人は見たいものしか見えない
亀井堂にお勤めさせていただいた十年
毎日水盤に足も顔もありますと
話つづけていた
本当に気がつかないで放置されていた
学者も新聞記者も熱心な信者さまも
ただの水盤だとしかみえていなかった
目に映るすべてを意識すると
整理がつかなくなる
あらかじめ見たいものしか見えない
生物の自然な防御である
しかしそれで凝り固まったら
偏見しかもてない
街の路傍の道祖神なんか誰も意識しない
意識しない雑事にこそ
街の背景文化がある
見たいものだけで設計された街はつまらない
そうして見る楽しみを奪われた国は
人の住む場所ではなくなる
文明が巨大化するほどに
隠蔽される影は深くなる
もとよりウィルスは見えない
検知する努力は命を守り知性を刺激する
しかし見るな見せるなという
コンニャク問答に三年を浪費し
空虚を感じないまま
惰性で権力を振りかざす
そんな日常に慣れてしまえば
私も凡庸なサディストになるだろう
足と頭の写真を毎日見直し
投稿する
なぜ四本指なんでしょう
違った仮説をメモしてみる
そしてまた見る