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誰かにとっての最後を戦う。

大きな感情の起伏が短いスパンで繰り返されると、日常の体感速度が上がる気がします。ほんとうに、あっという間です。

2024シーズンが終わりました。

選手ではなくコーチとしてシーズンを過ごし、本当に学びしかない日々でした。

特に、試合に対する考え方は大きく変わりました。

コーチという立場上、できることは準備しかありません。
試合開始のホイッスルが鳴ってしまえば、もうできることは限られてきます。特に僕のような歴の浅いコーチは、経験則からくる直感というものが乏しく、なにか判断を迫られた時は、引き出しにある準備物の中から探り当てるしかありません。
その場の即興でどうにかできることは、基本的にないです。

そして、実際にピッチに立って表現することはなく、最後は選手たちを信じてベンチで戦うのみです。

「勝利に直結する準備」

今年得た、最もクリティカルな教訓はこれでしょう。
ただの準備ではなく、”勝利に直結する”準備です。

ディテールにこだわることは重要ですが、ディテールに囚われるのは違います。

60点を65点にする準備に執着し、60点を80点にできたはずの準備を怠っていては本末転倒です。

全ては勝利からの逆算です。80点、90点まで積み上げたら、1点、2点と細部にこだわって少しづつ積み重ねる。
そういったティッシュ1枚の積み重ねを繰り返し、考えうる最高の状態でベンチに入ることが理想です。

今年の僕はどうだっただろうか。

配点20点の大問を解きながら、1点、2点の小問にも気を配ることは結構難しくて、何かに焦点を絞って一つずつ消化しようと試みる日々でした。

結局、僕に何ができたのかと考えてみると、ちゃんと何か貢献できているようで、本当は何もできていないような、そんな曖昧な感情を行き来してしまいます。

ただ間違いなく言えることは、僕はもっと勝利に執着しなければならない。
もっとできるはず。

もっと色々な角度から、色々な視点で考え、細かいことに気づかなければならない。
そして、エネルギーを分配して、使い切って、補充するというサイクルを回し続けなければならない。

簡単ですが、そう振り返って、来シーズンに繋げようと思います。


今年は僕にとって最初のシーズンでした。

コーチとして丸々1シーズンを過ごすのは初。
鎌倉インテルの一員として戦うのも、初。

でも、僕以外にとっては、最後の出来事に溢れていました。

鳩スタは今年でクローズ。
鳩スタ祭りも最後だし、鳩スタでのホームゲームも最後。

仲間にとって、クラブにとっては、長年積み上げてきたものが次のステージに向かう、転換点となるシーズンでした。

1年目の難しさはありました。
ただその中でも、自分なりに工夫してチームのために考え、動きました。

ただ、その頑張り、努力の方向性、時間とエネルギーの使い方。
どれをとっても、足りていなかったように思います。

僕にとっては最初だけど、僕らにとっては最後のシーズン。
誰かの最後を背負って戦うに値する働きが、できていたのか?

試合を重ね、チームやクラブに対する思いが強くなっていくにつれて、自分に満足できず、溜まっていくフラストレーション。
クラブスタッフが良い環境を作り出してくれている一方で、個人的な組織への貢献感は乏しい。

どうも自分の中で歯車が噛み合わない状態でした。

誰かにとっては最初で、別の誰かにとっては最後。
世の中、結構なんでもそうだと思います。

高校3年生とか、大学4年生とか、そういう区切りがないからこそ、社会人というカテゴリーでは特に、自分で自分の過程に線を引く必要があると思います。
負けたらこれで終わるという強い緊張感の中で、自ら責任を背負い、プレッシャーを与えて、目の前のシーズンに向き合っていかなければならない。そう感じました。

気持ちを切り替えることは難しいですが、準備しかできることはないので、また来シーズンに向けて取り組みます。

再びチャレンジできる環境に感謝して、また歩き出します。

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