問題と課題と対策と
中学校に勤務していると、教育計画を作成し、そして実践し、最後に研究のまとめとして、「〇〇中教育のまとめ」みたいな冊子を作成する学校が多いと思います。
私は研究主任として、この「〇〇中教育のまとめ」を作成する立場にあるのですが、先代の校長が業務の簡素化を図るため、今までかなりの量の文章を書いていた「まとめ」冊子づくりを、「成果」「課題」「引継ぎ事項」の3点の箇条書きだけで済ますように変えてくれました。
そして今年度もこの箇条書き方式で「まとめ」冊子づくりを進めていったのですが、ここで今年の校長から次のような指摘がありました。
「課題」をただの「問題」として書いている先生が多い。
その校長は「問題」と「課題」と「対策」の違いについて調べてきてくれて、大変勉強になったのでnoteします。
1.問題と課題と対策の違い
例えば、「あなたの授業の課題について教えてください。」と質問されたらどう答えるでしょうか。
・言語活動が少ないこと
・生徒の書く力が育っていないこと
なんて答えるでしょうか。
簡単に違いをまとめると以下のようになります。
・『問題』……現状と目標との差異
・『課題』……問題解決のための達成目標
・『対策』……課題を克服するための具体的な行動内容
したがって私が例として挙げたものは「問題」であることが分かります。つまり、目標に至っていないところは何かというレベルだということです。
これが「課題」になるためには、解決するための目標を示すことが必要になるわけです。よって課題は・・・
・言語活動が少ないこと → 言語活動を授業内で必ず設定すること
・生徒の書く力が育っていないこと → 発表語彙を増やすこと
語順を意識した活動を増やすこと
あるテーマに対して自分の考えを
書く活動を設定すること
こういう文章表記になると考えられます。
そして対策となると、さらに細かな行動内容になるわけです。よって対策は・・・
・発表語彙を増やすために、単語テストを定期的に行うとともに、その身に着けたい単語を意図的に使うような言語活動を設定する。
・語順を意識させるために、5文型を導入し、副詞の語順についても指導を行う
・テーマについて書く活動を行うために授業計画立案の段階で、各単元ごとのまとめの活動をとして、単元を貫くテーマに対しての自分の考えを書く活動をすることを生徒にあらかじめ予告し、そのテーマについて考えることができるような言語活動を適宜設定する。
という文章表記になると考えられます。
2.今後の「まとめ」冊子の作成について
これを踏まえて、先生方には「問題」と「課題」の違いについて年度当初理解をしてもらうとともに、問題と対策について書いてもらうと次年度につながりやすくなると思っています。
3.対策の考え方についてちょっとだけ
さて、対策の考え方ですが、生徒に頑張るようにさせるとか教師が気を付けるといったような「人」を主語にするような対策は、まずうまくいきません。「仕組み」を変える「システム」を変えるという対策でないとうまくいかないと思っています。