いつかどこかの研究所 昼の定時報告
「せー!……あー、ノックだっけ」
いつもの勢いでドアを開けようとして踏みとどまる。今朝言われたことを思い出してノックする。……返事がない。寝てるのかな?
「あ、A先生。B先生なら食堂にいますよ」
たまたま通りかかった職員が教えてくれる。
「そうなんだ。ありがと〜」
「いえ、お疲れ様です」
「君もね〜」
職員を見送って考える。
定時報告だし、遅れたら怒られるよな〜。仕方ない、持ってくか。
食堂に着いて見渡してみると……あぁ、いたいた。B先輩は1人で窓際の席に座って資料を見ながら食事をとっていた。
「せーんぱい!こんにちはー!」
声をかけると先輩は面倒くさそうにこちらを見る。
「定時報告でーす!」
そう言って書類を先輩に手渡す。食事に仕事を持ち込むのはどうかと思ったけど、後で怒られんのやだし。……あれ、先輩、四九五番ちゃんの資料見てたんだ。
先輩は報告書のページをぱらぱらとめくる。
「何か問題は」
「僕が確認した感じだとなさそうでーす」
先輩は頷いてまた食事に戻る。
……え?それだけ?うーん、わざわざ来たんだし、もうちょっと話してきたいなー。
「先輩、申請の方、通りそうですか?」
「いつも通りなら通るだろ。明日の朝には許可が降りてるはずだ」
てことはもう申請してあるんだ。仕事速いなー。
「良かったです!三一〇番ちゃん喜ぶなぁ〜!」
そう言うと先輩はため息をつく。
「お前も飯食って仕事に戻れ」
「はーい!」
うーん、やっぱり先輩は食えないなー。
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