あの扉の向こうに『もみじ🍁』
あの扉の向こうには
「
しばらく蒼く茂っていた
その『もみじ』は
彩り咲き始める。
春に掛けて
青々と広げるその手に
不思議と関心を寄せる人はいない。
きっと青春を謳歌している
あの20代の頃の様に慌ただしく
でも大勢の中の一つとして
目立つ事なく季節を渡り歩く。
やがて周りの仲間たちも
色づきはじめ
大人になった事を感じる。
鮮やかに熟した『もみじ』たちは
その先にある紅葉に向かって
最後の準備を始める。
この限られた時間を
大切に生きてきたのかと
思い返しても
後悔の方が多いのかもしれない。
でもその後悔は生きてきた証。
周りが散り行く歳になりながら
過ごしてきた時間を
笑顔で振り返られたなら
きっと幸せだったのだろう。
この長くもなく細くもない
ただ平凡な幹に残り
繋ぎ止めていた『もみじ🍁』が
今まさに散ろうとしている。
この世界からしたら
ちっぽけな人生でも
この私が過ごしたは
代えるモノなどない大切な人生。
さあ、先立った友人たちの元へ
幹からひらり揺らめき
風に舞ながら落ちてゆく。
薄れる意識と共に。
」
そんな紅葉の『もみじ🍁』の様に、そっと朽ちて華々しく終わりを迎える物語。。
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