見出し画像

変化と多様性が求められるVUCA時代を生き抜く方法

今回は、『 変化と多様性が求められるVUCA時代を生き抜く方法 』について、書いていきます。

仕事においても、プライベートにおいても、常に変化していく社会で先が見えず、不確定要素が多い状況に不安を感じて、安心できる指標や正解を探している人も多いかと存じます。

私、個人としては、すべての人やすべての状況で通用する正解は無いと思っています。どんな時代になっても生き抜く方法は、ただ一つ。

何があっても 何が待ち受けていようとも
どんな状況になろうとも 変化を受け入れ
人の感情や情報を読み 社会情勢や世界情勢を読み
自らの意思で最適な意思決定を迅速に行うこと


そのために必要な鍵は、「EQ(感情知能指数)」を高めること。

最終的なゴールは、自身が「EQの高いイノベーション人材」になる、もしくは、「EQを高めて、必要なスキルをもった人員をチームアップできるリーダーになること」の二択だと思います。

私はこれまで、グローバル展開する大企業や中小企業、ベンチャー企業での就業経験があります。プライベートでも、ギフテッドであったがゆえに、人よりも「EQを高める経験」を多く積んできました。引っ越しも5回していて、アメリカでも数ヶ月暮らしたりと、さまざまな土地での生活経験があります。

私は自分の特性から、前者の「EQの高いイノベーション人材」を目標としていました。元々、自走できるタイプだったので、さまざまな業界や職種を経験して、EQを高める経験を積極的に積んできました。

ビジネスにおいて、EQは重要な指標の一つです。

EQが高い人は、情動知能に優れており、総合的な対人関係能力の高さを併せ持っています。EQの育成に関しては「自己認識力、自己管理力、モチベーション、共感力、社会対応力」の5つが重要とされており、これらはリーダーにとっての必須の能力と言われています。

また、EQは後天的に伸ばすことができるので、教育や学習、訓練を通して高めることができます。ビジネススキルで重要とされるコミュニケーション能力や協調力、調整力や折衝能力を養うには、EQを高める必要があります。

これまでの私の人生のフィールドワークで得た知見が、少しでも皆さまの役に立てれば幸いです。



■不確実性(VUCA)とは

VUCA(ブーカ)の時代を生き抜くためには、柔軟な思考、迅速な意思決定、持続的な学習、そして多様性を受け入れることが求められます。

■VUCAとは
VUCAとは、「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」の頭文字を取ったもので、物事の不確実性が高く、将来の予測が困難な状態を指す造語です。

VUCAはもともとアメリカで軍事用語として使用されており、国家間の戦略がより複雑化している状況を表す言葉でした。しかし昨今では、移り変わりが激しい時代や不確実な要素が多い状況下を示す言葉として知られています。

VUCAとは?意味や読み方、VUCA時代の組織作りのポイントを解説


また、VUCA時代では、最適な決定を迅速に行う必要があり、素早い意思決定を行う方法として注目されているのが、OODA(ウーダ)ループです。

■OODA(ウーダ)ループとは
VUCA時代の組織づくりにおいては、意思決定と行動を早めるための思考法「OODA(ウーダ)ループ」が有効です。常に変化し、想定外のことが起こる、また複雑になりすぎて全体像の理解が難しい状況のなかで、有効に働く迅速な意思決定モデルです。

OODAループは、以下の4つから構成されています。4つの意思決定過程を繰り返すことで、迅速な判断と行動を可能にします。
 1.Observe(観察)
 2.Orient(適応)
 3.Decide(決断)
 4.Act(行動)

VUCAとは?意味や時代に合わせた対策・必要な組織作りを解説


不確実性(VUCA)に対抗するためのガイドラインとしてISO56002(イノベーション・マネジメントシステム:IMS)が公開されています。

①組織の文脈の理解
組織の内外の要因を考慮し、これらがイノベーションマネジメントシステムにどのように影響するかを理解することが重要です。

②リーダーシップとコミットメント
組織のトップリーダーシップは、イノベーションの文化を醸成し、リソースの確保や関連するリスクの管理など、イノベーション活動をサポートする役割を果たします。

