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#超短編小説
いつかどこかの研究所 夜の定時報告
ノックの音に続いてドアが開く音がする。
ぼんやりした意識の中で俺はそれを認識した。
「こーんばーんは!ってあれ、先輩寝てる?」
うるさいな。この声は……Aか。
俺は呻き声を上げながら体を起こす。机に突っ伏して寝ていたからか、体が所々痛む。
「あ、おはようございます」
手探りで眼鏡を探してかける。はっきりと輪郭を結んだ視界の中でAが笑っている。
「何かあったか」
「定時報告でーす!」
いつかどこかの研究所 午後の検査
無機質な扉を開けると大きくて丸い目が僕を見上げる。僕の被検体、三一〇番ちゃんだ。
「あ、A先生!今日は何するんですか?」
明るくて社交的、性格だけならまさに理想の被検体だ。
「今日はね〜検査だよ〜」
そう告げると三一〇番ちゃんはがっくりと肩を落とす。
「検査ですかー」
「嫌だよね〜。でも必要なことなんだ。ごめんね」
子どもは特に検査を嫌がる傾向がある。この反応は正常の範囲内だ。うん、今日も