台風19号、大切なお金の話
令和元年台風19号が猛威を振るい関東から東北にかけて多くの被災地と被災者を出してしまいました。
10月13日から数えて、本日22日で10日が経過しましたが現在も行方不明者の捜索が続いています。
警察庁発表では22日午前7時30分時点で、死亡が確認された人が71名、心肺停止8名(その後、死亡確認)となっています。
犠牲になられた方のご冥福をお祈りするとともに住宅や車などの財産を失った方の一日も早い復興をお祈りします。
投稿文の中で、文章の下に線が引いてある個所には引用した説明があります。自分が対象となる個所は開いて読んでください。
※トップの写真は越辺川が氾濫した川越市の現場 写真提供:加倉井誠さん
一時的な生活の安定
災害が発生すると生活再建に向けて動き出すことになります。
それまで住んでいた住宅またはアパートが住めなくなると、住む場所の確保が必要です。
災害救助法による予算で応急仮設住宅を建設する自治体もあるでしょう。
自治体の総世帯数に対して災害戸数の比率が少ない地域では空きアパートが多ければ「みなし仮設住宅」制度で住まいを確保することが出来るでしょう。
災害発生から10日間、早い自治体だと、応急仮設住宅やみなし仮設住宅への希望調査が始まっている自治体もあると思います。
応急仮設住宅もみなし仮設住宅も一定の要件を満たせば、2年間無料で住むことが出来ますし、復興の状況次第では延長の可能性もあります。
今回は、住宅再建にまでは至らないまでも生活資金が安定するまでの流れを書いてみました。
今回書くのは、お金に関する話がほとんどです。正直、面倒な部分ではあります。しかし、そこを避けては通れません。
また、住んでいる県によって対応が異なる場合があります。
必ず、自治体が発信している情報を集め確認してください。
災害救助法適用市町村
あなたが、この文章に書かれている支援制度や見舞金や義援金を受け取るためには、あなたの地域が災害救助法の適用を受けているかを知る必要があります。
まずは、適用されている地域かどうかを知ってください。
電気や電話の支払いについて
収入が途絶えたり減ったりした家庭もあると思います。
そこですぐに気になるのが、電気料金や携帯電話料金等の引き落とし日だと思います。
残高は足りるだろうか、入金手続きができる窓口はどこだろうか。と、不安になっている人もいると思います。
東日本大震災の時には減免措置や支払猶予期間が一律で設定されましたが、台風19号に関して、使えなかった期間の料金免除、支払期日の延長(自動引き落としは除く)、被災した電気設備の工事費の無償化、携帯電話の付属品の無償提供、故障修理代金の一部減額等の対応がとられています。
ただし、減額や無償化や支払期日の延長は、本人からの申請が必要ですので、下記のリンクを確認してください。
・電気料金のお支払いについて
東北電力の対応、東京電力の対応
・固定電話、携帯電話の破損や故障について
NTTの対応、NTTドコモの対応、KDDIの対応、SoftBankの対応
※リンクの情報は自動更新されません。最新情報をネットか店頭で確認してください。
被災者生活再建支援制度
・ご自宅を被災された方には、被災者生活再建支援制度により、自宅の被災の程度と住宅再建の方法に合わせた見舞金が支給されます。
この制度の対象者は、個本的に家屋が全壊または大規模半壊の方、または、特定の条件で解体せざるを得ない方です。
しかし、台風15号の際には、この条件が緩和されています。
あきらめずに行政や弁護士さんに相談しましょう。
ただし、申請には罹災証明が必要です。
災害がこれ以上ひどくならない段階に入り、主に行政職員が各住宅の被害を確認したあとで、罹災証明が発行されてからでないと支給が始まりません。
ですので、過去記事で書いた通り、避難所の運営から行政職員を解放して役場に帰してください。
※被災者生活再建支援金は、住まいの再建支援ですので、住んでいた人に支払われる見舞金です。住宅の持ち主に支払われるものではありません。借家であろうと、アパートやマンションであろうと、住んでいた人が申請して受け取ってください。
義援金
・ご自宅を被災された方には、日本赤十字社や共同募金会や報道機関で集めた義援金がまとめられ、被災の度合いに合わせて被災者に配分されます。
