今年プレイしたSteamゲームのレビューまとめ~2024年総括&ウィンターセールに向けて~
2024年も残すところあと2週間と相成りました。
今年もいろいろゲームをやりましたので、Steamウィンターセールに先駆けてとりあえずシナリオをクリアした作品たちの備忘録がてらのレビューを書いていければと思います。
今回は面倒なのでリリース順にはしていません。体験版も含みます。
見ておもしろそ~と思ったらぜひストアページへどうぞ。
サンセット・ルート
貨物船の船長としてまったりリソース管理+デッキ構築を楽しむカジュアルターン制SLG。
乗せる貨物や乗員を組み合わせてシナジーを生み出しつつ、要求される税金を納められるようにお金を稼ごう。状況によってエンドが変わるマルチエンディング。
シンプルながらそこそこやりごたえがあり、難易度5ともなるとリソース管理苦手な私には相当キツく、ヒイヒイ言いながらクリアしました。結局最後は運です。商売と一緒やね。
難易度解放も実績解除もトライアンドエラーが必要なので、深夜に始めると気がつけば外が明るくなっているから気をつけろ!
ストーリー要素はおまけ程度ですが、世界観はやや不穏。穏やかな海ではあるものの、何らかの宗教の片鱗を感じたり、亡命中の姫君がいたり、積み荷が武器だったり……
乗員たちについては同作者の「フラッシュバック」で深掘りされており、貨物船の船長である「アン」を始め一部登場キャラの名前や素性がわかったり、立ち絵を見たりできます。作者Renkaさんのイラストや世界観が好きな人にもおすすめ(フラッシュバックもレビューしてます)
デッキ構築に成功してインフレした時かなり脳汁が出る。特にDLCは組み合わせ次第でえらいスピードでインフレするのでやめ時を見失いがち。
元値もお安いがセールだとなんと100円を切る鬼コスパ。カジュアルに脳汁を出せるのでとりあえずライブラリにいれておくのがおすすめ。
フラッシュバック
主人公の選択を通してどことなく不穏な世界の物語を体感する、ステータス管理シミュレーションADV。
同作者による『サンセット・ルート』との世界観のつながりを感じさせる、シンプルなシミュレーションゲームです。
「運び屋」の主人公は、名声、健康、金銭の3ステータスをバランスよく調整しながら、様々なものを運んだり、頼まれごとを解決したりする。亜人と呼ばれるケモミミの生えた人々や、どこかで見たことがあるような馴染みの船長、食事を配る聖職者など個性豊かな人々が登場。ただし世界は今日もどこかの誰かの思惑で動いているし、ずっと穏やかではいられないようで……
ステータスの一部がゼロになると問答無用で終了となり、マックスになってもトリガーを取っていない場合は理不尽イベントでほぼほぼ終了となる、少し理不尽な難易度の一面もあるが、価格やゲーム性を見るとまあこんなもんだなというプレイ感。
キャラクター描写やシナリオは価格以上によくまとまっている一方、実績やトゥルーエンドの開放のために作業ゲーとなる部分も大きい一作。エンドなどの条件アンロック後には登場キャラクターの詳細を見ることができますが、単調作業の連続に少々だれてしまうかもという点がもったいない。
『サンセット・ルート』ではスチルでしか大きく見られなかった作者Renkaさんのイラストを大いに堪能できるので、個人的にはこれだけでお値段以上。この人の描くケモミミ、めちゃくちゃかわいいので、イラストが好きという一点突破でもおすすめできます。なんせお安いので。
こちらもとりあえずライブラリに入れておき、気が向いたらプレイしてみるのがいいかもしれません。
潮汐少女:現象
西暦3000年の世界を舞台にした、オルタナ百合ビジュアルノベル。
周囲から疎外感を感じながら学校へ通う主人公、人気者でありながらその主人公になんらかの感情を抱くヒロイン、家での居場所の無さ、思春期女子特有の閉鎖的コミュニティ、他人への下世話な興味、噂話、愛憎、確執……といった非常にミクロな物語が、子供にはどうにもならないディストピア然としたマクロな舞台で展開される。その世界観は百合好きのみならずともおすすめ。
そして、このゲームの最大の特徴とも言える必要十分なタイポグラフィとドットで構成されたデザインと、オルタナティブな音響演出が、映画のような無二の雰囲気を醸し出している。実績トリガーも非常におしゃれ。
一通りプレイして感じた印象は尖った女子校の高校演劇。少女同士のコミュニュケーション(会話)の台詞回し、音の使い方、背景の切り替えなどなど、独特なゲームデザインが高校演劇に見られる最小限の音響照明で世界観を構築する、という作り方に似ているのかも。
個人的に、高校演劇は酷くフィクションでありながらどこか日々と地続きな世界を演じていると思っているので、この作品が描く物語にも合っている印象でした。
その演出のストイックさゆえに画面内の移動も最小限しか操作できないので、場面変化や主人公の感情の動きを背景色や音の切り替わりで再現する必要があり、よく言えばミニマルでよく練られたビジュアルノベル、悪く言えば物語が一方向で物足りないかもしれない。
とはいえこのゲームの本質は完全にストーリーとデザインであることに疑いようはないし、そこは間違いなくお値段以上だと思います。
価格はさほど高くないので、トレーラーの雰囲気が気になったらぜひ!
