読書の記録 夏の名残りの薔薇
恩田陸さんの『夏の名残りの薔薇』を読みました。
この本は、何度か読んでいて、お気に入りの一冊です。
資産家の沢渡三姉妹が山奥のクラシックホテルで毎年秋に開催する豪華なパーティーで、巻き起こるミステリ。
第一変奏から第六変奏までお話があるのですが、殺人があるものの、次の変奏ではその人物は、生きていて、また違う人物に視点がうつりとお話が進みます。
すべては本当に起こったことなのか、それとも何も起こらなかったのか、パラレルワールド?願望?と不思議なお話です。
『去年マリエンバードで』という映画がところどころ引用されていて、それが初めて読んだ時は、ちょっと邪魔だなと思いました。
ただ映画を見ると記憶の変容を扱うところやゴシックホテルの雰囲気など、『夏の名残りの薔薇』にぴったりでした。
映画は、本当に難しく理解できませんでしたが、シャネルがデザインした衣装や映画全体の雰囲気はとても素敵。覚えていないことをあったと言われ続けるのは、ある意味ホラーです。
納得もしてないし、好きでもないのについて行ってしまう彼女が理解不能でした。
本の登場人物の桜子が私は1番好きで、すごい美貌で頭もよく、完璧!でも、何か満たされない気持ちを抱え、最終的には、えっ!その人と?と私としては意外な人物と旅立つ。
それもまた本当に起こったことかどうかわからないけれど・・・。
タイトルの『夏の名残りの薔薇』は、ハインリヒ・W・エルンストというヴァイオリニストの曲から採ったそうです。
曲を聴きながら本を読むと、よりいっそう物語に入り込めそうな気がします。