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【私の100冊】No.1 公文文庫の思い出と世界の神話・民話・伝説

先日「私をつくってきた100冊」というのを選び、プロフィールにしました。そこで選んだ100冊について、順不同ですが魅力をご紹介しながら選んだ理由、思い出などを綴ります。

1 お話宝玉選 小学館編集部
2 世界のメルヘン(講談社)全24冊 講談社編集部

子供の頃から、神話・伝説・民話の類いが大好きでした
後のファンタジー好きの萌芽だったと思うのですが、不思議な話、妖精や魔物、魔法使いや仙女などに惹かれました。
各国に同じようなモチーフの物語があることや、地域ごとに特色があるところなど読み比べるのも面白く、まだ出会ったことのない話を探して読みあさっておりました。

そんな私にとってまさに理想の本、とでもいうべきものが「宝玉選」シリーズ全三巻
「宝玉選」シリーズは、小学館が世界の神話・伝説・昔話などから採取して収録した物語集。
日本童話宝玉選、世界童話宝玉選、お話宝玉選と3種類ありました。

これだけ聞くと、よくあるタイプの童話集ですが、尋常でなかったのはその分厚さ。インターネットで調べたところ、それぞれ約650Pほどでした。
読んでも読んでも次がある。
お話一編は、童話・民話なので基本的には短編ですから、どこから開いても楽しめる。
しかも、それだけ分厚いのですから、普通の童話集では省かれてしまうようなマイナーなものもたっぷり収録されているのです。

とくに、お話宝玉選には、安珍清姫や附子など能や狂言の演目を書き下ろしたようなものとか、中国の弓の名人が機の下に入り込んでまばたきをしないように訓練する話とか、鎮西為朝の伝説とか今から思えば東洋文庫に並んでいるような本から採取した説話などが多く含まれていたと思います。

そして、講談社の世界のメルヘン全24巻
A4判くらいの装丁、イラストも美しいメルヘン集でこちらも大好きでした。
伝説・民話だけでなく、創作物語も含まれていることが特徴です。

たとえば第5巻イギリス童話(2)の目次
 ねがいのかなう魔法のほね チャールズ・ディケンズ
 白いねこのひみつ イーディス・ネズビット
 ピーターと魔法のほうき ローズ・フィルマン
 ひょうにはなぜまだらもようができたのか ラドヤード・キプリング
 岩の上の宮殿 リチャード・ヒューズ
 すばらしいお話 キャサリン・シンクレア 

見直してみたら贅沢な短編集

さて、これらの本の特徴は、「公文文庫」で読んでいた本だということです。
小学生の頃、週に1日、近所の公文教室に通っていました。
公文教室のH先生のお子様たちの本を中心に公文文庫は構成されていました。
私よりも10ほど年上で、今思えば、ご自身の子どもたちの手が離れたので自宅を解放して公文教室を開いていらっしゃったのでしょう。

問題を解いたら自由に読んでよいことになっていました。
問題を解く時間よりも公文文庫を読んでいる時間の方が圧倒的に長く、入り浸りすぎて流石に陽が落ちて、もう帰りなさいと促されるまで居続けておりました。

公文教室自体も、私は好きでした。
やればやっただけ進んでいくというシステムもやりがいがありましたし、プリント棚で先の級のプリントを眺めて、こんな問題がそのうち解けるようになるんだな、と期待したり、以前に苦戦した級のプリントを見返して、今は簡単に解けるぞ、と満足感を得たり、とゲームの攻略感覚だったと思います。

指導者のH先生(女性)は、母よりも一回りは上でしたが、背筋のピンと伸びたキリリとした方で、中学校の難しい(小学生の目には魔法みたいな文字や記号の羅列に見えた)数学もさらさらと教えている様子に憧れました。
提出したプリントが一回で満点になると大きな大きな花丸にPerfect!と流麗な筆記体で書き添えてくださいました。
先生に見守られて、騒々しい教室(当時は子供たちがわんさかいた)の片隅で本を読んでいる時間は、鍵っ子だった自分には大切なものでした。

H先生は、私が東京から戻ったときにもまだお教室を開いていらっしゃいました。
結婚して子供が生まれたら絶対に通わせよう、と思っていたのですが、その後まもなく体調を崩されて教室を閉じお亡くなりになりました。

お話宝玉選や世界メルヘン集は、思い出込みで大切な童話集です。
手元におきたくてずっと探していまして、世界メルヘン集の方は昨年ようやく値段と状態の折り合いのつくものが手に入りました。
久しぶりに読んでなつかしいこと!
忘れているものも、強烈に覚えているものもあって、その時々の記憶を呼び覚ましながら楽しんでいます。

私は、やっぱりこういう民話系の物語が大好きなようです。

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