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見上愛の魅力爆発:映画『不死身ラヴァーズ』レビュー

 松居大悟監督の新作という関心ではなく、大河ドラマ『光る君へ』の彰子を演じる見上愛の初主演作、劇場公開からの超速配信という興味で鑑賞。見上愛の大河ドラマでの役どころとは真逆のキャラクターデザイン、全力疾走の演技に感心するばかりの仕上がり。原作漫画未読ながら、松居監督が原作に惚れ込んで映画化した、という意欲は感取した。
 生死を行き来するオチなのかと思いながらストーリーを追っていたが、ラストで主人公長谷部りの、のひたすらな一途さであることが明かされ、なるほどと納得したが、原作との兼ね合いもあるのだろうが、もう少し観客に分かりやすい脚本でも良かったような印象ではある。しかし、本作のスピード感が、そうした内実へのいささかの不満を吹き飛ばし、若いエネルギーの具現化に成功している。見上愛の魅力満載で、本年度の各賞での顕彰が期待できる。とりわけ、自分自身の想いを託したギターの弾き語りシーンは愛らしく出色。また、山間に並ぶ家並のカラフルさは、加工かな、と思われるが、作品をさりげなく引き立てる嬉しい効果になっている。
 それにしても、松居大悟や藤井道人ら日本映画の現在を牽引する監督作品が、劇場公開後、2、3か月ほどで配信される現況は、興行の形態そのものが、すでに変容しているということなのだろうか。

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