今回は、『 変化と多様性が求められるVUCA時代を生き抜く方法 』について、書いていきます。
仕事においても、プライベートにおいても、常に変化していく社会で先が見えず、不確定要素が多い状況に不安を感じて、安心できる指標や正解を探している人も多いかと存じます。
私、個人としては、すべての人やすべての状況で通用する正解は無いと思っています。どんな時代になっても生き抜く方法は、ただ一つ。
何があっても 何が待ち受けていようとも
どんな状況になろうとも 変化を受け入れ
人の感情や情報を読み 社会情勢や世界情勢を読み
自らの意思で最適な意思決定を迅速に行うこと
そのために必要な鍵は、「EQ(感情知能指数)」を高めること。
最終的なゴールは、自身が「EQの高いイノベーション人材」になる、もしくは、「EQを高めて、必要なスキルをもった人員をチームアップできるリーダーになること」の二択だと思います。
ビジネスにおいて、EQは重要な指標の一つです。
EQが高い人は、情動知能に優れており、総合的な対人関係能力の高さを併せ持っています。EQの育成に関しては「自己認識力、自己管理力、モチベーション、共感力、社会対応力」の5つが重要とされており、これらはリーダーにとっての必須の能力と言われています。
また、EQは後天的に伸ばすことができるので、教育や学習、訓練を通して高めることができます。ビジネススキルで重要とされるコミュニケーション能力や協調力、調整力や折衝能力を養うには、EQを高める必要があります。
これまでの私の人生のフィールドワークで得た知見が、少しでも皆さまの役に立てれば幸いです。
■不確実性(VUCA)とは
VUCA(ブーカ)の時代を生き抜くためには、柔軟な思考、迅速な意思決定、持続的な学習、そして多様性を受け入れることが求められます。
また、VUCA時代では、最適な決定を迅速に行う必要があり、素早い意思決定を行う方法として注目されているのが、OODA(ウーダ)ループです。
不確実性(VUCA)に対抗するためのガイドラインとしてISO56002(イノベーション・マネジメントシステム:IMS)が公開されています。
冒頭で述べました通り、VUCA時代を生き抜く鍵は、EQ(感情知能指数)を高めること。
VUCA時代で求められるスキルは、「情報収集力と処理能力」「問題解決力」「意思決定力」「コミュニケーション力」「臨機応変な対応力」です。
EQが高い状態であれば、何があっても、何が待ち受けていようとも、どんな状況になろうとも、変化を受け入れ、人の感情や情報を読み、社会情勢や世界情勢を読み、自らの意思で最適な意思決定を迅速に行うことが可能です。
そして、VUCAのキーワードの一つである「イノベーション」は、日本企業や日本人が苦手とする要素でもあります。日本人は、既存の技術を改良していく手法に長けていますが、革新的なアイデアや独創性に溢れるアイデアを出せる人は多くはありません。そういうタイプの人は、企業勤めには向いておらず、起業したり、フリーランスで活動している方も多いかと存じます。
冒頭で最終的なゴールは、自身が「EQの高いイノベーション人材」になる、もしくは、「EQを高めて、必要なスキルをもった人員をチームアップできるリーダーになること」の二択だと述べました。
この後、「イノベーション人材」について、「イノベーション人材を育成するポイント」について書いていきます。
■イノベーション人材とは
国内における企業の経済成長は頭打ちになっていて、少子高齢化により、大企業でも、売上や企業体力を維持することも難しくなっています。企業では、技術的な革新を起こせるイノベーション人材の育成が求められています。
イノベーション人材が必要とするスキルのうち、アイデアを生み出す「創造力」と「価値変換スキル」は、後天的に身に着けることは難しいものです。
特に、大人になってからだと、なかなか価値観や思考パターンを変えることはできません。
自らがイノベーション人材になることが難しい場合は、「アイデアを出すフェーズ」と、「事業を成長させるフェーズ」に分けて、それぞれに必要な人材を確保することになるでしょう。
■イノベーション人材の種類
イノベーション人材には「アイデアを出せる人材」と「事業を成長させる人材」の2つのタイプがあります。
堅実な事業を展開する大企業や中小企業において、アイデアを出せる人材が少ないケースが多いです。そもそも、独創性が高い革新的なアイデアを出せる人材は、組織との相性が良くないケースも多く、マネジメントが難しいという理由で採用されなかったり、組織形成の段階でチームから外されていることもあるでしょう。