③イノベーションの方針と戦略
明確な方針や戦略を定義し、これを基にイノベーション活動を計画・実行します。

④人々と文化
イノベーションを成功させるためには、組織内の人々の能力やスキル、さらには文化や価値観も重要です。これらの要素を育成・醸成する取り組みが求められます。

⑤イノベーションのプロセス
アイディアの生成から実現までの一連のプロセスを設計・実施します。これには、アイディアの収集、評価、実装などの段階が含まれます。

⑥パフォーマンスの評価と改善
イノベーション活動の結果やパフォーマンスを定期的に評価し、これをもとに継続的な改善や調整を行います。

不確実性(VUCA)時代に必要なイノベーション・マネジメントシステム(ISO56002)とは


冒頭で述べました通り、VUCA時代を生き抜く鍵は、EQ(感情知能指数)を高めること。

VUCA時代で求められるスキルは、「情報収集力と処理能力」「問題解決力」「意思決定力」「コミュニケーション力」「臨機応変な対応力」です。

EQが高い状態であれば、何があっても、何が待ち受けていようとも、どんな状況になろうとも、変化を受け入れ、人の感情や情報を読み、社会情勢や世界情勢を読み、自らの意思で最適な意思決定を迅速に行うことが可能です。

そして、VUCAのキーワードの一つである「イノベーション」は、日本企業や日本人が苦手とする要素でもあります。日本人は、既存の技術を改良していく手法に長けていますが、革新的なアイデアや独創性に溢れるアイデアを出せる人は多くはありません。そういうタイプの人は、企業勤めには向いておらず、起業したり、フリーランスで活動している方も多いかと存じます。

冒頭で最終的なゴールは、自身が「EQの高いイノベーション人材」になる、もしくは、「EQを高めて、必要なスキルをもった人員をチームアップできるリーダーになること」の二択だと述べました。

この後、「イノベーション人材」について、「イノベーション人材を育成するポイント」について書いていきます。


■イノベーション人材とは

国内における企業の経済成長は頭打ちになっていて、少子高齢化により、大企業でも、売上や企業体力を維持することも難しくなっています。企業では、技術的な革新を起こせるイノベーション人材の育成が求められています。

■イノベーション人材
イノベーション人材とは「モノ」「仕組み」「サービス」「組織」「ビジネスモデル」に対し、新しい価値を付加できる人材のことです。

イノベーションを起こすには、これまでの考え方や価値観といったマインドセットを変える必要があります。マインドセットとは、個人の無意識の思考パターンや固定観念、物事についての考え方を指す心理学用語です。

前述したように、イノベーションを起こせる人材は「世の中を良くしたい」という強い想いを持った人です。自分の周りで起こっていることに関心がない状態では、新たな気づきを得ることはできません。

お金儲けではなく、どのような社会貢献につながるのか、何を実現したいのかといった「想い」を持つことで、イノベーションを起こせるのです。

イノベーション人材とは?必要スキルと社内で育成する方法


イノベーション人材が必要とするスキルのうち、アイデアを生み出す「創造力」と「価値変換スキル」は、後天的に身に着けることは難しいものです。
特に、大人になってからだと、なかなか価値観や思考パターンを変えることはできません。

自らがイノベーション人材になることが難しい場合は、「アイデアを出すフェーズ」と、「事業を成長させるフェーズ」に分けて、それぞれに必要な人材を確保することになるでしょう。



■イノベーション人材の種類

イノベーション人材には「アイデアを出せる人材」と「事業を成長させる人材」の2つのタイプがあります。

■イノベーション人材の種類
①アイデアを出せる人材
・人と異なる発想を持っている
・考え方が周りと異なる
・人付き合いが苦手
・協調性が低い

②事業を成長させる人材
・マネジメント能力が高い
・協調性が高い
・PDCAやOODAサイクルを回しながら事業を進められる
・計数能力を持っている

イノベーション人材とは?必要スキルと社内で育成する方法


堅実な事業を展開する大企業や中小企業において、アイデアを出せる人材が少ないケースが多いです。そもそも、独創性が高い革新的なアイデアを出せる人材は、組織との相性が良くないケースも多く、マネジメントが難しいという理由で採用されなかったり、組織形成の段階でチームから外されていることもあるでしょう。

