極上のスポーツエンターテイメント:映画『ボストン1947』レビュー
実話に基づく予定調和、ステレオタイプな内容である。そうと分かって観続け、観終わった後の爽快感が素晴らしく、エンターテイメント映画としての全てを兼ね備えた仕上がり。朝鮮半島を占領した日本や、南北に分断して一時期支配していたアメリカへの悪意や怨念が強調されるわけではなく、歴史の一コマとして淡々と描かれている。
なんと言っても圧巻は、マラソンシーン。諸経緯乗り越えボストン行きを目指す母国での厳しいトレーニングパートとボストン入りした後のエピソードと優勝を期してのレースパートの、何という躍動感か。往年の名作『炎のランナー』を思い起こさせる上質な高揚感に満ち溢れている。『ミセン‐未生‐』で日本での人気、認知度を得たイム・シワンの、真っ直ぐ未来を見つめる瞳と、そのひた走る姿が鮮烈である。カメラアングル、カット割の活写感にも心浮き立たされ、2時間弱があっと言う間である。主人公たちを応援する『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』のパク・ウンビンの共演も嬉しい。オリンピックイヤーに相応しい佳品である。
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