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あの扉の向こうに『秋風の薫り』

あの扉の向こうには


彩る紅葉は

年々その息吹を遅らせ

季節を短くしている。

車を走らせ巡る山々は

そのジレンマに

思うところがあれど

逆らう事はできない。

やっぱり

この季節はいいもんだ

山道を少し外れて

開いた場所へ車を停める。

おもむろにトランクから

折り畳み椅子と

アルコールランプを取り出し

ミネラル水を火にかける。

待つ間に豆を挽く

お気に入りの豆と

手動のミルなのが

唯一のこだわり。

麓の店で購入した

団子と豆大福を頬張りながら

淹れたばかりの

深煎りのコーヒーと楽しむ。

本当は誰かと来たいけど

今は相手もいないし

ひとりで嗜むブレイクタイム。

のんびりと過ごす

この時間は忙しさを

少しの間だけ忘れさせてくれる。

なんとか今年も来れたよ

この場所に。



そんな『秋風に紛れて薫る』紅葉とコーヒーを楽しむだけの物語。。

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