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備前焼窯出しへ@晴れの国のいいところ
7月のはじめ、以前お世話になった備前焼作家さんから窯出しの案内をいただいた。
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備前焼は、日本六古窯の一つ。釉薬を一切使わないのがその特徴。
晴れの国の東の端、備前市が主な生産地だ。
備前市は、何人もの人間国宝を輩出している土地だが、
いまや備前と言えば、ドジャース山本由伸、そしてオリックス頓宮裕真の出身地として有名になった。
今から5年前、私はその備前市に、片道約50㎞を毎日高速道路で通勤することとなった。
倉敷から一級河川を2本越えていくのだが、川を越えるたびに風景や文化が変わることに驚いたものだ。初めて勤務したこの地は、同じ県内でありながら、言葉も(岡山弁が微妙に違う)文化も違いがあって新鮮だった。
備前市=備前焼というのはもちろんわかっていたが、いたるところにレンガ造りの煙突がある様に、いかに古くからそして深く地域に根付いているかを知ることとなった。
さて、私が当時勤務した学校には校内に登り窯があった。特別支援学校で登り窯があるのは、おそらくこの学校だけだと思っている。
実はこのあたりの学校には、小中高とわず昔はどこでも登り窯があったそうだ。けれど維持(手入れが必要)にも焼成(1週間寝ずに焚く)にも、費用と手間がかかるなか、今はなくなった学校が多い。
私が勤務した学校でも、生徒たちが作りためた作品を、年に一度登り窯で焼成する際は、1週間寝ずの番で焚いていた。(もちろん今も続いている)
今回の案内は、その作品制作の指導をしていただいた作家さんご夫妻からのものだった。
ここ数年個展にも伺えてなかったので、東京から帰省しているC氏を誘い、倉敷でのモーニングのあとに伺うことにした。
その作家さんと言うのは、竹崎 典泰・洋子ご夫妻。
備前市を舞台にした備前焼がテーマの「ハルカの陶」という映画がある。
漫画が原作、映画では奈緒さんが主演している。
その主人公ハルカのモデルとなったのが、奥様の洋子さんだ。
原作の漫画の中には竹崎ならぬ松崎夫妻として、典泰さんそっくりの旦那さんと実物の洋子さんよりはずいぶん気性の激しい陽子さんという奥様が登場する。
以下は、当時私が自分のFacebookに投稿した記事。
『ハルカの陶』
あれは今からもう10年近くも前だろうか、高校の部活のOB会に行った時のこと。やけに漫画に詳しい先輩がいて、「地元が舞台の面白い漫画があるよ」と教えてくれた作品の一つが『ハルカの陶』だった。ちょうどその前に本屋に行った時に平積みになっていたのを見かけて気になっていたこともあり、その後1巻を買ってみた。
帰って読んでみたらものすごく面白くて引き込まれ、すぐに2巻を買って読み、まだ出ていなかった3巻の出版を待ちわびたことを覚えている。
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生まれてこの方ずっと岡山に住んでいるのでもちろん備前焼は知っていたけれど、それは「備前で作られている茶色い焼き物」ということや何人かの人間国宝の方の名前を知っているという程度の知識だった。
『ハルカの陶』を読んで、郷土の文化としての備前焼に興味と愛着を持ったけれど、まさかその時は、自分がその地にある学校に勤務する日が来るとは夢にも思っていなかった。
昨年度、着任した支援学校の校内に登り窯があることに驚き、挨拶回りの車中から至る所にある煙突を見てまた驚き、「ここは『ハルカの陶』で読んだとおりの備前焼が生まれた土地なんだな」と思った。
生徒たちが作業学習で日々取り組んでいる備前焼制作には、地元の作家さんにもご指導をいただいているのだが、今年度からはまた新しい方々にお力を貸していただくこととなった。
その方こそ、「ハルカの陶」に出てくる松崎夫妻のモデルとなった竹崎 洋子さんと竹崎 典泰さん。なんとも嬉しいご縁に大感激!先日はお二人の工房の窯焚きの様子も見学させていただくことができた。
これからの展開が楽しみ。わくわく💕
※ちなみに、映画版の方はかなり人間関係の設定が変わっていてちょっとびっくり!原作の漫画は、とてもよく取材されて描かれているなあと思いますが、陽子さんのモデル洋子さんはもっと優しい方です^ ^
その竹崎ご夫妻の登り窯の窯焚きを見学させていただいた時の様子がこちら。
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(引用おわり)
これまでも倉敷の百貨店などで行われる個展に行ったことはあったが、今回はご自宅で窯出し仕立ての作品を拝見した。
あ~、写真撮ってない><
美術や文化に造詣の深いC氏は、緋襷や胡麻、桟切りといった備前焼特有の窯変や、作品の色合いと温度や酸素の関係など、詳しく尋ねて熱心に
聞いていた。
同じ土で、同じ窯の中で焼くのに、様々なけしきの作品ができるのは不思議でもあり本当に素晴らしい。
この日、C氏はおいしい日本酒を飲むとぐい呑みを購入、私は自分用のお茶碗をC 氏に買ってもらった。(やったー!ありがとう!!)
実は使っていた陶器の茶碗が割れて以来、もう何年も子どものお下がりのウルトラマンのプラスチックの茶碗(大きさがちょうどよかった)でご飯を食べていたのだf;^^
ずっと欲しかった自分用のお茶碗ゲットだぜ~!
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参考に、当時 学校で行った窯焚きの様子を写真で紹介します!
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窯の中にぎっしり詰めてある
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最後の仕上げに上の方の焚き口から炭を入れるのだが、キラキラと輝いてそれはそれは美しい。
1週間焚き続け、1週間そのまま冷まして窯から出す。
さて、竹崎ご夫妻。
8月には銀座のギャラリーで個展をされます。
東京の方、行ってあげてください。
そして、9月には倉敷天満屋で備前育陶会展が行われます。
典泰さんは備前育陶会の会長さんです。
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※ググってみました。日本六古窯の他の五つは越前焼、瀬戸焼、常滑焼、信楽焼、丹波立杭焼だそう。
備前焼について詳しくはこちらをどうぞ。
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