってもらったものの難しそうで未だに開封すらしていないのです。。
モノづくり遊びが仕事に結びつくまで
小5の夏にビーズ細工にハマっていた私は、幼少期からずっと大人になっても文化系の遊びや趣味に勤しんできました。
多くの女性たちと同じく、魔女っ子アニメや少女漫画が好きでした。TVゲームはRPGを中心に毎日夢中で続けていたものです。そういえばファッション雑誌は買う習慣を持っていませんでした。
作り方をみながら母や姉と作り、10代中頃からはひとりで黙々と作るようになりました。
その時の興味に応じてこのほかにも時間があれば、工作キットを購入したり、体験教室に参加したりしてきました。まずは見本の真似をするところからはじめて、だんだん独自の応用を混ぜていきます。最終的に平面的な趣味・遊びはWeb/グラフィックデザインへ、立体的な趣味・遊びは水引へ興味が移行し、それぞれ仕事になりました。
新卒の時はものづくりとは関係ない仕事をしていましたが、人間関係や会社の都合で心身が疲弊するたびに「ずっとは続けられないなー」と思い、自分でWebデザインを学びにいきました。美大出身でないとクリエイティブ系職種は務まらないと思っていましたが、挑戦してみればなんとかなるものです。
今、内定取り消しになってしまった学生さんも、道はいくらでもありますので、運命を味方につけて新たな道を切り開いてくださいね! 応援しています。
世界観というオリジナリティ
造形を作ることのほかに、世界観、ストーリー、場面を作るというモノづくりもあります。思い起こせばこの種の遊びも長らく続けてきました。
特に演劇は学生時代に部活や学祭で経験し、社会人になってからもスクールに通って真面目に取り組み、劇場のお手伝いまでしていたのですが、仕事にはなっていません。そして今は続けていません。
なぜかというと、創作世界よりも現実世界の方が面白くなってしまったというのと、生活できる程のお金を得られる人が本当に一握りだなと見て取れたからです。
それでも、ひとつの世界観や感情に入り込んで表現方法を追求した経験は、空想世界に心を飛ばしたり、自分と観る人との視点を交互に行き来したり、クライアントの想いに寄り添ったり、自分と切り離して考える視点をもつべき時に役に立っているような気がします。
今、コロナの影響でさまざまなエンタメ公演が中止になってしまっていますが、その道のプロとして頑張ってる人たちの志を本当に尊敬します。事態が終息したら、私も久しぶりに舞台を観にいこうと思っています!
孤独と連帯
自分の知識や経験に基づいて生み出される世界観と表現。
創作活動の多くはひとりで過ごす時間にかかっています。
演劇のような集団芸術でも、ひとりで長い時間台本を読み、基礎的な練習を繰り返して、上手い人の技を研究して、自分なりの表現を模索することで仲間とも切磋琢磨して本番で力を発揮できます。野球選手がひとりで素振りの練習を毎日するのと似たような感じです。
ものを作っている最中のアドレナリンが出る状態と、完成した時の達成感が好きで、私は絶えず何かを作り続けているのかもしれません。
誰かと一緒に作る場合は、相手との信頼関係が非常に重要です。
ひとりで考えたアイディアや試作を披露し合い、意見交換して持ち帰り、またひとりの創作時間に戻り修正します。同じことに共感すると倍のパワーを発揮できますし、違う知見が掛け合わせられると化学反応となり、新たな発想や表現が生まれることもあります。協力する人が自分とかけ離れた経歴の持ち主だったり、単純に協力者の人数が多いほど、世界観に広がりが出ますが、熱量や力量に差がありすぎるとまとまらず深みが出ません。鬼ごっこに本気で走らない子やヨチヨチ歩きの子が混ざっていると平常のルールで楽しめないようなものです。
また、どうしても相手の意見と合わず納得解に至らずにやらされている仕事感を抱いたまま進めると、その時は完成しても、同じ人と同じやり方で何度も続けることは難しくなります。
企業様と一緒に取り組むお仕事では、世界観やお客様像がはっきりしているので、完全に寄り添う方向で考え、できる限り同じ温度感で届けたい相手に伝わる制作物を作れるように本気で取り組みます。
さいごに
6年前に「水引」と再会してからは、何よりも「水引」が面白くなってしまったので、現在は他の趣味はないと言っても過言ではない状態です。
それでも私の「作る」行為の心構えや着想、原点は、幼い頃から続けてきた創作遊びにあり、総じて楽しい体験です。仕事の仕方としては、会社員時代のWebデザインの作法が大いにヒントになっています。
子どもの頃、家の中で家族と作って遊んだ体験は、たとえ世界で何が起こっていようとも平和で幸せな時間だったと時折思い返します。
そんな時間を今の不安な世の中でもわずかでも過ごしていただけたらと思い、オリジナルの水引手作りキットを作っています。
実店舗は自粛気味ですが、BASEでオンラインショップを運営しています。
また、コープ東北様の『ハンズ便16号』チラシに6種類のアイテムを掲載していただきました。
いつ日常生活に戻れるのか不安は拭えませんが、まずは自分と身近な人を大切に、お家の中でできる楽しみを見つけて冷静に過ごしたいですね。
私も健康とそれから水引のお仕事を続けていけるように頑張ります!