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膝前十字靭帯再建術後の膝関節不安定性について徹底解説


スポーツ選手にとってものすごく深刻なケガであり、選手生命の危機に立たされる前十字靭帯損傷。リハビリテーションする期間がとても長く、選手自身も苦しむ方々がほとんどです。


今回は、前十字靱帯再建術後の治療、リハビリテーションにおいて前十字靭帯に対する重要な考え方について、学んでいきましょう!


膝前十字靭帯再建術後の不安定性という徴候

前十字靭帯は、膝の静的安定化機構の中でも一番重要になる靭帯です。靭帯に唯一、血液が通っているので損傷すると関節内で出血が起こります。この前十字靭帯は、関節内に血管が通っているため、血行が乏しく他の部位に比べて、自然治癒能力が非常に低いです。そのため、一度損傷すると、ほとんどの方々の膝は、永続的に不安定な膝になってしまいます。

スポーツ選手が前十字靭帯を損傷すると、手術をしないといけなくなります。スポーツを継続していると、膝崩れ現象という、いきなり膝が、「ガクッ」と落ちる現象が起きます。これを反復すると二次的な半月板や関節軟骨の損傷に響き、早期に二次性の変形性膝関節症に繋がる恐れがあります。スポ―ツをしない人に関しては、手術をしないこともあります。

手術では、自家移植腱を用いた前十字靭帯再建術が標準的な治療になります。この手術の方法は二つあります。

・BTB法―膝蓋腱をから採取し、移植させる方法

・STG法―半腱様筋から採取し、移植させる方法

BTBが用いられるケースが多く、前方から採取するため、BTB法で手術した患者に対しては前方の不安定性にアプローチする必要があります。STGでは、後面の筋を採取するのでハムストリングスの柔軟性や筋力強化を行う必要があります。


前十字靭帯の機能解剖学

前十字靭帯について深掘りします。前十字靭帯は、起始である大腿骨外側顆の窩間側後方から停止の脛骨の内側顆間結節前方に向かって、後外側から前内側にねじれながら走行します。次に、OKCとCKCにおいてはどのような作用があるのかを見ていきます。

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