将来の危機を予測する太陽黒点説
面白い経済学の説があります。それがウィリアム・スタンリー・ジェボンズの太陽黒点説です。これは太陽の黒点が増減すると人間の経済活動にも影響を及ぼすという目を疑うような経済循環説でもあります。太陽が衰えたり、盛んになる周期は約11年なのですが、この周期が経済にも見られるというのです。それもシンクロしたように。この説、現代の宇宙科学をもってすると正しい可能性が出てきています。
太陽というのは活動の周期が存在していて、太陽の磁場はものすごく強い磁力線であり、太陽の磁場によって宇宙からの影響がバリアされています。例えば、遠く大きな星が爆発すると宇宙線と呼ばれる強力な放射線が放出される訳です。放射線は高速の電子ですが、この電子から太陽磁場の庇護のもとに太陽系の星々は護られています。この磁場の影響が弱まる太陽の黒点が少なくなる周期では、このバリアが薄くなるということになります。
この電子は地球にも大きな影響を及ぼしています。それは電子が大気を通過したとき雲を作り発達させる働きがあると、最近になって分かってきたからです。以前ヨーロッパに季節外れの豪雪をもたらしたり、オーストラリアやタイで洪水が発生しましたが、そのときも黒点は少なかったことが観測されています。このようなことから近年の調査で異常気象の誘引の一つがこの、太陽の働きによるものだという研究結果が発表されているのです。
下のグラフは黒点の推移です。1645年から1725年にかけて極小期が長いことが分かっていますし、このマウンダー極小期やダルトン極小期のような長い極小期には、小氷期と呼ばれるミニ氷河期が起こっていることがわかっていいます。
問題はこのような黒点の極小周期によって、雲を発達させやすくなることで、冷害や日照条件の問題が起こり、農作物が不作となる可能性があることです。つまり近年の宇宙科学分野の研究の進展は経済学的な証明にもつながっているということです。ジェボンズが説を唱えたように、穀物の価格の高騰や暴落に太陽の黒点が関係しているために、インフレやデフレさえも引き起こしてしまうということになります。
しかも面白いことに、世界恐慌の原因は相次ぐ異常気象から農業恐慌であったことは事実です。また黒点の少なくなる極小期には、インフルエンザやペストや家畜病が大流行する確率が高いという統計学的証左もあるのです。もっと言えば、2019年12月にコロナウィルスが中国の武漢市で第1例目の感染者が報告されましたが、実は第25太陽活動周期の極小期は2019年12月でした。実は私はこの時期、この感染症や災害について懸念していました。
世界恐慌が起きた原因にはこのような農業への大打撃が発端にあり、しかもこのとき黒点は極小期でした。それだけではなく、大規模地震も詳細には解明されていないのですが、黒点周期と連動していることが分かってもいるのです。
未来を予知する。これは人が欲してやまない能力ですが、このような事実が、景気循環や感染症の広がりなどを考えるための示唆になっているものであると考えます。太陽黒点でいうところ2024年10月15日は、極大期であったことが発表されています。これから少しずつ極小期に近づく下り坂にあります。ジェボンズの説では、黒点の数が多くなる太陽活動が活発な時期には景気が良く、逆に少ない時期には景気も低迷するというものです。
上記のグラフは、私が日経平均株価と平均黒点数を比較して作ってみたグラフですが、かなりの相関関係にある事が分かります。
我々のような一介の介護職であっても、このように興味深い説。ジェボンズの太陽黒点説を知っていると未来の災害・感染症・経済対策に繋がっていくのだとも考えています。約11年周期である黒点周期ですが、十二支を考えてみると12年周期ということです。干支と株価の動向も無視することの出来ないアノマリーとして相関性が指摘されています。
実はこの周期こそが、黒点周期であることに気が付きました。元々、株価は辰や巳の年に天井になる傾向が強いのです。それは、つまり景気循環と十二支は相関関係にあり、その影響を多大に受けていると考えられます。干支はイメージが古来より大切にされてきました。そのイメージは、非常に経済状況や災害、感染症といった地球環境の影響を色濃く反映する歴史を通じた常識であったのです。
この事実は、実に興味深い教訓を与えてくれます。このような人間が歴史的に培ってきた叡智が簡単に迷信であると片づけられるものでも無い。そんな事実は私にとって極めて深い教訓となっています。