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【YouTube】「誰かに見られてる」これは懐かしい!レンタルビデオ全盛期の人気作

【概略】

リドリー・スコット監督作『誰かに見られてる』(字幕版)【映画フル公開】

夜、ひっそりと観たい80年代のラブサスペンス映画。 リドリー・スコット監督が描くニューヨークの美しい街並み。 スティングが歌うジョージ・ガーシュインの名曲「誰かが私を見つめてる」。 これらが映画の魅力を一層引き立てる。
【あらすじ】
NY市警の刑事マイクは、ダウンタウンで妻子と幸せな日々を送っていた。ある日、富豪の娘で社交界の華でもあるクレアが、パーティで偶然に殺人事件を目撃する。クレアは口封じのため殺人犯から命を狙われる立場に陥り、マイクは彼女の護衛を命じられる。住む世界の違いに戸惑いを感じながらも、マイクとクレアは惹かれあっていった。様々な手段で襲いかかる残忍な殺人犯。緊迫した状況の中で、いくつもの愛が交錯しながら事件は意外な方向へと進んでいく・・・。
【キャスト】
マイク・キーガン:トム・ベレンジャー
クレア・グレゴリー:ミミ・ロジャース
エリー・キーガン:ロレイン・ブラッコ
ガーバー警部補:ジェリー・オーバック
ニール・スタインハート:ジョン・ルービンスタイン
ジョーイ・ベンザ:アンドリア・カツラス
T.J.:トニー・ディベネデット
クーンツ:ジェームス・モリアティ
ウィン・ホッキングズ:マーク・モーゼズ
スコッティ:ダニエル・ヒュー・ケリー
トミー:ハーレイ・クロス
【スタッフ】
監督・製作総指揮:リドリー・スコット
製作:シーリー・デ・ギャニー
製作:ハロルド・シュナイダー
脚本:ハワード・フランクリン
撮影:スティーブン・ポスター,A.S.C.
美術:ジム・ビッセル オリジナル・スコア:マイケル・ケイメン
(YouTube解説文より)

本編↓(ソニー・ピクチャーズ公式チャンネル)


【評価】

懐かしい映画が、16日からYouTubeで無料公開されていたので、見てしまった。

この1987年のリドリー・スコットの映画、劇場ではコケたけど、ちょうど90年代アタマのレンタルビデオ全盛期と重なって、ビデオ屋で借りて見た人が多いと思う。私もそう。たぶんアメリカでも同じじゃないかな。


日本版VHSパッケージ


ハリウッド映画の新作が、家で見られる、というのが、まだ新鮮だった時代です。だから、この映画も、レンタルで何度も見た記憶があります。

でも、「トム・ベレンジャー、ミミ・ロジャース、ロレイン・ブラッコ」という主役陣が地味だったせいか、その後はあまり語られなくなった。いい映画なんですけどね。

100点満点で82点くらいあげちゃっていいと思う。(ただ、リマスターとかされてないらしく、画質がもうひとつ冴えないのは残念)


ちなみに、この映画は公開時(1987)はコロンビアの映画でしたが、1989年にソニーがバブルの勢いでコロンビアを買収したので、それからはソニーの映画。そういう時代の映画でもあります。


上のビデオのパッケージを見ると、裏の解説の最後に、

『ブレードランナー』『ブラックレイン』の映像派監督、リドリー・スコットが大都会ニューヨークを舞台に描くロマンチック・サスペンス。


とあるのも、時代を感じさせます。

映画の売りとして、今だったら「リドリー・スコット監督作」が最初に出てくるでしょう。でも、この時点では、パッケージの目立つところに、彼の名前はない。

そして、解説文でも、「エイリアン」を出さずに、高倉健出演で、その時点での最新作だった「ブラックレイン」を出している。

「エイリアン」や「ブレードランナー」の評価は、ビデオやレーザーディスクの時代になり、繰り返し家で見られるようになって、上がっていきました。それにともなって、リドリー・スコットの評価も上がっていったと思います。