KinitoPET
実際に自分のPCをゲーム画面として遊ぶ、いにしえインターネット風クリック&ポイントホラーゲーム。
古き良き時代のインターネットからやってきたウーパールーパーのPCアシスタント、Kinitoと友達になって、クイズやお絵描き、いろんなミニゲームで一緒に遊ぼう!お友達もいるよ!
2024年にプレイしたメタ要素を含むゲームの中でもずば抜けた爪痕を残してくれました。少し奇妙なキャラクターデザインや、がさがさしたTTS音声や、2000年代初頭ごろまでのできることが少ない子供向けPCゲームのような遊びが醸し出す、なんとも言えない趣深さがたまらない。
メタ要素やホラーと聞いて大多数の人が思い出すDDLCのフォロワーであることは間違いないだろうと先に述べておきますが、しかしこのタイプのゲームの中でもUIやギミックにこだわりを強く感じる良ゲーでした。
DDLCの彼女と違い、PCアシスタントであるがゆえに彼は当然のように第四の壁を越えて直接こちらに語りかけてきますので……そういうゲームが好きな人は……好きでしょうね……そりゃ……………(かさぶたをはがす音)
ホラー要素はメタ、じわ怖、不穏、ジャンプスケアあり。ゲーム性も一粒でn度美味しいような…そんな感じ。
日本語翻訳は2024冬現在未実装。とはいえ中学英語程度の心得があればギミック含めプレイに支障はないかなという感じです。
Kinitoとのコミュニケーションを通して、怖さの中にもついあたたかな何かを感じてしまうそんなシナリオなので、ホラー部分をクリアできるかつ、"プログラム"されたキャラクターが好きならぜひ触れてほしい本作。
Kinito、一生BFFしてくれや…
EQUALINE
一筆書きで計算タイムアタック!脳がヒリつくHSA(ハイスピード算数アクション)。
小中学生の時に計算パズルとか数字を使った推理問題とか魔法陣が好きだった人は好きそう。私は好き。
エンドレスモードは最初は本当に10とかでつまづくんだけど、だんだん数字の計算結果が見えてくるから不思議。ハイスピードは簡単な問題が多いのでいきなり60とか100とか行けて脳汁が出る。
ミッションモードはエンドレスよりゲーム性強め。最初は簡単、だんだん難しくなる。除算を除く四則を穴埋めしたり答えが隠れた状態で計算させたりと推理力と概算力を求められる。全然できないわけじゃなくて、トライアンドエラーで頑張れば解けるレベルのものも多いので、慣れ。
ミッションモード最後の『Qualify Marathon』のみ、ラスボスの名に相応しくそれまでの比ではない難度で殴りかかってくるため、心の準備と算数の研鑽をしておこう。悲しいかな私は解放した満足感でいったん放り出してしまったためまだクリアできていません。エンドレスのStandardとExpertの反復をしようね……
セール時でもそんなに値引き幅が大きいわけではないですが、比喩でなくエンドレスで遊べるのでコスパは悪くない。
マウスを使わせてくれたら最高なんだけどな~~と思いつつ、非常におすすめとさせていただきます。
CULT OF THE LAMB(肉欲の罪)
大型アプデで新たな聖戦へ!まだまだパワーアップする冒涜的教団運営シム×見下ろしローグライクアクション。
我らの教団に大型アプデが来たぞ!ということで、こちらでもご紹介した教団運営ローグライクアクションであるCULT OF THE LAMBに大幅な要素追加を含むアップデートが2発入りました。
主なアプデはシナリオクリア(ラスボス撃破)後の新ミッションや、煉獄というダンジョンチャレンジの出現とそれに伴う新アイテムや収集要素、その他教団でできることがもりもり増えました。清らか(?)だった教団に『罪』なるアイテムも新登場し、それを中心とした要素が盛り込まれた感じです。
煉獄はよりローグライク要素を強めたもので、各種教団要素は運営シム要素を強めたもの。どちらを中心にやっても楽しめる良アプデでした。これ無料でいいんですか?と思ったのでDLCでお布施しています。DLCでは肉欲の罪の名に相応しい葉っぱ一枚の服とか作れます。YATTA!
