強い事業の一員になるための“ふるまい”
2008年出版のこちらの本を久々に手に取ったんですが、一番刺さったのは「チーム作り」の話でした。
(中古なら1円で買えるというのに、金言だらけでおすすめです)
部分最適じゃアカン
この本は、終始してこれからの時代のマーケティング・コミュニケーションは「消費者本位」であることの重要性を説いています。消費者は情報を取捨選択するし、簡単には喜ばないし、めちゃくちゃ評価するし、という状態。そんな今だからこそ、マーケティング・コミュニケーションは徹底的に相手のことを考え、見てほしい相手がいる場所に構えて、刺さるメッセージを用意しなさいと。
そして本書の最終章で、「で、どうするの?」に対し筆者のさとなおさんはチーム作りの話をしています。
企業は大きくなればなるほど、各人が担う役割が明確に定まっている。広告代理店で言うと、コピーライターやリサーチ担当、クリエイティブディレクターやアートデザイナーなど様々な役割が存在している。
それらの役割が明確に組織の中で定義されていることで、その役割の中での効果・効率の最大化を目指す。それは「体制」だから仕方ないのだが、それじゃいけないという話。
大事なのは中心になるコンセプト
本書では2パターンのチーム作りに触れられている。
・野球チーム型
・サッカーチーム型
両方に共通しているのは、コミュニケーションの中心となる「コンセプト」を持つこと。
そのコンセプトに沿って、チームが一丸となってアイデアを出し合って実現に向かうのだが、野球チーム型は監督があらかじめ明確に決まっていて、必要な人間(プロフェッショナル)を都度ジョインさせるスタイル。サッカーチーム型は全員で企画をスタートさせ、コンセプトのアイデアを出した人がリーダーになるというスタイル。
マーケティング・コミュニケーションに限った話ではない?
あくまで本書は、「明日の広告」という名のとおり、主に広告に携わる人に向けた内容になっているが、私が感じたのは「もはやこれってマーケティングコミュニケーションに限った話ではないな」ということ。
事業レベルで、生活者と自社の間の「空気を読むこと」ができる人がリーダーとして立ち、強力なコンセプトを立てる。広告宣伝だけじゃない、製品開発や営業、店舗なら販売に至るまですべて。
ポーターの競争戦略論では、バリューチェーンというものがあります。
事業活動を機能ごとに分類し、どの部分(機能)で付加価値が生み出されているか、競合と比較してどの部分に強み・弱みがあるかを分析し、事業戦略の有効性や改善の方向を探ること。
https://mba.globis.ac.jp/about_mba/glossary/detail-11918.html
この「部分」ごとに他社と比較するのではなく、このバリューチェーンを横からぶっ刺す串としてのコンセプトがこれからを生き抜くために必要なのかなと。ミッションとか、ビジョンとか、バリューとか、コンセプトとか、いろいろ。
役割と役割をつなぐ
じゃあ組織人として何が必要なのかなと考えると、消費者本位の視点で必要な役割と役割とをつなぐこと。そしてそれをやるために必要なことは、2つあると思います。
・とにかく縦横無尽に動き回ること
・他役割の人と共通言語で語るための知識
逆に言うと、1番やっちゃいけないのは「役割以上のことをやらない」ことかなと。もっと言うと「その役割を既得権益化しちゃう」こと。自分にしか知らないできない奪わせない、そんなスタンスは絶対ダメ。
とにかく他の人ともコミュニケーションするため動き回れ!ってのがとにかく大事だと思ってたんですけど、よくよく考えれば、国と一緒で、越境すると言語や文化が違う。「郷に入れば郷に従え」という言葉もある通り、自分の常識は他人の常識ではないし、自分が当たり前に使っている言葉は、相手も当たり前に使っているわけではない。だから、自分の役割の外のこともしっかり学んでおかないといけないなぁとも思った次第です。
いい消費者とのコミュニケーションを実現するには、社内でいっぱいコミュニケーションをとっていこうと、改めて感じました。