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清子の家へ@晴れの国のいいところ

長瀬清子という詩人がいる。
岡山が生んだ素晴らしい詩人だけれど、実は私も彼女のごく晩年までその存在を知らなかった。
昭和の終わりごろに出版された詩集「あけがたにくる人よ」で大きな賞をとり報道されたときに、私は初めて彼女のことを知った。
それからほどなくして彼女は亡くなり、私はいつしかまた忘れていた。

それから何年ものち、生家のある赤磐市(以前は赤磐郡熊山町)で、毎年2月にイベントが行われていることを、そのイベントに谷川賢作さん率いるDiVaが来た年に知り、会場のくまやまふれあいセンターに展示室があることなどもこのとき知った。

さらにそれから何年も経って、今は長瀬清子生家保存会の会長をしている友人Tさんから、清子の生家を保存する活動をしていることを聞いた。
当時は見るも無残に荒れ果てていて、皆さん手弁当、資金持ち出しで少しずつ修復をされていた。
母屋がやっと入れる状況になった頃、そこでDiVaのライブをさせてもらったことがある。

あれからもう10年以上。
生家保存会は押しも押されもせぬ立派な会になり、かつて荒れていた生家は、母屋はもちろん離れも五右衛門風呂も見事な姿に生まれ変わった。
そして、これまでに自主製作映画、毎年の現代誌賞の公募、数々のイベント、二度のクラウドファウンディング等を通じて、清子の業績を伝え、引き継いでいる。

長瀬清子は本当にすばらしい詩人であり、母であり、女性であり、一人の人であるけれど、私にとっては、これだけのものを残し引継ぎ、さらに今も次々と進めている保存会の方々、何よりTさんが尊敬に値する人だ。

たびたび案内もいただいていたのになかなか伺うことができずにいたのだが、備前に行った帰りに行ってみることにした。
きれいになった生家に行くのは初めてでとても楽しみだった。
ことに最近オープンしたカフェ「グレンデルの釜屋」にずっと行きたかったのだ。
今日はC氏との備前焼からのあとにここでランチ。


生家の入口は正面だが、グレンデルの釜屋へはここから入る。


この日はハンバーグランチ
ランチメニューは一択です。

カフェを運営しているのは、保存会会長でもあるTさん。
もともと設計事務所を経営していた彼女は、6年ほど前に定食屋ぽん太を開いた。そこでも、「てご」(岡山弁で「手伝い」のこと)制度を作ったりして、ユニークかつ有意義な経営で注目されていた。魚中心で素材を大切にした献立はいつも美味しかったし、ぽん太へ行くと彼女の人望で集まる素敵な人たちに会うことができた。そしてそのお店を少し前にたたみ、今は生家での活動に本腰を入れている。
この日のハンバーグ定食もとても美味しかった。

食後にデザートとコーヒーも。
晴れの国の名店エスプリのオリジナル珈琲。ちなみにそのエスプリの設計もTさんによるものだ。

ピオーネの杏仁ゼリー

離れを見学させてもらった。

中庭が見える。

畳の座敷は個室になる
格子の向こうは、清子さんも眺めた新田山と田んぼの景色

クラウドファウンディングで完成した五右衛門風呂

予約すれば入れます
このタイルは昔からのもの
これをデザインした手拭いをリターンでいただいた

母屋へ。

この日はこのあとの研修の準備がしてあった。(写真撮ってないf;^^)  

二階の隠し部屋も見せてもらった。
ここは初めて見た。(この部屋の秘密は・・・ぜひ訪ねてみてください)

1階のギャラリー「八十八草」と売店の写真は撮ってないf;^^

いま手に入る長瀬清子の詩集は、谷川俊太郎さんの選によるこの本だけです。この日は売り切れ。
アマゾンでポチろうかなあ・・・



そして、2階は有料のギャラリーになっている。
(といっても500円。17歳未満は無料)
ここの維持運営費として、本当はもっと必要だろう。

保存会の皆さんのご尽力で、有形文化財に登録されている。

この右奥に隠し部屋がある。

今は企画展「永瀬清子の戦後」をしていた。

上の本の絵を描いた井上一忠さんは、高校の時の騎馬戦で首から下がマヒし、口で絵を描かれていたそうだ。
下の本は、堀内誠一さんの絵。この絵本は初めて見た。

こんな日記帳もあったのね。
清子が前文を書いているそう。馬場のぼるさんの絵だ。

長瀬清子はたくさんの学校の校歌を作詞している。
以前勤めていた学校の校歌も彼女の作詞でとても嬉しく誇らしく思ったものだ。

9月にはこちらでパリャーソのライブをさせていただきます!
よろしくお願いします。


追記)グレンデルの釜屋に置いてあった本。

隣の瀬戸内市にはハンセン病の療養所が2カ所ある。
今は橋が架かって車で行けるし、島には素敵なカフェもっできているが、他の場所に違わず厳しく辛い歴史がある。
長瀬清子は、この長島愛生園にも心を寄せ、誌や文章を残している。
本と一緒に清子の詩があった。

この本の著者はここを世界遺産にしようという運動をされている。
書籍代金にほんの少し添えて入金をしたところ、数日後には活動報告書が届いて恐縮した。

NPO法人 ハンセン病療養所世界遺産登録推進協議会


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