四天王寺ぐるり回れば猫がいる
見出し写真は亀井堂そばのベンチの猫
四天王寺太子殿の二つの門。
写真上は、江戸時代初頭、元和再建図の中心伽藍と聖霊院太子殿。
太子殿と中心伽藍の間隔は狭く、お参りの人は太子殿の中を通り抜けたと、想像されます。
仏典では、お釈迦様を礼拝するとき、必ず、その回りを右回りに回ります。
中心伽藍の五重塔は、仏舎利を納めるお釈迦様のお墓ですから、寺院の参拝のさいは、中心伽藍の回りを右回りに回る、という想定がなされていたのではないか、と思案します。
正門である、南大門から、西へ向かい、ぐるりと、乾の丸池、艮の亀井水、と礼拝し、太子殿の北門に向かいます。
江戸時代の元和再建にあたり、左甚五郎が、北門に眠り猫の彫刻をほどこした。
とするなら、四天王寺太子殿の眠り猫は、日光東照宮の眠り猫の、お兄さんとなります。
太子殿内北門付近には、経蔵と絵殿があります。経典と、聖徳太子絵伝を、ねずみから守るために、猫がいる。
しかし、なぜ、眠り猫なのか。
太子殿にお参りをすませば、南西にある、虎の門から出ることになります。
聖徳太子の功徳をいただき、眠り猫が虎にパワーアップする。
という解釈は、いかがでしょう。
現在は、猫の門は開かずの扉で、別に北門が設けられ、聖徳太子絵伝の公開日に開けられます。実は、こちらにも、眠り猫がいます。
戦後復興時の、松久朋琳、松久宗琳、による復元です。
ちなみに、太子殿は中心伽藍の巽の位置です。巽には、摂政の意味があるとのこと。