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フードテックを牽引する企業とサービスまとめ
フィンテック、シビックテック、プロップテックなど最近よく耳にする〇〇テック。
本記事は食×テクノロジー、フードテックを牽引する企業やそのサービスをまとめた内容となっています。
フードテック領域への投資額の推移
まず投資額の推移をみてフードテック領域がいまどれくらい注目されている領域なのかを認識しておきましょう。
フードテックに投資している額は年々上昇していて、2019年の総投資額は2014年の約5倍に迫る勢いで伸びてきているのが見てとれます。
投資額は2021-2025年もこれ以上にない盛り上がりをみせると予想されておりフードテックのイベントを主催しているマイケル・ウルフ氏によると2025年には700兆円規模に達するという衝撃の発表もでています。
ではなぜフードテックに注目が集まるのかというと人口増加により以下の問題が出てくるからです。
1.人口の増加による食料供給の限界
2.家畜のメタンガス排出量増加による環境破壊
3.肥満による健康コストの増大
これ以外にも課題となる事象はたくさんありますが、上記のような問題を優先的に解決しないと持続可能な社会の実現が難しくなります。それぞれの問題の具体的な解決策としては
1.人口の増加による食料供給の限界
フードロスを減らす、より生産性のある農業
2.家畜のメタンガス排出量増加による環境破壊
家畜を使わずに肉を再現
3.肥満による健康コストの増大
食のパーソナライズ、低カロリーで満足できる食の提供
などがあると思います。
それではここから本題のフードテックを牽引する企業を業種別に紹介していきたいと思います。
※企業名を押すと公式サイトに飛べるようリンクしてあります。
代替プロテイン領域
代替プロテイン領域はフードテックでも最も盛り上がりをみせている分野の一つです。The GAFAsという団体が集計している代替プロテインに事業に参入した企業をまとめているマップではver1.0から3.0変化を見れば盛り上がり具合を理解できるとおもいます。
ver1.0
ver3.0
Impossible foods
植物から肉、魚、乳製品に変える事で地球温暖化や生物の多様性崩壊を食い止めることを目標にしている2011年にアメリカで創業した企業。
主力商品であるImpossible Burger(完全植物由来の肉でつくられたハンバーガー)は、すでに動物由来の食品の代替が進んでおり、その生産は温室効果ガスの排出と、野生動物減少を食い止める最大の要因の一つとなっています。
15億ドルの資金調達、600人の従業員と代替プロテインを語る上で欠かせない企業です。
Beyond Meat
代替プロテイン企業の中で世界で初めて上場したのがBeyond Meat
impossible foodsのライバルでもあり、代表作であるビヨンドバーガーはタンパク源としてエンドウ豆と米のみを使用。2021年5月にリニューアルされたビヨンドバーガーは牛挽肉よりも飽和脂肪が35%カットされていて、肥満の問題解決にも役立っています。
完全植物由来のマヨネーズ「just mayo」や卵「just egg」が主力製品でありjust egg は通常の卵よりも環境負荷が圧倒的に低いのはもちろんのこと、コレステロール100%カット、飽和脂肪酸66%カットとこちらも肥満のソリューションとなっています。
Menphsi Meats
2016年に培養ミートボール、17年には培養チキンを細胞ベースから表現したことで話題となりました。動物細胞から肉、シーフード、鶏肉を人工的に製造する技術を開発しているMenpshis Meatsは計算生物学、バイオエンジニアリング、材料科学用いて従来の農業を置き換えることが可能な技術を広めています。それにより、食品を生産するための二酸化炭素排出量を大きく削減し持続可能な世の中へと導いてくれることを投資家たちは期待しているようです。
kiverdi
二酸化炭素からプロテインに変える微生物を利用して、9種類の必須アミノ酸(約大豆の2倍)を全て含んでみ、かつ動物のタンパク質に近いアミノ酸スコアを有するプロテインを開発。空気から生成されるので遺伝子組み換え作物・農薬・除草剤・ホルモン剤・抗生物質なども一切不使用です。
