なぜ主人公は、逃げるのか。
始まりは、RPGツクールの機能を、色々と試していたときでした。
「当たったら、ゲームオーバー」というシステムを作ろうと思い立ち。
兄弟で2~3時間、研究しました。そのアイデアから発展させたのが、このゲームです。
ゲームプログラムを担当しているのは、弟です。絵を描いたり、小説を書いたり、YouTubeを見たりするのが好きで、僕とは対照的。
ゲームを作り始める前。弟が、中学3年生になる頃。
家では、高校受験や成績の話が、彼には少しずつのしかかり始めていました。
学校の友だち関係も、1・2年生の頃はあまりうまくいかなかったようです。弟は、小さい頃から、僕よりもずっと頭の回転が早く、場面に合わせて態度を変える力は優れていましたが、自分の状況に対して過剰に悲観的になるところがあり(中二病ってやつですね)。正義感が強く、カッとなることも多かったので、中学生にしては、ちょっととっつきにくいヤツと見られていたのでしょう。
勉強、生活、人間関係、将来と、色々悩み、出口が見えない感じがする矢先。
弟は、RPG制作ソフトを独学で勉強し、ゲームを作成するまでになりました。
ゲームの主人公は、ひたすら敵から逃げ続けます。
僕は、弟が、余計に人を傷つけたくないと思っているからなのではないか、と考えています。しかし、主人公は、いつも強い仲間に助けられ、結局ボスを倒すのです。
弟は、正しいことをしたいけれども、人を傷つけたくない、という相反するような思いを、持っていたのだと思います。だからこそ、こんなゲームができたのではないか。
中学3年生の、「コロナ休み」で、不意にも、彼は自分の意志を、一つの形にする機会を得ました。
これが僕ら兄弟の、戦い方なのです。