おいなりさん
インスタントラーメンが走りのころ
箱買いしてくるような祖母
朝食に雑なおじやを出す
破天荒で気性が荒く、若いころは相当な人だったよう
でも、孫はかわいかったのかもしれない。
休日においなりさんをつくって、お弁当にして
何度か隅田公園に連れていってくれた。
あの味をどこかで求めている私がいて
何度もチャレンジするのだろうか。
最近定着したのは、かなり手抜きの作り方
昆布と干ししいたけ、つゆの素、みりん、お酒、砂糖、水
油抜きした油揚げを投入
落としぶたで1時間15分煮詰める
100円で5枚入りの油揚げは
ネットスーパーの注文かごに息子がしれっと投入している
毎週のように
コスパのいい、いなり寿司を無言で要求してくる
昆布もしいたけも細かく切って 酢飯に混ぜ
お手製の甘酢しょうがも一緒に堪能する
年を取ったら、いなり寿司屋さん、やろうかな
40代のころ、ふっと思ったことがあった。
おいなりさんって、おばあちゃんの味なのかな。
2021.9.3
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創作の芽に水をやり、光を注ぐ、花を咲かせ、実を育てるまでの日々は楽しいことばかりではありません。読者がたった1人であっても書き続ける強さを学びながら、たった一つの言葉に勇気づけられ、また前を向いて歩き出すのが私たち物書きびとです。