ベンチャー企業の場合は、新しいビジネスモデルを事業としており、ゼロからビジネスを立ち上げているので、アイデアを出せる人材はいるけれども、逆に事業を成長させる人材が少ないケースがあります。
■イノベーション人材の育成ポイント
VUCA時代では、常にぶれない考えを持ち、常に学び、常に話し合い、素早く行動を起こすことで、不確実な現代を乗り越えていく必要があります。
イノベーション人材は、以下の5つの指標のうち、特に後天的に伸ばすことのできる「EQの向上」が重要になってくるでしょう。
EQを向上させる過程で、SQも高まっていき、最終目標となる「HQ(人間性知能指数)の向上」につながります。HQは「第3の知性」であり、IQやEQ以上に重要な人間の対人能力の統合形かつ最終形です。
前項の「イノベーション人材の種類」で記載した「アイデアを出せる人材」の特徴を見ると、「ADHD」「ASD」「ギフテッド」の特徴に当てはまります。
ICE(IQ、CQ、EQ)の観点で、「2E型ギフテッド」「英才型ギフテッド」「定型発達者」を比較していきます。
「ADHD」「ASD」「ギフテッド」の特性を持っている人は、その特性から、周囲の人や社会に馴染むことが難しいパターンも多いです。ITが普及し、一人当たりの業務量が増えて、マルチタスクで業務をすることが求められているので、定型発達者でも複雑な業務を同時進行で進めることが難しい状況になっています。
そのような状況下では、周りの社員も、「ADHD」「ASD」「ギフテッド」の特性を持っている人と一緒に働くことは難しいと感じる人が多いでしょう。仕事の基本となるコミュニケーションが上手く取れないことが多いので、円滑に仕事を進めるためには相当な労力や時間がかかります。
冒頭で、最終的なゴールは、自身が「EQの高いイノベーション人材」になる、もしくは、「EQを高めて、必要なスキルをもった人員をチームアップできるリーダーになること」の二択だと書きました。
今後、以下の2つのパターンが生まれると思っています。
「ADHD」「ASD」「ギフテッド」の特性を持った人たちが、EQを高めて、「EQの高いイノベーション人材」になる。
もしくは、定型発達者がEQを高めて、「ADHD」「ASD」「ギフテッド」の特性を持った人をアイデア出しのフェーズで活用していく。
とはいえ、「ADHD」「ASD」「ギフテッド」の特性は個人差が大きいので、仕組み作りも運用も、そう簡単には行かないでしょう。
そんなことをお互いに疲弊してまでやりたくないとも思う人もいるでしょう。やりたい人がやればいい、そういう意見もあるでしょう。
これは、あくまでも見解の一つです。
多様性がうたわれるようになっていますが、世の中の基準や規格は、定型発達者が標準となっています。粒や形を揃えた方が、組織としての機能性は上がりますが、イノベーションは生まれにくいでしょう。
NDAやマネジメント面など、さまざまな問題はありますが、業務委託などの雇用形態で、「ADHD」「ASD」「ギフテッド」の特性を活かした働き方ができる社会になると、会社や社会の可能性が広がると考えています。
■EQが高い人の特徴
仕事においても、プライベートにおいても、「EQ(感情知能指数)」の高い人は信頼でき、一緒に居ると居心地の良さがあります。
IQが高くても、EQが低い人とは仕事がしにくいと感じたことはありませんか。結局、仕事は人と人なので、IQが高くても、EQを高める経験を積んでいなければ、円滑なコミュニケーションをとれなかったり、良好な人間関係を構築することも難しいです。
現場たたき上げの人の方が仕事ができる、一緒に仕事がしやすいと感じているケースは、その人が現場で場数を踏んで、経験を積んでいく中で、EQを高めるシチュエーションを多く経験しているからだと思います。
EQは後天的に伸ばすことのできるスキルで、教育や学習、訓練を通して高めることができます。ビジネススキルで重要とされるコミュニケーション能力や協調力、調整力や折衝能力は、EQを高める必要があります。
■EQを構成する能力
EQは、以下の4つの能力から構成されます。
EQを構成する4つの能力がバランス良く発揮されることが重要です。
ビジネスにおいて、EQの重要性が語られるようになっていますが、EQは高める必要性を感じていない人もいます。「鈍感力」という言葉があるように敢えて空気を読まない方がいい、面倒ごとは避けたい事なかれ主義の人も増えているからでしょう。また、人を叱ることや注意することはエネルギーを使うので、EQが育ちにくくなっている要因の一つだと思っています。
