読書の記録 禍
小田雅久仁さんの『禍』を読みました。『このホラーがすごい!2024』に載っていて購入してみたのです。
私の想像していたホラーとは違い、なんと禍々しいお話ばかり、まさに怪奇小説です。よくこんなお話が思いつくなと感心してしまいますが、読み始めた時は、その悪夢みたいなお話に怯んで読むの諦めて中断していたくらいです。
救いは、すべてが短編であること。始めから終わりまでが短いから耐えられたと思います。
全部、心がざわつくお話ばかりなのですが、インパクトが強かったのは、『農場』というお話です。
無職で家なしの井上輝生という青年が誘われた農場での仕事。閉鎖的な農場では、あるものを育てていて・・・。
その育てているものが何なのか、ちゃんと生きているかもわからないし、植物として枯れるのに育てる意味があるのか?本当に謎な上に不気味でした。
でも、何年も仕事が続くということは、何かしらの需要があるのだろうし、それなりに意味があるのだろうけど、輝夫はわからないまま、長く仕事をして最後はなんとも言えない終わりです。
これはどういうことなのか?と考えてしまうと眠れなくなりそうですし、悪夢を見てしまいそう。
好きか嫌いかと言われれば、好きではないですが、このようなお話を執筆できる小田さんはすごい作家だと思います。
私にとっては、スティーブン・キングみたいに何かをえぐられるような気持ちになる本を書く方ですね。
幽霊に頼らない恐怖って、きっとこういうことなのかもしれません。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?