ただあまり味が良くないらしい笑
Redifine Meat
イスラエルのスタートアップで、3Dプリンターを用いて植物由来の代替肉を生産する技術を開発。動物の構造を真似た3Dデータで血管、脂肪、タンパク質などを忠実に再現。本物の肉に見た目、食感、風味がそっくりな代替肉となっているようです。
Redefine Meatが実際に3Dプリンターで作製したリブロース↓
うまそう🤩
Perfect Day
アメリカ発のスタートアップで、バターカップという酵母株にバイオ3Dプリンターによってつくられて牛のDNAと組み合わせ、牛乳と同じタンパク質を再現しており、アイスクリームやチーズを作ることも可能だと。
ヴィーガンでも飲める牛乳食べれるチーズと、ヴィーガンの間ではかなり話題のようです。
すでに3億6000万ドルを超える巨額の資金調達もしています。
食のパーソナライズ領域
コロナウイルスの流行や健康に対する意識の高まり、食嗜好の多様化をうけて加速する食のパーソナライズに参入する企業も増えてきてます。
DNA Nudge
DNA検査結果を基にして、スーパーに来店した客に最適な商品を選んで購入できるというシステムを開発。
導入店舗を訪れた客はDNA検査を行う。約一時間後に結果がわかり、データがくみこまれたリストバンドを着用。商品のバーコードにリストバンドをかざすと自分の危険な物質がある場合には赤のランプが点灯、問題なければ緑のランプが点灯といった具合にレコメンドしてくれる。パッケージに書いてある「低脂肪」「低糖質」「減塩」などの表示よりもこまかくパーソナライズしてくれるのがこのサービスの特徴。
スナックミー
アプリやweb診断を使って自分にあったお菓子をパーソナライズ。人工着色料、香料、保存料、化学調味料、マーガリン、ショートニングなどを一切使用しておらず、美味しいけれどカラダに良いと人気になってきている。また100種類を超えるレパートリーの中からランダムで自宅に配送されるのもユーザーを魅了している。
CAN EAT
ヴィーガン、妊娠、健康上、宗教、ベジタリアン、好き嫌いなどの理由で食べられないものがある人の外食を救うことを目標に2019年に起業した日本のスタートアップ。事前に食べられないものをwebに登録しておくことで外食時に、自分に適したパーソナライズフードが提供される
my fit
オンライン上で約20問の簡単な質問に答えるだけで自分に不足している成分を栄養士の方が分析。その分析に基づいて成分・タンパク質量・味の全てをユーザーに合わせたパーソナライズプロテインが自宅に届きます。私も実際に購入して現在飲んでいる最中です。おいしいよ😊
キッチンOS、IoT調理家電
キッチンOSとは、調理家電のIoT化によってキッチン関連のアプリを幅広く連携させる基盤を指します。
キッチンOSはレシピ検索サイトから食材発注、レシピを家電調理器に送信して火力、温度、時間等を自動調整し、プロの料理人並の出来栄えを家庭で実現といった具合に近未来的な調理を実現するために、年々投資額が増えてきたり、GAFAが狙っている分野でもあります。
hestancue
hestancue(ヘスタンキュー)はオリジナルレシピアプリと調理器具をBluetoothで接続する新しい調理方法を提案。
ミシュランのシェフが監修したレシピを自宅で再現できるのと、手順も細かく料理の学びという側面も持っている。現在はフライパンと鍋がでていて、IHヒーターが2021年11月に発売予定。
Load&Road
お茶とIoTをかけ合わせ茶葉の魅力を最大限発揮させるスマートティーポットTeploをリリース。アプリと連動して茶葉量、水分量、抽出時間、温度を最適化。自宅で本格的なお茶を楽しむことができます。
chefstep
独自のアプリとIoT調理器具Jouleを開発。アプリ内の多彩なレシピの中から作りたい料理を選ぶと正確に調理をしてくれる。
データも集積していて、ベーコンが土曜日に突出してしようされるという事実もわかってきた。
このような貴重なデータはマーケティングなどに採用されている。
Liebherr
Liebherr(リープヘル)は冷蔵庫を開閉するたびに内側を撮影。通信装置で冷蔵庫中身データをやりとりし、中にある食材でできる料理をレコメンド、足りない食材をオンラインで購入できるといった機能もある。
