②約20年ぶり…泥湯にたどり着きました
前回の記事では、ある朝ふと別府の温泉に行きたいと思い立って、色々な温泉を見ながら迷った末に鉱泥温泉というスペシャルな温泉を思い出したことを書きました。
鉱泥温泉って、午前中の短い時間しかやってないんですよ。温泉がお休みの日もあるし、わが家も今までずっと子育て中でいろいろあったし。行きたくてもなかなか行けない夢の場所だったんですよね。そやけど今年度になって不登校の季節が終わり、とりあえずみんな学校に行くようになって…。あと、わたし自身もフリー3年目で少しは空き時間を使えるようになってきたこともあり、朝8時台から動ける日もちらほら出てきました。…ということで、約20年ぶりに、たまには朝から温泉に入れる感じになってきたんです。長かったなー、ここに至るまで。
坊主地獄に向かって左手前にあります
別府行こう、と思い立って温泉を目指したら、道沿いにある温泉が目について、その多さには改めてびっくり。この前、香川に行ってうどん屋さんの多いことに驚いたんやけど、別府では香川のうどん屋さんばりに温泉に出くわす。って例えが逆に分かりにくいか。
前回の記事で最初にどこ行こうかって悩んだ4つの温泉(浜脇温泉・日の出温泉・松原温泉・永石温泉)は車でわずか数分、そして徒歩圏内。その他にもまだいくつも温泉があるっていう充実ぶり。別府って宿泊施設を除く共同浴場だけでも市内に170もあるらしい。そして宿泊施設(約1000軒っち!)の温泉も日帰りで入れるところが多い。市営の温泉は別府市民やったら100円で入れるみたい。わたしは市外やけん200円やけど。いいなー別府の人!
わたしがこの日に選んだ鉱泥温泉は別府観光のなかでも有名な地獄巡りの1つである坊主地獄に併設されております。記憶がちょっとバグっていて、海地獄の近所だと思い込んでいたよ。そしてiPhoneのマップで鉱泥温泉に向かうと、温泉の真裏にある道端に連れて行かれるから注意が必要なのです。笑。
坊主地獄の駐車場に向かって左端の手前に車を停めると、鉱泥温泉に近い。細い小道を曲がりくねりながら歩いて少し登っていく。庭を眺めると…なんかすごい。鉱泥温泉の庭って、こんなにきれいだったっけ。
とにかく木々の隙間まで掃き清められていて、砂利でもあればお寺の庭園みたいだなーと思ったほどきれい。
そうして受付にたどり着いたら…受付の方はお客さんにお風呂の入り方の説明をしてたみたいで不在でした。そっかー、1人でやってるのかー。
そして中にいたお客さんが突っ立ってるわたしを見て「とりあえず中に入ってあとでおばちゃんにお金を払ったらいいよ」と声をかけてくれました。常連さん、ありがとっすっ。
隅々までお掃除されていて美しい
初めての人は受付の方が入浴方法を教えてくれるみたいだけど、わたしはまあ、むかし通ってたから初めてではない。でも入り方わすれたなー…と思いながら女風呂の入り口にかかってるふわっとした布をくぐりました。右手に昔ながらの銭湯みたいなロッカーがあって、無料でアルミ製の鍵をかけられるから安心して入れます。そして本当、床も隅々までお掃除されていてきれい。まずはかかり湯で身体を清めてから泥湯に進むんだけど、あ、ここはシャンプーリンス石鹸の類は使うことができません。とにかくお湯の力をもらう場所だと考えたらいいかな。
脱衣所から引き戸を開けて一歩入ったところにあるそのかかり湯が、また気持ちがいいお湯なんですよ!確か、20年前はここに泥湯が入っていたと記憶してる。深いところと浅いところが半々くらいで、コンクリートと石の湯船にたっぷりと温泉が入ってる。そこに首まで浸かったとき思った。ああー、なんで20年も来なかったんだ。もうすでに最高じゃんか。
足先のほうはいい感じにぬるくて、首元は適温のたっぷりしたお湯に包まれる。そこそこ温もったら、次は泥湯だ。
泥湯の浴槽も露天にあって、両脇に3、4人ずつくらいは脚を伸ばして入れるほどの大きさ。お風呂の中は滑るので、入り口は手すりとなる棒が垂直に立っているところとしっかり決まりがある様子。捕まり棒に手をかけて、その右側からそろりそろりと入っていく。
当たり前なんだけど泥湯だから濁っていて、お湯の中がどうなっているか全然見えない。思ったよりも浅いところに足がついたのでびっくりしたなー。そうして時計の見えるポジションに座り、じっと浸かることにする。それからすぐに、じんわりと不思議な感覚が現れた。お湯がしみてくる…っていうか、しみるっていうとちょっと違うかな。身体の中に効いてくるというか、じわじわが届いてくるというか。昔もこんな感覚あったっけ?
泥湯は1回5分くらいで2〜3クール
何かわからないけどじわじわした感覚が身体の芯のほうに向かって波及してくる。わたしは身体が温もりにくいほうなんだけど、3分すぎたら顔や額から汗が出てきた。入る前に説明書きを見たら、1回あたり5分から7分の入浴にしておくようにとあったから、5分は入っときたい(欲張り)。実際は何分と決めるよりも自分の感覚を信じて、熱くなったら出るのが正解だと思う。
5分を少し過ぎて泥湯を一旦出て、もう一つあるかかり湯(掛け湯のための浴槽なのでここは入浴しないでねって書いてある)のある小屋の板の間に腰掛けて涼むことにした。はー。最高。何も考える必要がない。今この身体にある感覚が最高。いつもは坐禅とか瞑想でなんとかして「今ここ」にたどり着こうとしているけれど、温泉さえあればすぐに空っぽの自分になれる。
そこから身体が乾いて付着した泥が少し白くなるくらいまで休みながら、身体の熱がおさまっていく様子をひたすら味わった。それからもう1回、泥湯にはいる。
…とまあこんな感じで全部で3回くらい泥湯に浸かり、最後は掛け湯をして出たんですよね。泥を落とした後の肌の感じも最高やし、身体を拭いたあと休んで汗が引いていく感じも最高。それから服を着て、施設内で休む時間も最高。少しづつ水分補給をすると体内に染み渡る感じがしてそれも最高。
はー鉱泥温泉最高。そして最強。今こうやって思い出していてもなんか入ったときの感覚が蘇ってきたよ。
20年も時を置かずに入っとけばよかった。でもいま思い出すことができてよかったな。むかし入った色々な温泉ってまだあるかなー。温泉だって生きものだと思うから、これからもちょこちょこ入りに行っちょこう。
いつだって今だって遅すぎることはない。毎日毎日、思い立ったが吉日なのだ。もっともっと温泉行こ。まだ入ってない温泉にも会いにいくぞっ!
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