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「男のやさしさ」について考える
先日、仲間内で、街から車で約1時間半、お店の前で畑を営み、そこで採れたイタリアン野菜を使って料理していると言う、素敵なレストランに行くことになった。
1台に3人ずつ乗車し、車2台で出発。
わたしは、50代の男性が運転する車に、もう1人の女性と共に乗った。
乗車するなり、運転する男性が一言、「ごめんね、こんな旧式の車で。」
車を運転しないわたしは、車種や年式の事など、殆ど分からない。
20代のわたしに、きっと車のことなど分からないだろうと、適当に接するのではなく、一言声をかけてくれる優しさ。
それも、大層にお詫びしたり、高級車でない事を言い訳がましく説明したりするでもなく、さらっと一言だけ声をかける、心の余裕。
わたしはこの一言に触れて、久々に男性の言動にグッと来た。感激した。
向田邦子さんの随筆に、「女を斬るな狐を斬れ 男のやさしさ考」というタイトルの文章がある。
その中の一節を、ふと思い出した。
"私の好きな男のやさしさは、あまりかっこよくない不器用な、少々こっけいなやさしさです。
やさしくて、かえってみっともない時。自分が恥をかいても、それを言いわけせず、その恥自体が誰かへのやさしさになっている時。そういう時の男は、惚れぼれするほど素敵です。"
"自分がやさしくないと、つまりガサツに生きていると、人のやさしさにも鈍感になります。収入があり、マイホームを建て、車を買ってくれる男を、やさしいとカン違いしている手合いも沢山おります。"
男性のやさしさの魅力は、カッコつけている瞬間よりも、寧ろ、ちょっとカッコ悪い、ぎこちないような瞬間にあるのかもしれない。
レクサスやベンツを乗り回し、女性を助手席に乗せる時も、「高級車に乗せてあげている」という空気感をモロに出している男性も、結構いる。
そういう男性の魅力が、浅くて表面的なものである事が、最近ようやく分かってきた。
何気ない気遣いが出来る男性に、これからも出会いたいなと思うし、自分自身が、その魅力に気付けるイイ女でありたいと思う。