データの見える化がキッチンOSで、フードテックでトレンドになってきている。
Drink Works
家庭向けのカクテルメーカーを提供している企業。本体に専用のポッドをいれればビールやカクテルを簡単につくることができる。データをとると夜よりも週末の昼間のほうが多く使用されていることがわかり、飲料メーカーまでもがIoT家電をフックとして、生活者の嗜好や行動を理解しようと動き出している。
Innit
アプリ内にあるレシピを選択するだけで食材の購入から調理までを簡単におこなうことができるサービスを提供している。食の好みや持っている調理器具を登録しておくとアプリ内のレシピも自分専用にパーソナライズ。
独Bosch、米GE Appliances、韓LG Electronics、蘭Philipsなどの家電メーカーと提携、同社アプリは各社家電で採用されている。
sidechef
料理書初心者向けにオンラインレシピ動画サービス(日本でいうクラシルのような)を期限としたスタートアップ。Innit同様に調理家電がレシピ通りに調理してくれるサービスを提供。
家電メーカーではGE Appliances、Bosch、韓LG Electronics、Samsung、スウェーデンのElectrolux、日本のシャープ、パナソニックなどと提携。
Drop
アイルランド発のスタートアップで、アプリを使って素材やレシピことに時間や温度を管理し最適な料理に仕上げるソリューションを提供。
現在ではDropのアプリは100種以上の専用家電に搭載されている。
完全食領域
一日に必要な栄養素が全て詰まっている食品のことを完全食といいます。最近ではこの完全食が「機能としての食事」として注目されています。
BASE FOOD
主食で健康を当たり前をコンセプトに完全栄養のパスタやパン、クッキー、カレーを商品化。特にパスタは30種類の栄養素が含まれており、仕事と栄養の両立が難しいワーカーの間で大人気となっています。
現在は1000万食を突破しているようです。
Rosa Labs
生存に必要とされている栄養素をすべて含み、従来の食事をとらなくても健康でいられる粉末をとかして飲むソイレントを発売。発売から数年後に食中毒の問題が発生し販売が中止になってしまったが、機能の食事として投資家かからはまだ注目されている。
KOREDAKE
動物由来の原材料を含まない “100%プラントベース” へとリニューアル。環境配慮のパッケージとスプーンを採用し、人の健康と地球環境にやさしいウェルネスプロテインを提供。
女性が1食に必要な31種類の栄養素をすべて含んだ、完全栄養プロテインとなっている。
その他技術、サービス
PLANTX
都心のど真ん中で無農薬で100gあたりのβカロテンが通常の16倍という驚異的なレタスを産み出す。生産性の向上だけでなく、都心のど真ん中で生産できるので、販売先まで10分もかからず届けられるといった移動コストの面も削減している。
デイブレイク
独自で研究を重ねた冷凍技術で廃棄されてしまうような野菜やフルーツを冷凍し消費者の元までとどける。食材によって適切な温度で冷凍されているので、食べたときの新鮮さが好評を呼んでいる。
コークッキング
飲食店などで余ってしまった料理を、お得に購入したいユーザーとつなげるマッチングアプリ「TABETE」を運営。フードロスを削減しながらユーザーを満足させ、店の宣伝にもなるという一石2、3、4鳥の事業。
現在利用店舗は1500店舗、ユーザーは36万人を超えている。
chowbtics
食材をセットするだけでユーザーがカスタマイズしたサラダが1分以内で提供されるという画期的な自動販売機sallyを開発。カスタマイズに富んでいるのと、衛生的という観点からコロナ渦で急速に普及。最近米DoorDashに買収された。
まとめ
フードテックを牽引する企業やサービスをまとめてみました。
食の価値は従来の時短や健康、安全、節約という価値だけではなくフードロスの削減、コミュニケーションの創造、エンターテイメント、料理を楽しむ、パーソナライズ、機能食など食の価値がロングテール化しています。
フードテックによって潜在的に存在していた市場が切り開かれている瞬間です。
このnoteが何かの参考になれば幸いです。
最後まで読み進めていただきありがとうございました。
参考文献「フードテック革命」