オフレコ破りじゃなくてさあ。新聞社には「本物のスクープ」を期待する
「宇野愛人問題」にそっくりのオフレコ問題
毎日新聞の秘書官「同性愛差別発言」オフレコ破り問題で、30数年前の「宇野首相愛人問題」を連想したのは、さすがに私のような年寄り世代だけかもしれない。
1989年、平成が始まった年に、世間を騒がしたのが「サンデー毎日」の宇野宗佑首相愛人スキャンダル報道だった。
このときも、プライベートな愛人の問題を取り上げるのは間違ったジャーナリズムだという議論が起こった。愛人については書かない、という暗黙のルールを破ったのだ。(そのことは、私の「1989年のアウトポスト」という小説に書いた)
サンデー毎日の鳥越俊太郎編集長は、「これはスキャンダリズムではない、女性をないがしろにする、女性差別への批判だ」と反論した。
そして、最終的には、海外の新聞がこの事件を報じたことで権威づけられ、「大スクープ」ということになった。(直後の参院選で自民党が大敗し、宇野は退陣した)
その功績で、鳥越氏はテレビ朝日のキャスターに抜擢される。
問題のあるジャーナリズム手法が批判されると、「スキャンダル報道ではない、LGBT差別への反対だ」と抗弁し、「ほら、外国のメディアも報じている」と正当化する。
今回のオフレコ問題も、同じような流れになっていると思う。
同じ「毎日」だし。
(この問題の検証に、江川紹子氏などを第三者のように出してはダメだ。彼女と毎日は、その1989年のオウム真理教事件以来、ズブズブの関係だ。)
もうマスコミの「自己正当化」は通じない
しかし、今は、昔ほど、マスコミの自己正当化はうまくいっていないと思う。
メディア・リテラシーが発達し、みんなマスコミをもっと厳しい目で見ている。
colabo問題を追求している暇空茜さんなどは、さすがに本質を見抜いていると思った。
LGBTもただの与党批判に共産社民立憲れいわが使ってる棍棒だよ
「差別反対」などは後付けで、要するに政権を困らせて、世間を騒がせたかっただけでしょ、報道テロリズムだ、という声に、私も基本的に同意している。
なぜ「本物のスクープ」が出ないのか
ただ、そういう無理やりなマスコミの「スクープ」欲求を、むげに否定できない。
このネタで他社を出し抜ける、と思えば、「やっちゃえ」となる。それは、マスコミにいた者としてはよくわかる。
そして、それが、「本物のスクープ」につながることはある。
問題は、今回のオフレコ破りに、「本物のスクープ」感がないことだ。
一般読者も、「本物のスクープ」であれば文句は言わず、歓迎する。ルールを破っただけで特ダネ? なんかセコい報道姿勢だから、残念感が漂うのである。
既成メディアは、自分らがジャーナリズムの本道だ、フェイクは取り締まると威張っているわりには、このところ「本物のスクープ」がない。
もり・かけ・桜・統一教会・・大騒ぎのわりに、「本物のスクープ」が出てこない。思わせぶりだけでフェイクより始末が悪い。
最近は、週刊誌のスクープの方が期待されている。
いつからこうなったのだろうか。
私がマスコミに入った頃には、毎日新聞でも、「早稲田大学不正入試事件」とか、「旧石器発掘捏造報道」など、文句なしの胸のすくようなスクープを放っていた。
しかし、それはもう30年前である。
検察の「スクープ」
最近も世間に「大スクープ」がないわけではない。
しかし、「スクープ」を連発しているのは、検察の特捜部である。
太陽光発電事業に関する詐欺容疑で、三浦瑠麗氏の夫が特捜部の家宅捜査を受けた件。
東京オリンピックをめぐる贈賄疑惑でKADOKAWA会長の角川歴彦氏が逮捕された件。
いちばん最近は、2月8日、同じ東京オリンピックをめぐって、電通元局長らが談合(独禁法違反)疑惑で検察特捜部に逮捕された。
いずれも、疑惑をマスコミが暴いたなら、「大スクープ」になった。
なぜスクープできなかったのか?
答えは明らかだ。みんな「身内」「お仲間」の疑惑だからである。
マスコミは、疑惑を暴く方ではなく、暴かれる方になっている。
三浦氏夫の事件でも、瑠麗氏との関係を、マスコミは率先して暴かなければならないはずだが、及び腰になっている。
なぜなら、三浦瑠麗氏を、マスコミが一丸となって持ち上げていた。テレビ朝日と田原総一朗氏がその代表だ。
マスコミ自体が利権にまみれている。
下手に追及すると、自社の幹部や大スポンサーがからんでいる可能性大である。
(その代わり、自分たちに跳ね返ってくる心配がない「ルフィ」事件なんかではやたら張り切っているのが微笑ましい。)
こうなっては、「大スクープ」など、生まれようがないではないか。
だから、colabo問題でも、マスコミが積極的に報じないのは、マスコミもグルだからだろうと思われる。
たぶんグルなんだろう、と私も思う。思われて仕方ない。
最後に「ジャーナリズム魂」を見たい
怪しげな「スクープ」ばかりを連発する毎日新聞だが、東海地区の夕刊を廃止するとのことで、自社もニュースになっていた。
毎日新聞は傾きかけて、もう「余命宣告」を受けているような会社だ。最後にどうだろう、「本物のスクープ」を放って自爆すれば。
日本共産党はこの20年で議席を半分に減らした、というので、その責任を問い、新たに党首選をやれ、と党員に反逆者が現れていた。
毎日新聞も、この20年で部数を半分に減らしている。反逆する気骨ある記者はいないのか。
毎日新聞と創価学会との関係は、もう知れ渡っているからスクープにならないが、例えば池田大作氏のお元気な姿をスクープする、なんてのはどうだろう。
野党と連携して「政局」を狙った「報道テロリズム」は迷惑だが、そういう、最後にジャーナリズム魂を爆発させる「自爆テロ報道」なら、歓迎だ。