これも市区町村を通じて配分されますが、集まった義援金を配分するので、被災者再建支援制度のように金額が決まったものではありません。
やはり、罹災証明を元に配分されるので、罹災証明が発行されないと配分が始まりません。
見舞金
・ご家族を亡くされた方、災害により重度の障害を受けた方には、災害救助法により、災害弔慰金や災害障害見舞金が支払われます。
弔慰金や生涯見舞金は住宅の被災とは別物ですので、申請には罹災証明は必要ありません。(住宅の被災が無くても死亡したり障害を受ける可能性があるため)
災害援護資金の貸付
「災害弔慰金の支給等に関する法律」により災害救助法が適用された市町村に住む方は、被災の程度により低利で最高350万円の貸し付けを受けることが出来ます。
しかし、10月22日現在、これの受け付けが始まった自治体のサイトを見つけることが出来ません。
罹災証明の発行にも至っていない段階では、まだまだ、対応に時間がかかるかもしれません。
(見つけた方は教えてください)
被災中小企業・小規模事業者対策
経済産業省のサイトを見ると「令和元年台風第19号に伴う災害に関して被災中小企業・小規模事業者対策を行います」というページがあります。
ここには、「災害復旧貸付の実施」や「既往債務の返済条件緩和等の対応」や「小規模企業共済災害時貸付の適用」などが書かれています。
対象となりそうな方は、ぜひご覧ください。
過去の災害の時にあった資金制度
東日本大震災や熊本地震では、ある程度の資金を手元に残して借金をゼロにする制度がありました。
私的整理ガイドラインという制度です。
この制度は、平成13年に政府が発表した緊急経済対策を受けて採択されたもので、法的手続を使わず債権者と債務者との合意に基づき、債権放棄などを行うための手続規定です。
しかし、すべての災害で自動的に適用されるものではないようです。
10月22日現在、法務省のサイトで台風19号の被害者に向けた「令和元年台風第19号により借金等の返済が困難となった被災者の方へ」にも載っていません。
制度が難しく、なかなか適用になった人は多くないと聞きますが、有効な制度であることはたしかです。
一日も早い適用を願います。
(適用されたという文章を見つけた方は教えてください)
義援金や見舞金を早く受け取るために
台風19号の被害発生から10日間が過ぎましたが、どの県でも被害の全体像の把握には至っていないのが現状です。
行方不明者の捜索、生活道路の復旧、危険個所の修繕等と同時進行で、「災害の被害認定基準」等に基づき、全壊、半壊等の「被害の程度」を認定する作業が行われます。
市区長村内のほとんどの建物の認定が終わらないと罹災証明の発行は始まりません。
繰り返しになりますが、罹災証明が発行されないと見舞金も義援金も配分されません。
どうか、避難所運営に行政職員を配置している避難所がありましたなら、避難所を被災者で運営して、行政職員を役場に帰してください。
(東日本大震災の時は、被災家屋が多かったものの、津波が2m以上襲った線を地図に引き「これより海側は全壊」としたので早かったと聞いたことがあります)
手続きを忘れずに
罹災証明も被災者自らが役場に出向いて申請して始めて発行されます。
見舞金も補助金もすべて、本人やご遺族からの申請がないと支払われません。
たいへんだとは思いますが、市区町村からの広報をよく読んでください。
最後に
内閣府が平成30年11月1日に公開した「被災者支援に関する各種制度の概要」を貼っておきます。
これまで書いた事、書いてないことまで、まとめて書いてあります。
(めっちゃ大変ですが)
被災から脱出するためにも、支援の手からこぼれないためにも情報を受け取り学ぶことは必要です。
できることなら、周りの人を集めて、読みあい、語り合い、伝えあってください。
人に伝えるということは、自分が理解するということです。
今後、社会福祉協議会や地域の弁護士さんからお茶会などのお誘いがあったら、必ず参加してください。
弁護士さんが来ても、東日本大震災でも熊本地震でもお金は取られません。
今使える制度のことを教えてくれます。そして、みなさんの困ったことまとめて国や関係機関に改善を促してくれました。
そして、これらのことを分かりやすく、どこに行けばよいか、何を用意すればよいか、教えてくれます。
みなさんの一日も早い復興を心より願っています。