ベンチャー企業の場合は、新しいビジネスモデルを事業としており、ゼロからビジネスを立ち上げているので、アイデアを出せる人材はいるけれども、逆に事業を成長させる人材が少ないケースがあります。



■イノベーション人材の育成ポイント

VUCA時代では、常にぶれない考えを持ち、常に学び、常に話し合い、素早く行動を起こすことで、不確実な現代を乗り越えていく必要があります。

イノベーション人材は、以下の5つの指標のうち、特に後天的に伸ばすことのできる「EQの向上」が重要になってくるでしょう。

■人材育成の指標
IQ(知能指数):認知能力や知的能力
EQ(感情知能指数):自分や相手の感情を知覚し、管理や調整する能力
CQ(好奇心指数):新しい体験に対して、心を開いて挑戦する能力
SQ(社会性指数):社会生活における対人能力や社交性の高さ
AQ(逆境指数):逆境に置かれたときの対応力や心の強さ

EQを向上させる過程で、SQも高まっていき、最終目標となる「HQ(人間性知能指数)の向上」につながります。HQは「第3の知性」であり、IQやEQ以上に重要な人間の対人能力の統合形かつ最終形です。

PQとは、前頭前野がもたらすヒトをヒトたらしめる意識知性知能、感情制御、社会性をもたらす機能の総称である。

Potentiality Quotientの頭文字をとったもので、潜在能力指数という意味であったが、この意味でのPQは、2005年にはHQ(Humanity/Hyper-Quotient )に改称された。

HQの発達は8歳がピークで子供のHQを高める方法には、読書(音読)、計算会話、豊かな人間関係、遊び等が指摘されている。

また、跳ね返すことが出来る程度の適度のストレス躾け武道の鍛錬なども脳内ホルモンのドーパミンが分泌して、前頭連合野の働きを活性化させる。

Wikipedia


前項の「イノベーション人材の種類」で記載した「アイデアを出せる人材」の特徴を見ると、「ADHD」「ASD」「ギフテッド」の特徴に当てはまります。

ギフテッドは、あらゆる分野において高い能力を示す「英才型」と、ある分野では突出した才能を示しますが、苦手なことはとことん苦手な傾向がある「2E型」があります。「2E型」は、ギフテッドと発達障害を併発している状態で、「LD」「ADHD」「ASD」の傾向を併せ持っていることがあります。

ICE(IQ、CQ、EQ)の観点で、「2E型ギフテッド」「英才型ギフテッド」「定型発達者」を比較していきます。

■「2E型ギフテッド」の特性を持っている人の特徴
IQ(知能指数):特定の分野において高い知能指数を示す傾向がある
CQ(好奇心指数):特定の分野において強い好奇心を示す傾向がある
EQ(感情知能指数):定型発達者よりも低い傾向がある
※「ASD」や「ADHD」の傾向がある場合、相手の感情を知覚することが難しく、自分の感情をコントロールすることも難しいため、時間をかけて訓練する必要があります。

■「英才型ギフテッド」の特性を持っている人の特徴
IQ(知能指数):あらゆる分野において高い知能指数を示す傾向がある
CQ(好奇心指数):強い好奇心を示すものが少ない傾向がある
EQ(感情知能指数):自分や相手の感情変化の知覚、感情のコントロールすることに長けている
※何でもそつなくこなすため、嫉妬の対象になりやすく、コミュニケーション能力は高くても社会生活に馴染めないケースがあります。周囲に溶け込むためには、人間関係のトラブルを経て、EQを高めていく必要があります。

