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半世紀の老いのはてに、愛する詩人に告ぐ。あなたはまちがっていた。


よたか。wikiより


私は雀たちに

夢も野心も悟りもなにも語らない

雀たちにであえたらただうれしいだけ


私たちは子供のころ

鳥が成層圏の彼方まで飛びつづけ

星になったお話を読んで

この世のやりきれなさを

高く高く飛び続けるしかないのかと

煩悶した

詩人の純粋さに心震わせながら

なぜそんな苦行を強いるのかと問うた


私はよたかのなきがらを

星にするのではなく

森の地面によこたえ

見つめてゆこうと

思索し覚悟した

半世紀をへて詩人に語るあなたはまちがっていましたと


星になったよたかではなく

地に伏すよたかに

わたしは語り続ける

お前の自死は美談なのか

欺瞞なのか

お前が虫の糞となり

腐敗しほこりとなり

世界から消滅しても

人々は神話にとらわれている

わたしは物語の本を投げ棄て

夜の森の深くにあゆむ

悟りをこばみ

お前たちの声に涙して果てるため


             

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