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朝日・峯村健司記者の「重い」懲戒処分と、毎日・西山太吉事件

朝日のスター記者、峯村健司氏は、すでに朝日を辞めることを表明していた。北海道大学公共政策学研究センター上級研究員、青山学院大学国際政治経済学部客員教授に就任予定だ。

その退職直前の峯村氏を、朝日が停職1カ月の懲戒処分にすると発表した。「報道倫理に反する」行いに対してだ。

具体的には、週刊ダイヤモンドに掲載予定の、安倍晋三元首相の核シェアリングに関するインタビュー記事の編集に、安部氏の意向を汲んで、峯村氏が不当に介入した、という嫌疑だ。

それに対して、峯村氏が反論文をnoteに書いた。


安倍晋三まで絡んで、久々に面白いバトルの勃発だ。続報を楽しみに待ちたい(いますごく退屈しているのだ)。

新聞記者が安倍とつるんでいるなんてケシカラン、と特にアベガーの皆さんは思うだろうが、野党系の政治家とつるんでいる疑いは左派メディアには多い。

かつて毎日新聞記者が、社会党議員に情報を漏洩した、西山太吉事件というのがあった。

そういえば西山氏は、最近のインタビューで、「私は犠牲者だが勝利者だ」などと意味不明のことを述べていた。

同じ安全保障に関わる事項であり、方向としては逆でも、本件は案外、西山事件に似ているかもしれない。(峯村記者も「私は犠牲者だが勝利者」とか言うかも)

外務省の女職員をたらし込み、機密情報を野党議員に渡して国会で追及させた。この西山事件に人びとは呆れ、毎日新聞は部数を大幅に減らした。

しかし左派メディアは、どうしても西山事件を正当化し、西山太吉の名誉回復をしたかったらしい。

西山の「正義感」を描いた小説「運命の人」(山崎豊子)に毎日出版文化賞を与え、TBSは2012年に、本木雅弘が西山を演じた同名のテレビドラマまで作った(流行らなかったが)。

だから左派メディアは、今も野党議員とつるむのは、あんまり悪いと思っていないんだろうな。

もし「左」の人たちが、野党議員とつるんだ西山は正しかったが、安倍とつるんだ峯村は許せん、とするなら、ダブスタとか言われるだろう。

ダイヤモンド社という他社に介入した点が特異だが、全員での暴露合戦に発展すると楽しみは増す。

峯岸氏が受けた「停職1カ月」は、かなり重い処分だ。

もう詳しくは忘れたが、私が新聞社にいた時分の懲戒処分は、軽い方から、

譴責

戒告

減給

停職

免職

といった順番ではなかったか。

今回、峯村氏の上司が、監督責任を問われて譴責処分を受けている。

譴責はいちばん軽い処分で、反省文を書かされる程度だったと思う。会社名を間違えた、とか、重大な誤植でも受ける。

譴責程度の処分は、受ける人は多く、向こう傷という感じだ。給料には影響せず、私の知る限り、人事上もほとんど影響がない。

でも、停職、特に1カ月となると、重い。懲戒免職処分、つまりクビの少し手前という感じだろう。

峯村氏は、もともと予定されていた退職まで1週間しかないのに、あえて「1カ月」にするあたり、峯岸氏が書いている通り、会社側の並々ならぬ意思を感じる。(それによって退職金を減らすことができる、典型的な違法行為、と玉井克哉氏がツイッターで書いている)

峯村氏は法的手段に訴えるとほのめかしている。

クビになると労働問題になり、日本では解雇について厳しいから、法廷で正否が争われるのは珍しくない。

しかし、その手前の社内処分の正否が、法的に争われることはあまり聞かない。

企業は広範な人事権を認められており、懲戒処分も、その裁量の一環と考えられるのが通念ではないか。

だから、これを法的に争うのは面白いのだが、それで言論が制約されては面白くない。

無責任な観客として言うなら、まずは言論戦を通じて、真実と、「報道倫理」とやらを明らかにしてほしい。


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