■定型発達者の特徴
IQ(知能指数):境界知能から平均的な知能指数までバラつきがある
CQ(好奇心指数):幼少期は強い好奇心を示すが大人になると興味を持てるものが減っていく傾向がある
EQ(感情知能指数):自分や相手の感情変化の知覚することができるが、自分の感情のコントロールすることは訓練が必要である

「ADHD」「ASD」「ギフテッド」の特性を持っている人は、その特性から、周囲の人や社会に馴染むことが難しいパターンも多いです。ITが普及し、一人当たりの業務量が増えて、マルチタスクで業務をすることが求められているので、定型発達者でも複雑な業務を同時進行で進めることが難しい状況になっています。

そのような状況下では、周りの社員も、「ADHD」「ASD」「ギフテッド」の特性を持っている人と一緒に働くことは難しいと感じる人が多いでしょう。仕事の基本となるコミュニケーションが上手く取れないことが多いので、円滑に仕事を進めるためには相当な労力や時間がかかります。

私は、「ギフテッド」でした。知的好奇心旺盛な子供で、2歳上の兄が何もかも先にすることが羨ましくて、小学校の頃から兄の教科書を借りて、常に2年先の勉強をしていました。高校までの内容は教科書を読めば事足りるので、学校の勉強は物足りなくて、アルバイトをして社会勉強をしたり、年上の人や大人と交流することを好んでいました。

幼少期から、周囲の人と自分の考え方や価値観の違い、世の中のルールや仕組みに違和感を感じていました。積極的分離のフェーズを通して、人間関係や仕事での失敗も重ねながら、「EQ(感情知能指数)」を高めていくことで、自分の特性を活かして、さまざまなタイプの人と円滑にコミュニケーションをできる術を身に着けました。

冒頭で、最終的なゴールは、自身が「EQの高いイノベーション人材」になる、もしくは、「EQを高めて、必要なスキルをもった人員をチームアップできるリーダーになること」の二択だと書きました。

今後、以下の2つのパターンが生まれると思っています。

「ADHD」「ASD」「ギフテッド」の特性を持った人たちが、EQを高めて、「EQの高いイノベーション人材」になる。

もしくは、定型発達者がEQを高めて、「ADHD」「ASD」「ギフテッド」の特性を持った人をアイデア出しのフェーズで活用していく。


とはいえ、「ADHD」「ASD」「ギフテッド」の特性は個人差が大きいので、仕組み作りも運用も、そう簡単には行かないでしょう。

そんなことをお互いに疲弊してまでやりたくないとも思う人もいるでしょう。やりたい人がやればいい、そういう意見もあるでしょう。
これは、あくまでも見解の一つです。

多様性がうたわれるようになっていますが、世の中の基準や規格は、定型発達者が標準となっています。粒や形を揃えた方が、組織としての機能性は上がりますが、イノベーションは生まれにくいでしょう。

NDAやマネジメント面など、さまざまな問題はありますが、業務委託などの雇用形態で、「ADHD」「ASD」「ギフテッド」の特性を活かした働き方ができる社会になると、会社や社会の可能性が広がると考えています。



■EQが高い人の特徴

仕事においても、プライベートにおいても、「EQ(感情知能指数)」の高い人は信頼でき、一緒に居ると居心地の良さがあります。

IQが高くても、EQが低い人とは仕事がしにくいと感じたことはありませんか。結局、仕事は人と人なので、IQが高くても、EQを高める経験を積んでいなければ、円滑なコミュニケーションをとれなかったり、良好な人間関係を構築することも難しいです。

現場たたき上げの人の方が仕事ができる、一緒に仕事がしやすいと感じているケースは、その人が現場で場数を踏んで、経験を積んでいく中で、EQを高めるシチュエーションを多く経験しているからだと思います。

■EQが高い人の特徴
①柔軟性がある

EQが高い人は何事に対しても寛容です。自分の価値観と違うものに対しても偏見をもたず柔軟に受け入れる心の広さがあります。また状況の変化に対しても寛容に受け入れ、上手に対応できる特徴をもっています。