合わせて、またはそれ以前にも武器やタロットカードの追加なども行われており、シナリオクリア後のプレイ体験が非常に向上しました。惜しむらくは収集系の実績トリガーが追加されてしまい、あとから解放するのがやや大変になってしまったこと…カードは終わっていたのですが聖遺物で苦労しました。
さらに、DLCである「Pilgrim Pack」では子羊の教団に『迎え入れられた側』からの物語も楽しめるようになります。絵本テイストでかわいいね。本当に?
というわけで、リリースから2年経ちますが今からプレイしてもまだまだ楽しめる、むしろ今からプレイしてこそ真価を発揮するかもしれません。
皆さんもぜひ教祖になって古き信仰をぶっ壊したり信者と重婚して侍らせたり罪を背負わせて堕落させたりしてみてはいかがでしょうか。
今日も教団は元気です。
グノーシア
時間が幾度もループする宇宙船の中で、ループを脱出するために対話と排除を繰り返す一人用SF人狼推理ゲーム。
去年身内にもらって長らく積んでたんですが、無事にクリアしました。
基本的にはわかりやすく人狼ゲーム。個性豊かな登場キャラを相手に、時に冷静に、時に狡猾に、時にかわいげを振りまき、時に断罪し、議論を進めてグノーシアをコールドスリープさせる、もしくは自身がグノーシアとしてキャラクター達を消して生き残るのがこの議論の目的です。(ちなみにアクション要素は皆無なのでダンガンロンパとははっきり毛色が違います)
議論を繰り返してループを進めるにつれキャラたちの「特記事項」が解放されていくシステムのため、ストーリーはネタバレ厳禁。特記事項を集めるために、この議論のループを何十回も超える必要があります。
ストーリーのボリューム自体はそれなりですが、必須ではないイベントも含めスチル発生イベントが多数。
さらにそれぞれのイベントが起こる配役で開始する「イベントサーチ」機能も付いているので若干作業感は軽減されますが、私は元々人狼系のゲームをほぼやらないのもあり途中だれてました。人数や役が多いと結構頭使うので連続で何時間もやるのしんどいのよ。
ただ、SFや人狼はもとより、少年少女(に限らないけど)の閉鎖空間での共同生活シナリオや仲良くなったキャラクターとの交流が好きな人、世界観が気に入った人であれば、上記を置いてもこのゲームのエンドは一見の価値ありです。
私はシピと沙明とオトメが好き。趣味わかりやす。
※アニメ化するらしいです!めでたい!!