■EQのミックスモデル
ダニエル・ゴールマンが提唱したミックスモデルにおいて、EQの育成に関しては、「自己認識力」「自己管理力」「モチベーション」「共感力」「社会対応力」の5つが重要とされており、これらの要素はVUCA時代のリーダーに求められる能力でもあります。
■EQをどのように高めていくのか
前項の「EQを構成する能力」で記載しました通り、EQを構成する4つの能力がバランス良く発揮されることが重要です。
EQを構成する能力は、「ADHD」「ASD」の特性を持つ方が苦手とする能力でもありますが、それはEQの基本であり、重要な能力である「感情の識別」がしにくいからです。
定型発達者の場合、「感情の識別」はできますが、そのレベルにはバラつきがあります。また、経験を積んで訓練しなければ、「感情の利用能力」も「感情の理解能力」も「感情の調整能力」も伸びません。
基本となる「感情の識別」が容易にできるか否かの差で、定型発達者でも、感情の利用・理解・調整を適切にできる人は少ないと感じています。
EQを高める方法として、よく上げられるのは「傾聴を意識する」「相手の良いところを見つける」「日記をつける」「自分の言動を振り返る」ことです。これらは、私も学生時代から取り組んでいました。
ギフテッドだった私は、幼少期や学生時代は人間関係のトラブルも多く、就職してからも理論や仕組みを理解していても、実戦での経験が足りていないので、仕事で上手くいかないことも多くありました。そんな経験を経て、EQを培ってきた過程から、ざっくりとEQを算出する数式を作ってみました。
EQを構成する4つの能力がバランス良く発揮されることが重要で、
「感情の識別」「感情の利用」「感情の理解」ができても、「感情の調整能力」を養うトラブル対応の経験を積んでいなければ、ビジネスにおいて問題解決をしながら、他者と協力して目的達成をする関係構築能力は低くなると考えています。
そのため、挫折経験が多い人や、多くの逆境を乗り越えてきた人、トラブル発生時に自ら問題解決まで導いてきた人はEQが高くなり、これまでの人生を平穏に過ごしてきた人や、他者に問題解決をしてもらってきた人は、あまりEQが育っていない傾向があるでしょう。
■あとがき
今回は、『 変化と多様性が求められるVUCA時代を生き抜く方法 』について、書いてみました。
自身が「EQの高いイノベーション人材」になる、もしくは、「EQを高めて、必要なスキルをもった人員をチームアップできるリーダーになる」という観点で書いてきましたが、仕事以外でも、多様性が求められる社会では、EQを高めることは重要になっています。
今回の記事では、「ADHD」「ASD」「ギフテッド」について触れていますが、世の中にはさまざまな特性を持った人がいます。
それぞれが、より生きやすい世の中になるためには、「HQ(人間性知能指数)の向上」を向上させる必要があります。そのためには、ベースとなるEQの向上が必要不可欠です。
「積極的分離理論」に触れた時の感想は、こちらの記事で書いています。
HQ(人間性知能指数)の向上は、ギフテッドの積極的分離と関連性があるように感じました。積極的分離は、自発的に起こるものではありません。
ギフテッドは生きていく上で、否が応でも自分と向き合わざるをえず、積極的分離を起こしていくことがあります。
ギフテッドが積極的分離をしながら、社会や周囲の人と馴染むために、世の中のルールや白黒つけられないグレー部分に対して柔軟に適応するために、人格の崩壊と再構築を繰り返す過程は、想像を絶する苦痛を伴います。
私のように周囲の理解やサポートを得にくい人も多くいるでしょう。
私は積極的分離と再融合を繰り返して、最後まで諦めずにもがいて、自分は自分を生き抜いてやるという精神力と、さまざまなトラブル対応や、価値観やルールに対応力していく過程がEQを高めていきました。
私がEQやSQを高めていくことで、学校や職場など、さまざまなコミュニティにおいて、自身の感情を適切にコントロールし、社会生活に溶け込み、良好な人間関係を構築できるようになったのも、その人、その場所、その時代の価値観やルールに合うように自分を変化させてきたからだと思います。
私の経験が、ギフテッドの積極的分離に苦しむ方にとって、少しでも参考になれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。