②共感力がある
言葉だけではなく、態度や仕草からも敏感に相手の感情を察して理解します。これは相手の立場に立って物事を考えられるということでもあります。

③傾聴力がある
EQが高い人は聴き上手で、相手の話にじっくり耳を傾け、感情を感じ取ろうとします。決して話の腰を折ったりせず、自分の感情と切り離した上で客観的に相手の話を理解しようとします。

④ストレス耐性がある
EQが高い人は相手の感情を察するだけでなく自分の感情にも敏感であり、それを上手にコントロールするため、ストレス耐性が高い傾向にあります。

⑤素直
自分が失敗したときや間違えたときは素直に自分の非を認めます。言い訳や責任転嫁を良しとしない潔さがあり、素直に自分の非を詫び行動を改めます。

⑥粘り強い
粘り強く物事に取り組む姿勢をもっています。困難に遭遇し諦めそうになったときも自分の感情をうまく処理できるため、途中で投げ出さず今やるべきことに集中できます。コツコツと粘り強く物事に取り組み、やがて大きな成果を上げるのもEQが高い人の特徴です。

EQの高い人の特徴とは? EQ(心の知能指数)を高める人材育成について解説


EQは後天的に伸ばすことのできるスキルで、教育や学習、訓練を通して高めることができます。ビジネススキルで重要とされるコミュニケーション能力や協調力、調整力や折衝能力は、EQを高める必要があります。



■EQを構成する能力

EQは、以下の4つの能力から構成されます。
EQを構成する4つの能力がバランス良く発揮されることが重要です。

①感情の識別:気持ちを読み取る能力
・自分の感情を知る
・相手や周囲の人の感情を読み取る

②感情の利用:ふさわしい気持ちを作り出す能力
・目的達成のためのふさわしい感情をつくる
・相手に共感することができる

③感情の理解:気持ちの原因が分かり、変化を予測できる能力
・感情の特性を理解し、変化させる
・感情がどのように移行するのか理解する

④感情の調整:気持ちを調整し、ふさわしい行動へとつなげる能力
・感情を適切に調整したり、判断に活用させる

ダニエル・ゴールマン(著)「EQこころの知能指数」


ビジネスにおいて、EQの重要性が語られるようになっていますが、EQは高める必要性を感じていない人もいます。「鈍感力」という言葉があるように敢えて空気を読まない方がいい、面倒ごとは避けたい事なかれ主義の人も増えているからでしょう。また、人を叱ることや注意することはエネルギーを使うので、EQが育ちにくくなっている要因の一つだと思っています。



■EQのミックスモデル

ダニエル・ゴールマンが提唱したミックスモデルにおいて、EQの育成に関しては、「自己認識力」「自己管理力」「モチベーション」「共感力」「社会対応力」の5つが重要とされており、これらの要素はVUCA時代のリーダーに求められる能力でもあります。

■自己認識力(Self-Awareness)
自分が今何に対してどう感じているか、自らの感情を認識すること
自分の感情を把握しており、自分の行動が他人に与える影響を十分に認識し行動できる人であり、自分の弱さや過去の失敗を気楽に人に話せる能力のことです。またその失敗や成功例について語ることができる人です。

自己管理力(Self-Regulation)
不安や苛立ちを感じた時に、自分の感情を静めること
その場の一時的な感情に支配されずにいる能力であり、自己の感情をコントロールできる人です。失敗した部下をよく考えもせずに怒鳴りつけてしまうようなことをしません。

モチベーション(Motivation)
目標達成のために自分を奮い立たせ、モチベーションを維持すること
すべての優秀なリーダーに共通する能力であり、地位とお金のためだけではなく、自分自身や他の周りの人々の期待に応える喜びを感じることができ、高いモチベーションを維持できる人です。

共感力(Empathy)
他者の感情を正確にくみ取り、それに対して適切な反応をすること
仕事上の様々な決定をしていく中で、部下の感情をきちんと考慮して行動できるリーダーに必要な能力で、モチベーションを上げるためにどんな決定をすべきか、どんな言葉を話すべきかを考えることができる能力を言います。