救国のスネジンカ
ディストピア×銃火器×少女=楽しい!救国とは?を問わずにはいられない、ハイテンポ2Dシューティング。
簡単操作のシューティングとアホほど救いのないシナリオでお馴染み「溶鉄のマルフーシャ」の続編。前作が良作すぎて期待のハードルが上がっていたかと思いますがそれを裏切らない正統進化作品に仕上がっていました。
今作はマルフーシャの妹であるスネジンカが主役となります。味方キャラクターも一新され、今作もキャラ立ちするかわいい女の子がたくさん。武器や補助カードの種類も細分化されたほか、新たに青ガジェットという常時装備可能な強攻撃が登場。前作と異なるノーマルルートとトゥルールートの分岐やそこからのプレイ感が大きく異なるのも正統進化感がありよかったです。
さらに難易度選択ができるようになったり、武器の試射場ができたり、チャレンジモードに新システムが導入されてたりと、楽しみ方の幅がさらに広がりました。
強いて言うなら前作以後のストーリーのためやや複雑さを増しているのが難解だったかな。マルフーシャやスネジンカが住むカゾルミアの政府軍、政府に敵対する反政府軍、そして敵国。今作ではマルフーシャの立場が変わっていることもあり、少々関係性を理解するのに時間がかかりました。
しかしそれはそれとしてその苛烈なシナリオにも磨きがかかっており、マルフーシャ以上の苦しみを味わうことができます………………ほんまに、なぜこんなに苦しまねばならないのか。
簡単操作のカジュアルシューティングとしては前作以上に完成度が高いですが、いかんせんシナリオに耐えられるかどうかが分水嶺なので万人に気軽にすすめることができない本作。
スネジンカたちの紡ぐ物語とマルフーシャのその先を見たい方は、ぜひ。
亜電
ある日突然空から降ってきた謎の少女「とあか」。どうやらダンスで世界を救えるらしい!?いやむしろダンスしかなしのSFベルスクアクション!
12月にリリースされたばかりの新作。不条理系メタフィクションSF×横ベルスク弾幕ダンスアクションという、作者が好きなものをてんこ盛りにしたバイキングのような作品です。
かわいらしいドット絵や歯ごたえのあるアクションパート、そして物語に合わせて作られたBGMの数々と、満足度は◎。特に戦闘パートのBGMはシステム上耳に残るものも多く、思わず踊りだしたくなってしまうような明るいチューンから、ボス戦にふさわしい荘厳さと疾走感を兼ね備えた楽曲などこだわりを感じるラインナップです。
シナリオはやや荒唐無稽でいわゆる不条理な展開ではあるものの、根っこは重めのSF。特に演出を利用した伏線回収や終盤に向けてのストーリーのたたみ方には舌を巻くものがありました。
難易度は硬派。弾幕や横ベルスクに慣れていない人(私)は最初はNORMALがおすすめかな…。特にHARDは道中の強化を使っても普通に難しいです。当たり判定や倒した雑魚敵の処理などに小さなストレスを感じる部分もあり、もうちょっとだけ詰められていたらプレイ体験がもっと良くなっていたかな、という気持ちもあります。
とはいえ完成度は非常に高く、好きな人にはとにかくぶっ刺さりそうな作品でした!総合しておすすめ!ダンスしかなし!
Normal Fishing(Demo)
色数の少ないピクセルで描かれる、ごくごく"普通"のレトロ風の魚釣りゲーム。
平和で広い湖がある土地に越してきた主人公は、魚を釣ってお金を稼ぐことになる―――ある夜、その湖に謎の薬品が落とされる前までは。
ただいま体験版を公開中。普通の魚釣りゲームの皮をかぶった、絶妙な雰囲気ホラーゲームです。
普通に怖い。SAN値削れるタイプ。なんなら薬品落とされる前もちょっと怖い。
どんどんストーリーが進み、そんなところまでプレイしていいの?と思わせる体験の後、そこからこそが本番です。
この体験はぜひご自身で味わわれることを強くおすすめしますので、トレーラーの雰囲気が大丈夫であれば体験版をぜひ!発売時期はまだ未定のようです。
2024年冬現在日本語未対応ですがこちらも中学英語程度の文法と単語力があれば全然OK。フォントがちょっと読みづらい。
というわけで、2024年にプレイしたゲームの総括でした。
総評して、実績解除、作業パートの突破、言語なども含め、『頑張ってクリアする』という体験をそれなりにやった年になりました。
あと、けっこうスルメなゲームが多かったな~という印象。何回も繰り返しやることになってもクリアしたいと思わせるゲームは、UI、デザイン、キャラクター、BGMなど、それなりに理由となる魅力があるな、と感じます。
2025年リリース予定の楽しみなゲームはMETRO PENGUIN EUTOPIAとDream Channel ZeroとCleanFallです。
あと楽しみにしていたCATO: Buttered Catがリリースされたもののうっかり買い時を逃していたのでウィンターセールでは絶対買います。
来年は忙しくなりそうなので数を絞ってプレイする予定ですが、もう少し日本語非対応のゲームにもチャレンジしたいと思っています。英語、復習するか~
それでは、よいお年を。