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あの扉の向こうに『見送り手を振る』

あの扉の向こうには


ある少し天気が崩れていた休日

いつものようにランチを食べる

もちろんアナタと向かい合って

たしかイタリアンにて。

それくらい曖昧な想い出に

もうなりつつある

ふらっと雑貨屋に入り

勝手に二人の住まいを

ボクだけ妄想の中に創り上げる。

買い物も終え目的を成し遂げる

ありふれたボクの日常の光景

メトロに降りる階段で

アナタを『見送り手を振る』

お互いに振るその手の意味は

もうすれ違っていた。

ボクは「また後で」

アナタは「どうかお元気で」

その温度差に気づかないまま

最後に手を振りあった。

あの瞬間のお互いの笑顔の意味も

何もかもがすれ違っていたという事実

こうなる事は

わかっていたのかもしれない

ただ信じたくなかったから

心の奥底で隠してきた。

アナタが離れていく事を恐れてたから

現実になった悲しみは

美化された記憶と共に

徐々に薄れていき

仲間と時間が癒してくれた。

明日につながることのない
『手を振り見送る』アナタと

明日があると信じて
『手を振り見送る』ボクの

すれ違いの始まりは

もう、わからないままに



そんな『手を振り見送った』気持ちを理解できなかったボクの物語。。

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