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令和7年、ヘンリー8世と6人の妻たちがアツい。映画「ファイアーブランド」と「セシルの女王」及び「SIX」
まさか令和7年がヘンリー8世フィーバー年になるなんて思いもよらなかった。
ヘンリー8世って誰?という方に簡単に説明すると、イングランド女王エリザベス1世のお父さんです。詳しくは検索して下さい。
男児を産ませるべく次々と妻を入れ替えたことで知られる彼が、最後に妻とした女性がキャサリン・パー。
映画「ファイアーブランド」は6人目の妻としてヘンリー8世に嫁いだ彼女に焦点を当てた作品です。
ヘンリー8世が出てくる映画で有名どころといえば「ブーリン家の姉妹」でしょうか。こちらは2人目の王妃となったアン・ブーリンとその姉を中心に描いた物語でした。
私が知っている限り、6人目のキャサリン・パーをメインにした映画は「ファイアーブランド」が初めてです(私が知らないだけで存在していたらすみません)
元々漫画「セシルの女王」が好きだった私は、パーさんが主役の映画が制作されたと知って日本での公開を待ってました。
「セシルの女王」ではイングランド王家に欠けた「母」のピースを埋めるため、自ら6人目となったパーさん。
私の最推しのメアリちゃんの怒りを尊重し、優しく接してくれたパーさんのことが私は大好きなのですが、映画「ファイアーブランド」は家族よりも宗教問題がメインだったので、セシルの女王で得た知識が無かったら約2時間ポカーンとしてスクリーンを眺めていたと思います。
↓ 以前書いたセシルの女王のマンガ感想文 ↓
晩年のヘンリー8世は足を悪くし、だいぶ巨体になっていたそうですが、アリシア・ヴィキャンデル演じるキャサリン・パーとの寝室でのシーンで見せたジュード・ロウのでっぷりとしたお尻、すごかったですね……。これにのしかかられてきた歴代の王妃様たち、大変だったろうなとゾッとしてしまいました。
タイトルの「ファイアーブランド」とはどういう意味なのか調べたところ、扇動者、たいまつと出てきました。
最初は説教者であり異端として処刑されたアン・アスキューのことかな?と考えていましたが、映画のラストのことを踏まえると、キャサリンが胸に灯し続けた信仰の光だったのかなと思います。
私には難しめの内容の映画だったのですが、アン・アスキューとキャサリン・パーのシスターフッド要素が思いのほか強めに描写されていたので、棚ぼたシスターフッド映画として咀嚼しました。
「ファイアーブランド」と「セシルの女王」ではキャサリン・パーの描かれ方はだいぶ違うのですが、興味深かったのはヘンリー8世の最期が両作品で思いがけない形で描かれていたこと。
どちらの最期でも、あっ、そこでその人がそうするんですか!?とびっくり……。
ただ、媒体や尺の違いもありますが、暴君として描かれがちなヘンリー8世を「セシルの女王」では「孤独で愛されない王様」として描いたことで、より歴史や家系というものへの理解が深まった気がします。
若い頃はカリスマ性に溢れ、高い教養も知性もあったはずのヘンリー8世が、どうして晩年は暴君となってしまったのか。どうすれば止められたのか?を考えることは、現代のあらゆる家庭や職場で起きているハラスメント問題の抑止にも繋がるのではないかと思います。
そして今年、ミュージカル「SIX」が日本でも公演されています。
このミュージカル、なんとヘンリー8世の6人の妻たちがガールズバンドを結成するという内容だそう。
東京での公演はすでに始まっていますが、私は名古屋の御園座に観に行くので、3月になるのが楽しみです。
YouTubeにたくさん動画があるのは知っているのですが、予習していった方がいいのか迷う気持ちと、何も知らずに行って驚きたい気持ちで揺れています。何にせよパワフルなステージであることは間違いないはず。
令和7年に巻き起こっている、まさかのヘンリー8世と6人の妻フィーバー。もしくはテューダー朝ブーム。
なぜ何百年も前の時代に起きた出来事が漫画・映画・ミュージカルとあらゆるエンタメで取り上げられ、人々を惹きつけて止まないのか。
それはヘンリー8世を取り巻く男女の色恋と信仰の違い、そして権力争いといった騒動が、令和の今でも世界中で続いているからではないでしょうか。
ヘンリー8世のことを知れば知るほど、結局人間が悩み、争っていることなんて、何百年間も変わっていないのではないかと考えさせられます。