【1日1冊】デカルトの方法序説に学ぶ、課題解決のポイント/方法序説
こんにちは。
本日は、「方法序説(著)デカルト」を紹介させて頂きます。
本書は、「荒木博行のbook cafe / 『方法序説』flier fan nightトーク」で紹介されて、気になっていたので、読んでみました。
flier CEO 大賀さんが「コンサルティングの基本の基本がある」と絶賛されています。
方法序説は、正式名称が『理性を正しく導き、学問において真理を探究するための方法の話(方法序説)。加えて、その試みである屈折光学、気象学、幾何学。』であり、本来は500ページの本でしたが、そのなかの最初の78ページの「序文」部分とのことです。
読書テーマ
「デカルトの方法序説から学ぶ、課題解決のポイント」というテーマで読みました。
方法序説は、デカルトの考え方だけでなく、文章の書き方も参考になります。
方法序説の構造
方法序説は、冒頭に、デカルトが「序説」の構成を説明していますが、「この序説が長すぎて一気に読み通せないようなら、これを六部にわけることができる」と、最初に全体の構造を説明するというのが、読み手の理解をたすけています。
現在の提案資料などでは、目次をいれることが必須ですが、目次をいれて、全体像とストーリー展開を最初に伝えることで、読みての理解を促進することができます。
方法序説の構造は下記のようなものです。
第1部 - デカルトの学問に関する様々な考察
第2部 - デカルトが探求した方法の主たる規則の発見
第3部 - デカルトがこの方法から引き出した道徳上の規則
第4部 - 「神」と「人間の魂」の存在を証明する論拠、デカルトの形而上学の基礎
第5部 - デカルトが探求した自然学の諸問題の秩序、特に心臓の運動や医学に属する他のいくつかの難問の解決と、「人間の魂」と「動物の魂」の差異
第6部 - デカルトが自然の探求においてさらに先に進むために何が必要だと考えるか、また本書執筆の経緯
引用:wikipedia/方法序説
たくさんの人の作品は、一人が仕上げた作品ほどの完成度はない
第二部でデカルトが思索した「たくさんの部品・人の手を経た作品は、一人だけで苦労して仕上げた作品ほどの完成度はない」という行があります。
例として、はじめ村落だったものが発展して城塞都市になった場合と、一人の技師が平原から線引して規則正しい城塞都市と比べると不揃いということがあげられています。
これは、「京都」など古い町並み残した町は、過去の景観を維持するために、様々なルールが存在しています。結果として、個人の希望の建物を建てることはできませんが、町全体の価値は高くなるという話と近いと思います。もし「京都」が個人の想いを形にし、現代風の家や先進的な建築物ができてしまうと、統一性のない町の景観になり、「全体の価値」が下がってしまうということが発生します。
一人の人間が考えたもので作り上げるほうが完成度(統一性)は高いですが、ひとつのプロダクトを作るには、多くの人の協力が必要になります。人それぞれの想いがあるなかで、どうやって「風情ある町並み 京都」のような完成度の高いプロダクトを作るかが、現代では重要かと思います。
考えられる手法は、「風情ある町並み」という旗をたてること。そして、なるべく「イメージを共有できるもの」を用意すること。そのうえで、プロダクト制作の「要素を分解」し、区画や、建築物の高さ、色、素材などの微細のルールを決めていきます。(それでもプロダクトを運営していくと、メンバーが増え、変わるたびに継ぎ接ぎのようになってしまうこともあります)
課題を解決するための方法
第二部のなかに、真理を見つけ出すために4つの規則があります。
第一は、わたしが明証的に真であると認めてるのでなければ、どんなことも真として受け入れないことだった。言い換えれば、注意深く速断と偏見を避けること、そして、疑いをさしはさむ余地のまったくないほど明晰かつ判明に精神に現れるもの以外は、何もわたしの判断のなかに含めないこと。
第二は、わたしが検討する難問の一つ一つを、できるだけ多くの、しかも問題をよりよく解くために必要なだけの小部分に分割すること。
第三は、わたしの思考を順序にしたがって導くこと。そこでは、もっとも単純でもっとも認識しやすいものから始めて、少しずつ、階段を登るようにして、もっとも複雑なものの認識にまで昇っていき、自然のままでは互いに前後の順序がつかないものの間にさえも順序を想定して進むこと。
そして、最後は、すべての場合に、完全な枚挙と全体にわたる見直しをして、何も見落とさなかったと確信すること。
引用:方法序説
問題を小さく分割する
規則の2つめに、問題をよりよく解決するために、小さく分割することとあります。課題解決において、大きな問題をそのまま解決するのではなく、問題を分析・分解することにより解決するという考え方です。
たとえば、「売上が下がっている。」という課題があれば、それは「件数と客単価」のどちらが問題か、または「新規とリピート」のどちらが問題かなどと、問題を細かく分解する必要があります。
Voicy の中でも語られていましたが、この「問題を解決できる大きさままで分解する」というだけでは、使いこなすことができません。この問題が、「件数と客単価」なのか、「新規とリピート」のどちらの切り口で見つけることが重要になってきます。
この切り口を見つけるために、2つのポイントがあると思います。
1つ目は、生データをみること。加工されたデータは、加工した人が見えている範囲の情報になっています。一部のデータだけでは見えてない事実があるため、一次情報 = 生データ を手に入れることは価値があります。
2つ目は、多くの「切り口」をもつこと。切り口というのは、「視点」です。たとえば、「売上が下がっている」のは、事業課題ではなくメンバーのモチベーションの問題か?、外部環境に変化の影響か?など、問題を解決可能な課題を発見するには、どういう視点を持っているかで、取得しにいく生データが変わり、推測できる幅も広がります。多くの切り口をもつには、書籍を読んだり、色んな経験をすることが必要です。
すべての場合に、見直しをすること
規則の4つめには、すべての場合に、見直しをすることとあります。
人の「脳」は、優秀なため誤りがあった場合に、自動的に補完してくれます。特に、自分で考えたものについては、あるべき姿をわかっているので、「脳」が気を利かせてくれています。そうすると、誤字脱字、文脈の誤りなども中々気づけません。
自分が考えたものや作成したものは、他人が作成したものよりも、しっかりとチェックする必要があります。
本日のメモ
色々とつながる学びが多い本でした。
また読んでみて、気がついたことを書きたいと思います。
支援は、コミュニティ研究の取材、サービス開発などに費用にあてさせて頂きます。