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仏説魔訶酒仏妙楽経:呑んべによる呑んべのためのお経

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 現在の台東区にあたる下谷に住み、足立の文人と頻繁に交流した、江戸時代後期の儒学者(中国学問の学者)であり書家の亀田鵬斎(かめだ ぼうさい・かめだ ほうさい)。同じく下谷に住んでいた、絵師の谷文晁(たに ぶんちょう)や酒井抱一(さかい ほういつ)と親しく、「下谷の三幅対」と呼ばれていました。

 彼らと共に詩書画三昧の楽しい人生を送っていた…ようにみえますが、それは晩年のことで、そこに至るまでは中々に苦労していた人でありました。

 江戸神田に生まれた鵬斎は、儒学の中でも折衷学派という自由な学問を学んで名声を得て、若くして立ち上げた塾では、たくさんの門下生を抱えるまでになりました。

 ところが、江戸幕府から「寛政異学の禁(かんせい いがく の きん・幕府が定めた特定の学問以外を禁止する法令)」が出されると、鵬斎の学問は「異学」とみなされ、たくさんいた門下生は散り散りになってしまい、一時期は困窮してしまう事態に陥ってしまいました。

 その後は旅や引っ越しを経て、書や漢詩で再び名声を得た鵬斎ですが、この辺りから酒浸りの日々を送るようになっていったようです。元々酒好きだったところに、色んな苦労を経たことでお酒無しではいられなくなってしまったのか…そんなことを考えてしまいます。

 そんなわけで、鵬斎の書や詩の中には、お酒を題材としたものが多くみられます。ビビビ美アダチ、そして今回でも紹介しました『仏説魔訶酒仏妙楽経』もその一つです。内容はマンガでざっくり紹介した通りですが、『維摩経』や『般若心経』など、実在する仏教の経典を元に制作したパロディものとなっています。

 酒のありがたさを説いたお経なんて…お酒好きにとってはたまらない内容ですね。

 実際に、『仏説魔訶酒仏妙楽経』は酒好きの多くの人々にウケたようで、後に魔訶酒仏の涅槃図(ねはんず・釈迦の臨終の姿を絵にしたもの)の摺物まで出回ったそうです…うん。これぞ、江戸文化。(ほめてます)


亀田鵬斎について紹介しましたマンガはこちら↓

「ビビビ美アダチ」は、足立区役所Twitterほか、足立区立郷土博物館HPにて、月2回ペースで更新しております。


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