社会対応力 (Social Skill)
自己の感情を認識した上で相手の感情を受け止め、他人との話を進める上で合意・着地点を見つけること
「仕事は一人で成し遂げられない」としっかり認識でき、チームとして行動できる能力であり、「必要な時には自分に協力してくれるネットワーク」を組織や会社をまたがって築く能力のことです。これらの能力を備えることにより、リーダーシップの改善、社員の生産性向上、社員エンゲージメントの向上が図られ、結果的に企業が成長することにつながります。

グローバル企業でのイノベーション人材育成の潮流



■EQをどのように高めていくのか

前項の「EQを構成する能力」で記載しました通り、EQを構成する4つの能力がバランス良く発揮されることが重要です。

①感情の識別(Identify)
自分や他人の感情を感じる能力で、EQにおいて最も重要であり、基本となる能力。自分や相手がどのような感情なのかをしっかり識別し、感情変化を把握できる能力のこと。EQの能力のベースであり、感情の識別をしやすくなると、他の段階もスムーズに進みやすい。

②感情の利用(Use)
感情を用いて思考を促進する能力で、課題や問題の解決に向けて、必要な感情をつくる能力。目的達成のために感情を切り替えたり、自分にとって望ましくない境遇に置かれたときに、厳しい逆境を乗り切るために、自らのモチベーションを上げることができる。

③感情の理解(Understand)
感情の原因や行く末を理解する能力で、自分の感情が発生している原因や、その感情がどのように変化していくか予測ができれば、次にとるべき適切な行動を検討できる。

④感情の調整(Manage)
目的を果たすために感情を調整する能力で、他の3つの能力を駆使しながら、より最適な行動に結びつけ、達成へと導く能力。自分の感情を識別、利用、理解しながら調整をすることで行動を起こしたり、状況の変化に応じて軌道修正する。

EQを構成する能力は、「ADHD」「ASD」の特性を持つ方が苦手とする能力でもありますが、それはEQの基本であり、重要な能力である「感情の識別」がしにくいからです。

定型発達者の場合、「感情の識別」はできますが、そのレベルにはバラつきがあります。また、経験を積んで訓練しなければ、「感情の利用能力」も「感情の理解能力」も「感情の調整能力」も伸びません。

基本となる「感情の識別」が容易にできるか否かの差で、定型発達者でも、感情の利用・理解・調整を適切にできる人は少ないと感じています。


EQを高める方法として、よく上げられるのは「傾聴を意識する」「相手の良いところを見つける」「日記をつける」「自分の言動を振り返る」ことです。これらは、私も学生時代から取り組んでいました。

■EQを高める方法
①研修を実施する
②日記をつけ気持ちを書き出す
③人の話を聴いたり本を読む
④人の良いところを探す
⑤自分の行動や言動を振り返る

EQ(こころの知能指数)とは?高い人の特徴やビジネスでの効果と高める方法について解説


ギフテッドだった私は、幼少期や学生時代は人間関係のトラブルも多く、就職してからも理論や仕組みを理解していても、実戦での経験が足りていないので、仕事で上手くいかないことも多くありました。そんな経験を経て、EQを培ってきた過程から、ざっくりとEQを算出する数式を作ってみました。

■EQを高めるために必要な要素
①対人関係構築スキル:100人中何人と良好関係を築くことができるか
②これまで出会った人数:学校や職場などで頻繁に交流してきた人数
③問題解決数:トラブル発生時に自ら問題解決まで導いた件数
④問題解決時の協力数:トラブル発生時に問題解決のサポートした件数

■EQを算出する計算式(概算)
(①対人関係構築スキル × ②これまで出会った人数 × ③問題解決数)
+(①対人関係構築スキル × ②これまで出会った人数 × ④問題解決時の協力数/10)

