雑記#2(廃校と公営団地、二〇〇五年のデジタルカメラ、南下)
三月ももう半ばになろうとしている。ぼくは廃校の中を歩く。ひとがいないので、校舎の匂いは錆びついている。南下するように過ぎてゆく季節に置いてけぼりにされないように、風景を睨む。十七時まで校庭は開放されているのだが、雨上がりで人はまばらである。いま、雨雲は九州のほうにいるらしい。(大抵、犬を散歩する老人とサッカー少年たちが場所を取り合っているのだが、偶然そこには誰もいなかった)
しかし誰もいない学校というのは珍しい。そこにない侘しさ、中心のない音が連続しているように聞こえる。