この時点では「映像派監督」だけど、今ではもちろん「巨匠」。


ついでに、この日本語解説文について言っておくと、「あらすじ」にある、


NY市警の刑事マイクは、ダウンタウンで妻子と幸せな日々を送っていた。


というのは、「ダウンタウン」のよくある誤用ですね。「下町」のような意味で使っている。その誤りを、YouTube解説でも繰り返しているのはどうかと思う。

ダウンタウンは、実際には都市の中心、商業の中心地のことです。この映画は、主人公の警察官(トム・ベレンジャー)が、ダウンタウンを所轄におさめる署に栄転することを祝うホームパーティから始まる。同僚から「ダウンタウンの誰にコネがあったんだ」と冷やかされる。(警察署自体は、一般にアップタウン=都市の商業地以外のところ=にある)

彼が妻子と住んでいるのは、クイーンズという「下町」です。ダウンタウンが、彼の生活圏とは異なる世界、というのが重要なポイント。映画は、地下鉄での通勤シーンなどをわざわざ挟み、その「距離感」を表現しています。

この映画は、ニューヨークの中心地、マンハッタンの高級アパートメントの上級世界と、ニューヨークの東部、移民が多く住むクイーンズの庶民の世界を対比させて、身分を超えた恋愛を描いているのです。

庶民の警察官が、上級国民を警護するうちに恋に落ちる、というストーリーが、同時期のケビン・コスナーの「ボディガード」(1992)と重なって、よく頭のなかでゴッチャになります。


トム・ベレンジャーの庶民的な妻を演じたロレイン・ブラッコの好演で知られる映画です。今見ても圧倒的に素晴らしい。


彼女は、このあとスコセッシの「グッドフェローズ」(1990)でマフィア(レイ・リオッタ)の妻を演じ、アカデミー助演女優賞候補になります。まさに彼女の全盛期の名演です。


そのロレイン・ブラッコに食われて、ミミ・ロジャースがかわいそうだけどね。

ミミ・ロジャースは当時、トム・クルーズと結婚していて、旬な人でした。(二人は宗教=サイエントロジー=つながりらしい)

そしてロレイン・ブラッコは、ハーヴェイ・カイテルと結婚していた。どっちも別れちゃったけど。


トム・ベレンジャーについても、語りたいことはたくさんあるけどねー。好きな俳優です。

当時の「タフガイ」役では、彼や、ジェームズ・ウッズが私は好きだった。でも、ブルース・ウィリスやハリソン・フォードに、どんどん水を開けられていきました。

ミミ・ロジャースとトム・クルーズが結婚していたこともあって、私の頭のなかでは、トム・ベレンジャーとトム・クルーズは同世代だろうくらいに思っていたけど、ベレンジャーの方が10歳以上、上ですね。

トム・クルーズは、60代とはいえ、まだ若々しいけど、トム・ベレンジャーは、もう75歳で、「山猫は眠らない」シリーズで最後に見たときは、すっかりおじいちゃんになっていた。


この映画に出ていて、亡くなった二人の名優をしのびたい。

一人は「LAW & ORDER」でも知られるジェリー・オーバック。


Jerry Orbach(1935-2004)


もう一人は、「逃亡者」の義手の殺人犯でも知られるアンドレアス・カツーラス。

Andreas Katsulas(1946-2006)


どちらも、一度見たら忘れられない顔でしたね。合掌。


この映画を見て、1990年ごろの自分のことも思い出していた。

まだ社会人になりたてで、夢があった時代ですね。

この映画のような、上層のご婦人とのロマンスなんてのも、あるんじゃないか、とか期待してたりして。

でも、一切、そういうのはございませんでした。

まあ、あれから30年以上、社会経験を積んで、そういう上級社会への幻想もなくなったけどね。

とにかく、懐かしい、懐かしい映画でございました。サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ・・



<参考>


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