例えば、100人中80人と、良好な関係を築けるとして、
①80÷100=0.8

これまで、仕事やプライベートで関わってきた人数が、
②300人

自ら問題解決まで導いた件数が、
③10件

問題解決のサポートをした件数が、
④3件

この場合は、① × ② × ③=0.8 × 300 × 10 = 2,400 
① × ② × ④=0.8 × 300 × 3 ÷10 = 72 

合計2,472が、概算のEQになります。

一方で、コミュニケーションをとることが苦手な人の場合、
100人中10人と、良好な関係を築けるとして、
①10÷100=0.1

これまで、仕事やプライベートで関わってきた人数が、
②100人

自ら問題解決まで導いた件数が、
③0件

問題解決のサポートをした件数が、
④20件

この場合は、① × ② × ③=0.1 × 100 × 0 = 0 
① × ② × ④=0.1 × 100 × 20 ÷10 = 20

合計20が、概算のEQになります。

EQを構成する4つの能力がバランス良く発揮されることが重要で、
「感情の識別」「感情の利用」「感情の理解」ができても、「感情の調整能力」を養うトラブル対応の経験を積んでいなければ、ビジネスにおいて問題解決をしながら、他者と協力して目的達成をする関係構築能力は低くなると考えています。

そのため、挫折経験が多い人や、多くの逆境を乗り越えてきた人、トラブル発生時に自ら問題解決まで導いてきた人はEQが高くなり、これまでの人生を平穏に過ごしてきた人や、他者に問題解決をしてもらってきた人は、あまりEQが育っていない傾向があるでしょう。



■あとがき

今回は、『 変化と多様性が求められるVUCA時代を生き抜く方法 』について、書いてみました。

自身が「EQの高いイノベーション人材」になる、もしくは、「EQを高めて、必要なスキルをもった人員をチームアップできるリーダーになる」という観点で書いてきましたが、仕事以外でも、多様性が求められる社会では、EQを高めることは重要になっています。


今回の記事では、「ADHD」「ASD」「ギフテッド」について触れていますが、世の中にはさまざまな特性を持った人がいます。

それぞれが、より生きやすい世の中になるためには、「HQ(人間性知能指数)の向上」を向上させる必要があります。そのためには、ベースとなるEQの向上が必要不可欠です。

「積極的分離理論」に触れた時の感想は、こちらの記事で書いています。

■積極的分離理論とは
積極的分離とはまず対象から主体的に分離し、物理的、あるいは精神的な距離を置く事で、より広い視野を俯瞰し、強い知覚に基づく深い理解を形成し、より高いレベルの認識を求め続けることである。

心理状態と特徴[編集]
一般社会においてでさえ、積極的分離と再融合を繰り返すギフテッドは自己や世界の概念が徐々に変化しながらも、少しずつ社会の矛盾を解きほぐし、問題を認識し、最終的に独創的なビジョンを経て、その解決や克服、実現を目指す。

Wikipedia


HQ(人間性知能指数)の向上は、ギフテッドの積極的分離と関連性があるように感じました。積極的分離は、自発的に起こるものではありません。
ギフテッドは生きていく上で、否が応でも自分と向き合わざるをえず、積極的分離を起こしていくことがあります。

ギフテッドが積極的分離をしながら、社会や周囲の人と馴染むために、世の中のルールや白黒つけられないグレー部分に対して柔軟に適応するために、人格の崩壊と再構築を繰り返す過程は、想像を絶する苦痛を伴います。

私のように周囲の理解やサポートを得にくい人も多くいるでしょう。
私は積極的分離と再融合を繰り返して、最後まで諦めずにもがいて、自分は自分を生き抜いてやるという精神力と、さまざまなトラブル対応や、価値観やルールに対応力していく過程がEQを高めていきました。

私がEQやSQを高めていくことで、学校や職場など、さまざまなコミュニティにおいて、自身の感情を適切にコントロールし、社会生活に溶け込み、良好な人間関係を構築できるようになったのも、その人、その場所、その時代の価値観やルールに合うように自分を変化させてきたからだと思います。

私の経験が、ギフテッドの積極的分離に苦しむ方にとって、少しでも参考になれば幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?