アウトプット

メタ認知と千利休、価値の創造

こんにちは。

今日は、一冊の本というわけではなく、「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」(著)山口周」を読んで、千利休が気になり、「利休にたずねよ(著)山本 兼一 」、「利休入門(著)木村 宗慎」を読み感じたことを書いています。

世界初のクリエイティブディレクター

千利休に興味がでたのは、山口周氏の著書を読んで、下記一節がきになったからです。

・ 歴史上はじめての「ディレクションはするけど、クラフトはしない人」

私は、千利休を、世界最初のクリエイティブディレクターだと考えています。というのも、千利休という人は、歴史上はじめての「ディレクションはするけど、クラフトはしない人」だったからです

引用:   山口 周. 世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?~経営における「アート」と「サイエンス」~ (Japanese Edition) (Kindle の位置No.755-757). Kindle 版.

西洋・東洋でみても、美的なものを作り出した人物は、その人物自身が創作者であり、アーティストであったとあります。(ピカソしかり、ミケランジェロしかり)しかし、千利休が自ら作り出したものは、ほとんど存在しません。

千利休といえば、「侘び茶」の完成者と知られています。茶室や茶道具など有名な作品も多いですが、千利休がそれらを制作したわけではありません。千利休は、職人にコンセプトや設計図を伝えることで、実際の制作は職人が行い、全体としての「侘び茶」の概念を作り上げています
自分で制作したわけではなく、全体の概念を作れた理由は、プロジェクトマネジメント能力が優れていたということもあるかもしれません。しかし、様々な書籍を読んでいるうちに見えてくるのは、強すぎるこだわりは、プロジェクトマネジメント能力の高さではなく、「メタ認知」能力の高さだったのではないかと思います。

新しい価値を生み出す「見立て」

千利休は、本来茶の湯道具でなかったものを「見立て」、茶の湯道具として価値を見出しています。千利休は、漁師が使っていた魚籠のひょうたんを、茶道具の花入れに使ったようです。当然、漁師が使っていた魚籠すべてが使えるわけではなく、千利休の美意識にかなった「ひょうたん」が選ばれ、「花入れ」として使われます。そして、茶道具となった「ひょうたん」はおそらく信じられない価格・価値がついたと考えられます。
この本来の価値以上の価値を見出すことであり、まさに現代のイノベーションの切り口であり、Deeptechではないでしょうか。

ストーリーによる価値の創出

またもうひとつ、「木守」という銘をもつ茶碗があります。この銘がつけられた理由として、弟子に与えた茶碗の余りものを千利休が「銘」をつけたそうです。この「木守」というのは、柿の実を収穫する際に、来年の豊作を祈って、木に一つだけ採らずに残しておく実のことをいいます。このストーリーをつけることで、この「残り物」に新たな価値が与えられたということは間違いありません。

これは、「美」というものが、見た目にあるだけではなく、「ストーリー」にも宿ることを、一段高い視点から認識していたからだと思います。

メタ認知による価値の創造

千利休は、たしかに「ディレクションはするけど、クラフトはしない人」でした。そして、そのディレクションというのは、一段高い位置から「美」を眺めることで、「クラフト」を自らすることなく、抽象的な「侘び茶」という概念を作りあげることができたと思います。

そして、これからの時代は、「クラフト」を行う技術・ソリューションの提供はよりAIや機械の得意な領域になっていきます。そうすると、今あるものを「メタ認知」することで、新しい「価値」をつけていくことが必要になってくると感じました。

本日の紹介した本

本日のメモ

普段は、あまり芸術には疎く、何をもって美しいと感じるかの軸をまだもっていません。しかし、こういう書籍や背景をしることは楽しいと感じました。美意識を高めるのは難しいですが、少しずつ芸術作品を楽しんでいきたいと思います。

まえに書いた「メタ思考トレーニング」のレビューはこちらです。よろしければ、一緒にメタ思考・メタ認知を身につけていきましょう!


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