オーディブルが「SF小説」の新しい楽しみ方を教えてくれた
いきなり正直に告白するなら、僕は「読書」があんまり得意ではなくて、年間3~5冊程度しか読まないタイプです。
子どもが生まれてからは3年間、仕事で必要な資料・参考文献としてのもの以外、本を読んでおりませんでした。
そんな中、どうしても聴きたいとあるポッドキャストがここにしかない、という理由で昨年「Amazonオーディブル」に入会しました。
ポッドキャスト目当てで入会したものの、せっかくなので「どんな本があるのかな?」とラインナップを覗いたら…
「村上春樹」「池井戸潤」といった超メジャーな作家さんの小説から専門書やビジネス書まで、オーディブルにはかなりラインナップが多いことに驚きました。
「それだけ『聴く読書』の需要が大きいってことなのかな…でも本は読むものでしょうよ」とかなり懐疑的な僕でしたが…
これが実際に小説を聴いてみると、めちゃくちゃ良い!
朗読してくれる声優さんや俳優さんが臨場感たっぷりの「読み聞かせ」をしてくれるので、さながら「音声ドラマ」を聴いているような感覚でスラスラ気持ちよく中身が入ってきます。
とりわけ、「SF小説」との相性の良さがびっくりするくらいに良い!と思ったので、今回は「SF好きなんだけど、活字や読書が苦手な方」にぜひぜひ「SF小説は聴くのがいいよ!」というお話をしたいと思います。
SF小説×オーディオブックを推す2つの理由
移動中やスキマ時間に気軽に聴けるのがオーディブル(オーディオブック)の良いところですが、そういった利便性だけでなく、「物語や本の内容そのものを楽しんだり理解する」ということにも長けているなあと思います。
特に「SF」のジャンルでは以下の点で個人的には「活字で読む」だと苦労することがよくありました。
・難解かつ独特な専門用語や造語が頻出する
・複雑な人間関係や近未来や今の現実にはない設定が頻繁に出てくる
・海外翻訳ものでは独特の文体になりがちで目が滑りやすい
SFに限らずかもですが、こういったジャンルでは「読む」よりも「聴く」方が内容や登場人物の心情がすっと入ってくる=挫折せず最後まで楽しみやすいのでは?と思うのです。
僕が「SF小説はぜひオーディブル(オーディオブック)で!」と感じる2つの理由を紹介させてください。
目が滑らない=難解な設定・用語がすっと入ってくる
個人的に難しいSF小説や専門書は、複雑な設定や専門用語、造語などで理解が追い付かないまま、何となく文字だけ追っちゃって、気づいたら「あれ、何の話してるんだっけ・・・」となることがよくありました。
ですが、オーディブルで朗読を聞いていると、難しい内容でもある程度自然と入ってくる自分に気が付きました。
例えば、SFの超有名作品『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?(早川書房)』は学生時代(15年前くらい)に一度読んだのですが、ディック独特の言い回しや哲学的な世界観・文体にどうもなじめず「ブレードランナー(映画)と全然違うんだなあ」くらいの感想しか抱けませんでした。
しかし、朗読で聞くと
「あれ、こんなに物語自体が面白かったっけ?」
「次はどうなるんだ?」
と超ワクワクしながら最後まで夢中で完走してしまいました。1度読んだはずなのに・・・(笑)
ほかにも『三体』シリーズなど、「初見が活字だったら間違いなく脱落していた」であろう超巨編も3か月くらいかけてオーディブルでスピンオフ含めて大いに味わえましたし、まさにオーディブルのおかげで出会えた&理解が深まったSF小説がいっぱいあります。
声優さんの朗読・演じ分けがすばらしくてドラマ気分で聴ける
オーディブルで朗読しているのは声優さんや俳優さん、あるいはナレーターを普段されている方で、演技や声のプロフェッショナルばかりです。
「さすがプロ・・・!」と思うのは、基本的には一人で一冊の小説を朗読されることが多いのにもかかわらず、男性・女性はもちろん、異星人やアンドロイドまで様々な登場人物の声を見事に演じ分け、しかも感情移入できるような熱のこもった朗読をしてくれている点です。
さながら、ドラマを耳で見ているような不思議な感覚です。宇宙や近未来、サイバーパンクな世界観がVRのように360度感じることができるくらい没入できます。
例えばアンディー・ウィアーの『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は井上悟さんという声優さんが朗読しておられますが、もうめっちゃくちゃよかったです。
ネタバレしたくない小説なので詳しくは書けないのですが、朗読で涙が出るほど感動するシーンの連発だったのは、間違いなく井上悟さんの聞きやすくも感情の揺らぎがしっかり伝わる演技力のおかげだったと思います。
このように「映画を見る」「ゲームをする」とはまた違ったタイプのSF体験・感動ができるなんて、オーディブル(オーディオブック)は新しい小宇宙だと思ったほどでした。
「こんな人」はだまされたと思ってSF小説を聴いてみて!
以上、オーディブルでSF小説を読む(聞く)ことのすばらしさを力説してみました。
「SF」は好きなんだけど「読書」は苦手な人
SF小説好きなのに時間がなくて読めない!という人
一度読んだ作品をもう一度「新しい体験」で味わいたい人
こうした方にぜひAmazonオーディブルじゃなくてもいいので、何かしらのオーディオブック(朗読)でSF小説にチャレンジしてみてほしいです!
私的オーディブルで素晴らしかったSF小説
最後に、Amazonオーディブルで聞いたSF小説の中で、特に感慨深かったものを紹介しておきます。めちゃくちゃたくさん聞いたわけじゃないので、ラインナップのほんの一部ですが、ご参考までに!
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』(アンディー・ウィアー)
『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』(フィリップ・K・ディック)※再読
『三体』(劉慈欣)
『三体Ⅱ黒暗森林』(劉慈欣)
『三体Ⅲ死神永生』(劉慈欣)
『三体X観想之宙』(宝樹)
『虐殺器官』(伊藤計劃)※再読
『わたしを離さないで』(カズオ・イシグロ)※別途有料
『宇宙戦争』(H・G・ウェルズ)
『時をかける少女』(筒井康隆)
『ペンギン・ハイウェイ』(森見登美彦)※再読
『夏への扉』(ロバート・A・ハインライン)※再読・別途有料